ロシア・ワールドカップ決勝、フランスvsクロアチアの大一番は両チーム合わせて6ゴールが乱れ飛ぶ激闘となった。これを4−2でレ・ブルーがモノにし、20年ぶりの世界王者に輝いた。
 
 フランスの2−1リードで迎えた51分だった。キリアン・エムバペのシュートをGKダニエル・スバシッチがセーブした直後、突如としてピッチに4人の女性が乱入。古めかしい警官や看守の制服を着て、それぞれが異なる場所に向かって駆けだしたのだ。そのうちのひとりはエムバペに近づいてハイタッチまでする始末だ。すぐさま全員がセキュリティーに抑えられ、ピッチから引きずり出された。
 
 世界中の人びとが見守るビッグバウトで愚行に及んだのは、ロシア発の女性パンクバンド・グループ「プッシー・ライオット」。これまでも反体制的な過激活動を続けてきた集団で、ゲリラライブなどをそこかしこで行なって御用となってきた。今回の一件を受けて、グループは公式ツイッターで声明を発表。「政治犯を釈放せよ」「抗議活動者の不当な逮捕をやめろ」「ロシア国内の独裁的な政治的体制を見直せ」などと、要求を突きつけた。

 
 2012年にはウラジーミル・プーチン大統領の再選に反対して、ロシア正教会の大聖堂で違法なゲリラライブに及び、当局に逮捕された。メンバー3人が禁固2年の実刑判決を下されたのだが、その刑務所で虐待を受けたなど告発したこともあり、ロシア国内でさまざまな議論を呼んだ。つまり、ロシア国内ではかなり有名なトラブルメーカーだったのである。
 
 そんな裏事情を知らない大多数のファンはもちろん激怒。彼女たちのツイッターには「ふざけるな!」「俺たちはフットボールが観たいんだよ」「最低の行為だ」「ブタ箱にぶち込んでおけ」「興ざめさせた罪は計り知れなく重い」と、憤懣やるかたないメッセージが続々と寄せられている。
 
 FIFA(国際サッカー連盟)のジャンニ・インファンティーノ会長から「史上最高のワールドカップだった。ホストカントリーのロシアに感謝したい」と謝意を示され、ご満悦のプーチン大統領だったが、最後の最後で顔に泥を塗られた格好だ。恐ろしい反撃があるのではないかと、まことしやかに囁かれている。