[J1リーグ21節] 鳥栖×浦和/8月11日/19:00/ベアスタ
 
 興梠慎三は20節のV・ファーレン長崎戦でノーゴールに終わり、J1に在籍した全30チームから得点を決めるという“完全制覇”が持ち越された。
 
 ただ、興梠自身はそんな記録よりも、浦和が勝利できなかったことを悔やんでいた。何よりしっかりリトリートして対応してくる相手に対し、効果的なアタックを繰り出せなかったことに課題を見出していた。
 
「チャンスというチャンスがあまりなかった。選手同士の距離感がちょっと遠かった。ダイレクトパスが少なかったし、2、3本続かないと相手を崩せない。それに、こうした難しい試合ではセットプレーが重要になるが、CKからも決められなかったのも残念でした。簡単にボールを失う場面もあり、もう少し攻撃の起点にならないと、いい攻撃ができないし、まだまだだなと思いました」
 
 興梠はチームであり、個人の修正点をそのように挙げていった。
 
「後ろで(パスを)つなぐだけでは崩せないので、どこかで縦パスを入れてスイッチを入れないと、とは思いました。僕と武藤とファブリシオの距離感が、もう少し近くで、やらないと、ダイレクトプレーは出てこない」
 
 浦和はロシア・ワールドカップの中断明けから、1トップ2シャドーというよりも、前線に3人が張り出す3トップを採用している。左からファブリシオ、興梠、武藤と並び、できるだけ高く位置取り、流れの中でそれぞれが近づいたり、縦に仕掛けたりする。3人の感覚やセンスが優先されているが、逆にいうと“これ”というコンビネーションの形がまだない。
 
 長崎戦のシュート数は興梠2本、ファブリシオ3本と計5本。興梠とファブリシオが2トップのような形でゴールに迫るシーンは増えてきているが、崩し切る機会はまだ限られる。興梠はファブリシオとの連係について、「いや、まだまだ。もう少し時間がかかりそうだなと思います」と語っている。
 
 2017-18シーズンのポルティモネンセでは、ファブリシオは4-3-3のセンターフォワードでプレーし(左ウイングが中島翔哉)、29試合に出場して15得点・6アシストと結果を残している。現在の浦和でのウイング的な起用だと守備への負担に加え、ゴールから離れたところでの仕事が増えている。ただ、だからこそ彼が中央に入ってきた時には、相手チームのマークがズレて、チャンスになりやすいという利点もある。
 
 興梠とファブリシオの連動性を高め、それぞれが特長を出すためには、2トップ採用やふたりを縦に並べた4-2-3-1など、布陣の改善もひとつの選択肢に入ってくるか。ふたりがのびのびとプレーできるような環境が整えば、J最強クラスとも言えるユニットを手に入れた浦和は、さらに手強いチームになれるはずだ。
 
取材・文:塚越 始