「(攻撃は)コンビネーションを使いながら、ゴールに向かうかたちは見えてきました。少しずつ、チームとして良いかたちができつつあると思います。(これでアジアカップは)チームとして負けなしで迎えられるんで」
 
 2018年最後の代表戦となったキルギス戦の後、南野拓実は落ち着いた様子で語っていた。
 
 ロシア・ワールドカップ後に発足した「森保ジャパン」の活動ぶりは、ここまで順風満帆と映っている。
 
 コスタリカ、パナマ、ウルグアイに怒濤の3連勝。ロシアW杯出場国を敵に回しながら、想定を上回る内容と結果で、上々のスタートを切った。ベネズエラとは1-1で引き分けたものの、守りを固めたキルギスには4-0で完勝している。来年1月に開催されるアジアカップへの展望は明るい。
 
「アジアカップに向け、高いレベルを示してくれたと思います」
 
 ベネズエラ戦から先発メンバー全員を変えて挑んだキルギス戦後、森保一監督はそう語っている。前の試合も含め、新戦力のテストの意味合いが強かった。
 
「経験が浅く、現時点で実力的にやや足りない選手であっても、代表を経験することによってさらに伸びる、という選手も選んでいます。可能性、伸びしろを評価しての招集ということで。全ての選手が、同じレベルというのではありません」
 
 フラットな目線で見た場合、ロシアW杯の主力メンバーは、今も他を実力的に引き離しているだろう。しかしながら、平均年齢の高いチームだったことは、紛れもない事実だ。長谷部誠、本田圭佑という長く代表チームを牽引してきた2人は、すでに引退を表明している。今後を考えたら、新戦力の登用は欠かせない。
 
 その点、3試合連続得点を決めた南野、さらに中島翔哉、堂安律という新鋭3人が主軸となりつつあるのは、ここまでの大きな成果だろう。いずれも欧州のクラブでプレーを積み重ねており、立ち居振る舞いは堂々たるもの。特にウルグアイ戦(4-3)では、屈強なDFを翻弄し、度肝を抜いた。
 とりわけ、中島はボールを持った瞬間、相手よりも心理的に優位に立ち、存分にその技を見せている。Jリーガーだった頃は、試合の流れのなかで消えることが多かったが、厳しい環境を生き抜くことで、剛直さも身につけた。
 
 また、自ら崩すだけでなく、コンビネーションも使えるし、とにかくシュートに積極的で、キックにも自信を持っている。10番というエースナンバーに相応しいプレーを見せているのだ。
 
 他にも、ロシアW杯メンバーだった遠藤航が成長を示すなど、戦力はかなり充実しつつある。北川航也も、大化けしそうな予感を漂わせている。いずれにせよ、日本が世界に打って出て行くには、より層を厚くする必要があるだろう。
 
 森保監督は、積極的に選手を入れ替えながら、発奮を促している。なかでもGKは顕著で、メンバーを固定せず、毎試合のように面子を変えている。現段階では、チームを固めない。競争力を高めていかなければ停滞する。それは、過去の代表チームを見ても明らかだろう。
 
 アジアカップに向けては、未招集組でも面白い戦力はいる。
 
 例えば、ベルギーのシント=トロイデンで新境地を拓きつつあるFW鎌田大地。元々、ビジョンとスキルに優れ、パサーとして異彩を放っていたが、最近は10試合9得点と決定力も見せつけ、勢いに乗っている。体躯にも恵まれたアタッカーで、南野のライバルになるだろう。
 
 果たして、新戦力の台頭はあるのか。森保ジャパンは、まだまだ変貌を遂げるはずだ。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。