日本代表FW岡崎慎司を擁するレスター・シティで、電光石火の政権交代が実現した。

 クロード・ピュエル前監督の解任から2日後、2月27日にクラブは新指揮官を発表。スコットランドのセルティックで指揮を執っていたブレンダン・ロジャースがそのひとだ。シーズン途中での“移籍劇”にセルティック周辺では批判的な意見も少なくなかったが、北アイルランド人監督は兼ねてよりプレミアリーグ復帰を切望していたこともあり、英メディアは大々的かつ好意的にその帰還を報じている。

 さっそく同日の火曜日、本拠地キングパワー・スタジアムで行なわれたブライトン戦を現地観戦。週末に開催される次節ワトフォード戦から指揮を執る予定だという。クラブ公式サイトを通してロジャースは、「ともに、より強くなろう。正しい道を進むために、選手たちやスタッフ、そしてサポーターと一緒に仕事をすることを楽しみにしている」との熱いメッセージを寄せた。契約期間は2022年6月までの3年半。厚い期待と信頼の表われだろう。

 現在46歳のロジャースは、2008年にワトフォードで監督業をスタート。その後はレディング、スウォンジー・シティとキャリアアップを重ね、2012年夏に39歳の若さで名門リバプールの監督に指名される。2013−14シーズンにはプレミア制覇まであと一歩のところに迫ったが惜しくも2位。2015年に退任していわゆる“都落ち”し、2016年からはセルティックで辣腕を振るってきた。そしてなんとスコットランドの地で偉業を達成する。指揮を執った2年半で実に7つの国内タイトルを奪取し、ふたたび英国内での声価を高めたのだ。

 
 新監督就任の発表に前後して、英メディア『talkSPORT』がひとつの興味深い特集を組んだ。題して、「セルティックの手を振り払ってレスターにやって来るロジャースは、はたしてどんなラインナップを形成するのか」。その記事のなかで、岡崎のスタメン起用を「きっとそうなるだろう」と予測している。

 同メディアの論調を要約すると、以下の通りだ。

「ロジャースが指導キャリアで一貫して志向してきたのは、“ティキタカ”(バルセロナ流のポゼッションスタイル)と“トータル・フットボール”。丁寧にパスを回す技術が求められるのと同時に、今回も前線の選手に惜しみない守備での貢献を強いるだろう。再評価されそうなのがシンジ・オカザキで、きっと重用される。なぜならこの粘り強い日本人FWは、敵陣で絶えずプレッシングを敢行できる貴重な存在だからだ。ジェームズ・マディソンとユーリ・ティーレマンスの創造性を、存分に引き出す役目をも担うだろう」
 ロジャースはさまざまなフォーメーションを駆使する戦術家として有名だ。

 そこで同メディアは4−3−1−2、4−3−3、3−5−2、3−4−1−2という4つのシステムの先発布陣を予想。そのすべての布陣の2トップで、岡崎がジェイミー・ヴァーディーとコンビを組むと踏んでいる。

 さらに『talkSPORT』は「前任者が植え付けたどこかネガティブな雰囲気を払拭する意味でも、レスター・ファンはロジャースに途轍もなく大きな期待を寄せ、明るい展望を描いている」と記し、「レスターがレスターらしいアグレッシブなスタイルを取り戻すために、格好の指導者を彼らは得たのだ」と言い切っている。

 出場機会が激減した岡崎とクラブの現行契約は今シーズンいっぱいまでで、もはや退団は不可避と考えられていたが──。突然の政権交代によって、風向きががらりと変わる可能性が出てきた。