「前半は立ち上がりにピンチがあったものの、選手はアグレッシブに戦ってくれた。激しくプレスをかけ、粘り強くボールを奪い、良い守備から良い攻撃が生まれて。ただ、チャンスを多く作ったところで、得点することができなかった。前半に1点でも奪えていたら……」
 
 日本代表を率いる森保一監督は、試合後の会見で開口一番、そう振り返っている。
 
 3月22日、日産スタジアムでのコロンビア戦は、0-1の惜敗に終わった。これまで、2014年ブラジル・ワールドカップは1-4で敗れ、18年ロシアW杯では2-1で勝利。日本が世界と対等に戦うには、怯んではいられない相手だ。
 
 その点、互角の戦いは見せた。前半の戦いは及第点だった。しかし、本拠地で敗れたのも事実である。
 
 森保ジャパンの現在地とは――。
 
「前半のインテンシティーを、後半は保てなかった」
 
 森保監督は、端的に敗因を語っている。
 
 4-4-2で組んだ布陣は、コロンビアを追い込んでいた。前線からの激しいプレッシングで圧迫。プレスバックも強烈で、攻守の切り替えは速かった。
 
 南野拓実が下がって奪い、中島翔哉が狙い、堂安律は積極的に中央へ入ってシュートを打ち込み、右SBの室屋成はタッチラインを攻め上がっている。高速コンビネーションで手を出させない、という試合を続けた。
 
 しかし、90分を同じリズムで戦うのは難しい。変わりゆく局面にどう対応するのか。その柔軟さが問われる試合だった。
 
「後半になって、コロンビアはプレッシャーを強めてきた。(我々は)ボールを動かせず、プレスを回避できなくなった。前線で起点を作れず、押し込まれた。守備での対応もそうだが、ボールロストしてしまって、守備に回らざるを得なかった」
 
 森保監督は、無念の表情を浮かべた。
 日本は相手の流れを切ることができなかった。例えば、トップの選手がキープして繋ぐ、あるいはファウルを誘う。それだけで、チームは一息つける。ボールの収まりどころがなかった。結果、守備陣は追い込まれていたのだ。
 
 失点シーンは、まさにその帰結だった。
 
 プレスを回避できず、昌子源がクリアのようなボールを蹴って、相手が自陣で収め、再攻撃を受ける。慌てた柴崎岳がポジションを捨て、捕まえに行く。ダイレクトで裏にボールを出され、インサイドで決定的なシーンを作られた。必然的にシュートブロックに行った冨安健洋の手に、ボールが当たった。PK献上……。
 
 終盤は、再びプレーのリズムを取り戻した。香川真司の投入も大きかったか。中島のシュートがバーを直撃するなど、同点に追いついても不思議ではなかった。
 
 しかし、「コロンビアがリトリートして守り切っただけ」とも言える。
 
「世界のトップを相手に、無失点は難しい。得点できない試合ではなかっただけに(悔しさが残る)。最少失点に抑えつつ、1点を奪えるクオリティーを持って戦えるか」
 
 森保監督は、そう総括した。試合の流れを掴めるか――。レベルの高い試合では、90分間のマネジメントが求められる。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。