それは異様な光景だった。

 現地時間3月31日に行なわれたプレミアリーグ第32節でチェルシーと対戦したカーディフは、83分まで1点のリードを保ちながら、84分と後半アディショナルタイム1分にゴールを決められて、1-2と惜しい逆転負けを喫した。

 その試合直後だった。敗軍の将となったカーディフのニール・ウォーノックは、ロッカールームへ引き下がろうとする審判団の前に仁王立ち。今にも殴り掛かりそうな自分を必死に押し殺していたのだろう。数分間に渡って睨みをきかせた後、ピッチを去っていった。

 ウォーノックが審判団に怒りの矛先を向けたのには理由がある。84分にセサル・アスピリクエタの決めた同点ゴールが、オフサイドだったからだ。

 マルコス・アロンソのヘディングでの落としに合わせたゴール前でアスピリクエタが頭で押し込んだのだが、そのポジションは明らかなオフサイドだった。これは試合を中継した英衛星放送『Sky Sports』のカメラでも明確となっている。しかし、主審のクレイグ・ポーソンをはじめとする審判団はゴールを容認した。
 
 この同点弾がなければ、アディショナルタイムの失点もなかったかもしれない。降格圏の18位に沈んでいるカーディフにとって、誤審によって強敵から重要な3ポイント、少なくとも1ポイントを奪取するチャンスを奪われたのはあまりに大きい。ウォーノックは、『Sky Sports』のフラッシュインタビューで湧き上がる怒りをぶちまけている。

「私は良い試合をした選手たちを誇りに思うよ。だけど、審判たちにはがっかりさせられた。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)よ、早く来てくれ!」

「この3週間、今日のためだけに準備をしてきた。だが、あのクソみたいな判定によって落胆させられたんだ。この負けは我々のミスではない。審判団はゴールシーンを誰も見ていなかったんだ。あの場面は私が見てきた中で最も明らかなオフサイドだった。プレミアリーグは世界で最高なリーグだが、審判たちは世界で最悪なリーグだ。彼らはこれがどれだけ危険なことか理解していないし、このレベルであのようなミスがあってはならない」

 現在、カップ戦のみにVARが採用されているイングランド・サッカー界。このような判定が続けば、プレミアリーグでも新システムを導入する流れになるかもしれない。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部