[ACL グループステージ第4戦]川崎2-2蔚山現代/4月23日/等々力陸上競技
 
 1勝2敗でグループ3位だった川崎としては、勝ちたいゲームだった。ホームでの蔚山現代との一戦は2-2のドロー。グループステージは残り2戦で、まだ自力突破の可能性を残しているだけに、悲観する必要はないが、小林悠の今季初ゴールで先制し、1点を追う終盤には猛攻を仕掛けて勝ち越すチャンスもあっただけに、勝点3が欲しかったというのが正直なところだろう。
 
 もっともこの一戦で明るい材料もあった。それが大卒2目のMF脇坂泰斗(わきざか・やすと)だ。川崎U-18出身で昨季、阪南大から帰還した技巧派は、73分に家長昭博に代わってピッチへ。チームがその5分後にレアンドロ・ダミアンを投入して、中盤をダイヤモンド型にした4-4-2にシステム変更すると、トップ下としてプレーした。
 
「(2トップの)ダミアン、知念(慶)くんの周りで前向きにサポートすることを意識した」と振り返る脇坂は、82分にチームが2-2の同点に追い付くと、勝ち越しゴールを狙って自ら仕掛けた。「自分に蹴らしてほしい」と主張したという87分のFKはコースは良かったものの壁に当たって弾かれたが、90+2分には記者席で「お!」とどよめきが起こるゴールわずか右に外れる鋭いミドルも放った。
 
 結果こそ残せなかったが、自信に満ちたプレーぶりは、どこか弱々しい印象もあった昨季のルーキーシーズンとは明らかに違う。その変化はどうして起こったのか、本人に質問をぶつけてみるとこう答が返ってきた。
 
「今日はこの前の試合(リーグ戦の8節の湘南戦では85分からプレー)で感覚を掴めていた部分もありました。それに具体的なキッカケがあってなにか変わったわけではないんです。ただ1年目は周囲に合わせるというか、そういうところが出てしまいました。サブ組に入ることが多かったんですが、そこでも周囲に合わせるところが多くて。でも、今年は自分が中心になるんだという気持ちがあります。
 
 元から自信はありました。でも日ごろの積み重ねが、さらなる自信につながったのかなとも思います。単純に2年目で環境に慣れたという面もありますが、去年から練習終わりに自主トレも続けてきましたし、そうした積み重ねが大きいです」
 
 同期には昨季、大卒1年目ながらレギュラーに定着し、日本代表にも選出された守田英正がおり、今季はユースの後輩である田中碧もブレイク。彼らに先を越された感はあった。ただ、周囲の活躍も前向きに捉えていたという。
 
「(守田や田中から)刺激ももらいましたが、あいつらができるんだから自分もできるんだという気持ちがありました。それに2人とはポジション(守田と田中はボランチ)も違うので、一緒に出た時にどうしたいというのを考えながらやってきました」
 
 希望するポジションはトップ下とキッパリと話す。ただ、4-2-3-1をメインシステムにする川崎ではこのポジションには絶対的な司令塔である中村憲剛がいる。レギュラー奪取はそう簡単ではない。
 
「憲剛さんのことは昨年からずっと間近で見てきて、本当に勉強させてもらっています。これからも盗めるところは盗んでいきたいです。そして試合に出られれば自分の良さを出したい。やらなくてはいけないのは、攻撃の起点になってチャンスを作ること。今日はそれが出せたので、自信にはなりました」
 
 川崎の素早いパスワークにも付いていけるテクニックがあり、ドリブルで持ち運んで局面を打開するプレーも得意だ。そうした特長を活かしてさらに存在感を高められるか。越えなくてはいけない壁は相当に高い。それでも日々の努力は今後も裏切らないはずだ。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
 
【ACL PHOTO】川崎2−2蔚山現代|ダミアンの執念のゴールでドロー!グループリーグ突破へ望みをつなぐ!