15節までを消化したラ・リーガ2部は、早くもシーズンのおよそ3分の1を終え、カディスが11勝2分2敗の勝点35で首位を快走。それに今夏に岡崎慎司が加入したウエスカは、8勝2分5敗の勝点26で2位につけているが、12位のラージョ・バジェカーノまで、わずかに6ポイント差と団子状態にある。

 1年でのトップリーグ復帰を目指すウエスカにとっては、ひとつのつまずきが大きく順位を落としかねない状況だ。それは今後も続いていくだろう。ここでは、そうした戦況で、気を吐いている岡崎の役割を読み取っていく。

 まずはウエスカの基本戦術を見ていこう。

 今シーズンのウエスカの基本システムは4−1−4−1(4−3−3)。ボールを大事に保持し、自陣から丁寧にパスをつないで攻撃を構築していくスタイルだ。

 起点となるのはホルヘ・プリードとトニ・タドコビッチの両CBと、アンカーに入るペドロ・モスケラというビルドアップ能力に長けた3人で、このトライアングルは相手のファーストプレスを剥がし、時には、右インテリオールのミケル・リコも加わってチーム全体を押し上げていく。

 攻撃の局面に入ると、ドリブルで違いを作れる左インテリオールのファン・カルロス、創造性に溢れる左サイドハーフのクリスト・ゴンサレス、右サイドハーフから中へ侵入できるダニエル・ラバがチャンスを創出する。

 そのなかで岡崎は、味方のアシストと自分でボールを受ける役割のふたつを両立させている。

 最前線で相手DFラインとの駆け引きを行ないながら、裏への飛び出しを見せてDFラインを下げさせ、中盤で味方が受けるスペースを作る時もあれば、逆に中盤まで降りて組み立てに参加し、前線への飛び出しを味方に託すこともある。この使い分けのバランスが絶妙なのだ。

 ファイナルサードでは、ペナルティーエリア内に陣取り、左右の揺さぶりとクロスに素早く反応してシュートまで持ち込む。チームメイトや相手の状況を見て、自分がもっとも生きる場所を探すインテリジェンスは、イングランドやドイツでプレーしていた時から不変である。
 もちろん最初からスムーズに連携が取れていたわけではない。7月末にマラガに加入しながらも、サラリーキャップの問題で選手登録ができずに9月頭に契約を解除した岡崎が、ウエスカに加入したのは9月4日で、チームはすでに3試合を消化していた。

 第6節のアルバセーテ戦からは先発出場を継続しているが、最初の4〜5試合は、周囲との連携が取れず、ボールを受けに来てもパスが出てこないことや、味方のために空けたスペースを他の選手が感じられないことも多かった。

 しかし、第8節のジローナ戦で豪快な初弾を決めてからは、徐々に動きが呼応していく。やはりストライカーは目に見える結果を残してナンボという世界なのだろう。岡崎の動きを始点として、周囲がアクションを連動させる機会が明らかに増えたのだ。

 好調を維持する岡崎にこの先、求められるのは、やはりゴールだ。

 チームは、ここまでリーグ最小の10失点と安定した戦いをみせている。しかし、セットプレーの守備対応に難を抱えており、さらに攻撃的なスタイルを標榜していることを加味しても、今後は失点がかさむ可能性もある。

 となれば、勝ち切るためには当然ゴールが必要不可欠となる。岡崎の12試合で3ゴールという結果は及第点は十分に与えられる。とはいえ、チームはリーグで下から5番目の17ゴールとやや物足りない。ゆえに数字に表れない部分ですでに信頼を勝ち得ているとはいえ、より目に見える結果にこだわりたいところだ。

 岡崎にゴール量産の吉兆がないわけではない。ここ数試合は、必ずと言っていいほど決定的なチャンスを迎えており、直近のオビエド戦では、シュート直前の味方のファウルとオフサイドで認められなかったものの、ゴールネットを揺らすシーンが2度もあった。

 相棒ジェイミー・ヴァーディーを活かすために守備に奔走したレスター時代と違い、ウエスカでは、ゴールを奪えるポジションに自身が入ることができている岡崎。他の選手とポジションが被ることも少ないため、ボールは自ずと集まってくる。

 そのチャンスで33歳のサムライが、ネットを揺らせるか。ウエスカの浮沈の鍵は、まさにそこに懸かっている。

文●中村僚