2019年の日本サッカー界では若い選手たちの活躍が目に付いた。5〜6月のU-20ワールドカップや10〜11月のU-17ワールドカップでも素晴らしい内容の試合を見せてくれたし、U-22代表はトゥーロン国際で準優勝。先日はアウェーでブラジルに快勝した。


 若い選手たちの活躍ぶりを見ていて、僕はちょうど20年前、1999年当時のことを思い出した。小野伸二や稲本潤一、高原直泰、小笠原満男らの活躍によってU-20日本がワールドユース選手権(現在のU-20ワールドカップ)で準優勝を遂げたのだった。

 その時の監督を務めていたのがフィリップ・トルシエだった。

 トルシエはこうした若いタレントを鍛え上げてシドニー五輪ではベスト8、そして日韓ワールドカップでも若手中心の日本代表を初のラウンド16進出に導いた。

 そのトルシエが日本のU-18代表と対戦したのだ。これも何かの因縁なのだろうか。

 2018年からベトナムの「PVFアカデミー」でテクニカル・ディレクターを務めていたトルシエは、9月に前監督が成績不振の責任をとって辞任したのを受けて急遽U-18ベトナム代表監督に就任。ただ、就任からまだ2か月しか経っていないのでチーム作りが進んだ状態とは言えず、また現代表は前監督が選んだメンバーのままなので、トルシエとしてはとくに攻撃面では満足していないようだ。

「うちには小野も本山(雅志)もいない……」とトルシエ監督。

 だが、フラットスリーがラインを上げ下げして相手をコントロールするところや、CKを大きく蹴ってボレーシュートを狙わせるあたりは20年前を思い起こさせる。

 そして、「世界のトップテンにも入るチーム」と絶賛していた日本を相手に、トルシエ監督は見事な日本対策を構築して引き分けに持ち込んで「予選突破」という大目標を達成した。


 まるで“トルシエのワンマンショー”のような試合であり、試合後の記者会見で“トルシエ節”が炸裂したのはもちろんだが、20年前にはエキセントリックな印象が強かったトルシエもすでに60歳を過ぎて、風格のようなものを感じさせた。

 また、後半に入って選手たちの足が止まり始めると積極的に交代カードを切ったあたり、自ら「采配下手」と自称していた20年前との違いを見せた。ウズベキスタンの大会に向けて、トルシエがどんなチームを作ってくるのか楽しみにしたい。

取材・文●後藤健生(サッカージャーナリスト)