11月14日に行なわれたキルギス戦は、森保ジャパンの発足以来、ワーストゲームの一つになったと言えるだろう。

「ピッチが滑ってでこぼこ」

 条件面の厳しさはあったかもしれない。

「敵地で2−0と勝利した」

 結果だけを考えれば、上々とも言える。FIFAランキングでは明らかに格下だが、諸条件が絡み合うと、番狂わせも起こりやすい。それはほかのグループで韓国がレバノンにスコアレスドローに終わっていることを例に挙げるまでもなく、アジアで戦う難しさはある。

 しかし、森保ジャパンは戦術的にチームとして攻守にちぐはぐだった。引き分けどころか、負ける可能性も孕んでいた。ワールドカップでベスト16に入るような格上の相手だったら、間違いなく敗れていただろう。

 つまり、改善点の多い試合だった。チームとしてノッキングしていた証左になるのが、セカンドボールを拾えない。あるいは拾っても、それを収めきれなかった点にある。

 例えば前半30分過ぎ、MF遠藤航が一度ヘディングでクリアするも、それが再び相手へ。そこにMF柴崎岳がふらふらと間合いを詰めることによって、裏へと運ばれ、不用意にもボランチの防御線を破られてしまう。
 
 これでディフェンスラインは相手の攻撃をフィルターなしに受け、ずるずると下がるだけ。右サイドで1対1に対応した遠藤がドリブルで外され、折り返されたクロスにエリア内でシュートを合わされた。GK権田修一がブロックしたが、決定的な場面だった。

 日本は中盤での攻防で敗れることによって、攻撃も守備も主導権を握れていない。五分五分のボールに対しても、もつれた後にキルギスにわたる場面も少なくなかった。二人のボランチが有機的に機能せず、サイドにも有効なボールが入っていない。サイドアタッカーは縦方向に馬力のある伊東純也と原口元気が起用されたが、堂安律、久保建英、中島翔哉のように横の動きでプレーメイクもできるタイプではなかった点も関係しているか。その点、編成にも問題はあった。
 
 こうした試合で差が出るのは、GKと言える。その点、前後半で少なくとも1度ずつファインセーブを見せた権田はマン・オブ・ザ・マッチだろう。一方、キルギスのGKは南野拓実との1対1を防ぐなど好プレーもあったが、PKに至ったシーンは軽率で、FKに対する対応も世界標準ではなかった。日本としては守護神、権田が輝いた試合で、それはワールドカップまで長く続く戦いの一つとしては悪くはない。

 ただ、勝つことで課題が出たゲームとも言える。

 日本はボールを持って、失わず、運ぶことに特色のあるチームである。その点、ボランチが正しいポジションを取って準備で勝り、円滑に攻守を動かすことは生命線になる。五分五分のボールをものにできる強度がないと、世界では厳しい。そこで劣勢に立つと、ポゼッションもカウンターもなくなるのだ。

 サイドでボールを受け、コンビネーションを使える“気の利く”選手も不可欠か。トップの南野は悪くなかったが、前線での起点が少ないと、“球を込められない”状況に。結果、敵に雪崩れ込まれることになる。

 日本サッカーの“戦う術”を改めて検証する試合になったと言えるだろう。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。