かつてベネズエラは南米では最弱の部類だったけど、近年はU-17、U-20のワールドカップで結果を残すなど、成長が目覚ましい。U-22代表が戦った日曜日のコロンビア戦に続いて、南米勢との力の差をまざまざと見せつけられたね。

 後半、日本が巻き返したように見えたけど、それは向こうが大量リードでペースを落としたのと、強力な両サイドを交代したからだ。力の差は明らかで、内容でも完敗だった。

 たしかに吉田や長友、南野といった主力が不在で国内組が中心だったけど、もちろん敗因はそこではない。最大の問題はビルドアップだ。

 植田と畠中の両センターバックが、柴崎と橋本の両ボランチにボールをつける際に、相手を背負ってゴールに向かって戻ってきている状態でパスを出してしまう。だから角度を付けられず、結局CBにもう一度戻すか、無理をしたり、パスがずれたりしてボールを奪われ、決定機を作られる。その繰り返しだった。

 アジア、とくに2次予選レベルだったら、個の力で上回れるから問題にならないけど、ベネズエラのようにプレッシャーが強く、奪ってからの速攻の精度も高いチームには限界を露呈した。
 
 例えば、両サイドバックが高い位置を取って、その空いたスペースに柴崎か橋本が下りてくるとか、バリエーションが作らないと。相手がロンドンの1トップだったんだから、プレッシャーが掛からないほうのCBが持ち上がるも手段だった。

 持ち上がったCBから角度をつけたパスを柴崎や橋本に送るか、ボランチを飛ばして前線にフィードを送り、2トップの一角が、前線とサイドハーフの間のスペースに下りてきてボールを受けるというアイデアも必要だった。

 左サイドの中島は、我慢しきれず下がってきてボールを受けていたけど、ゴールから遠い位置でキープ力を見せつけてもまったく恐くないし、しかも密集地帯で囲まれて奪われたらピンチになる。だから左SBの佐々木はリスクを感じて上がれない。そんな悪循環に陥っていた。

 だからこそ、畠中が持ち上がって少し下りてきた浅野にフィードを送り、その落としを受けてた中島が前を向いて仕掛ける、といった工夫が必要だった。全体を押し上げ、中島には下がり過ぎないように指示をする必要があったと思う。

 森保ジャパンには、そういうチームとしての「共通認識」がなさすぎるし、ダメだった時の打開策、戦術的なオプションを全くもっていない。だから、同じ取られ方をして、同じように失点を重ねてしまったんだ。
 
 何かにチャレンジして、それが上手くいかずに大敗してしまったのなら、まだいいと思う。しかし、ベネズエラ戦では何も修正できずに、なす術なく敗れたんだから致命的だよ。

 アジアでは、普通にやれば勝てるかもしれない。ただ、ワールドカップでベスト8を目指すのなら、うまくいかなかった時のバリエーション、しかもどの選手が出ても共通理解できているオプションが絶対に必要だ。

 ましてや、相手はベネズエラで、アルゼンチンやブラジルではない。ワールドカップで勝ち進むなら、もっと強いチームを倒さなければならないんだから。

 森保監督はこれまで、あまり細かく戦術に縛り付けることはなく、ピッチ上の選手の自主性に任せるというスタイルを採ってきた。このベネズエラ戦で露呈したのは、それだけでは世界に通用しないということ。それが分かったことが唯一の収穫だったかもしれない。

 12月のE1選手権は、国内組主体で臨むことになるだろう。主軸の海外組がいないからこそ、思い切って一からチームを作るぐらいの気持ちでやったほうがいいだろう。

 もし、また何も見るべきところがないような試合をすれば、いよいよ森保監督に厳しい目が向けられることになるだろう。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部