今世紀に入ってからラ・リーガを10度制したバルセロナ勢が監督を含めて7人という陣容となった。なかでも、その大半をエースとして牽引したリオネル・メッシは、「別格の存在」であり続けている。母国アルゼンチンが生んだもうひとりの英雄、ディエゴ・マラドーナとの比較論は意見が分かれるところだが、確かなことはこれほど長きに渡って、毎週、毎試合のように高いパフォーマンスを披露しているのはメッシをおいて存在しないという事実だ。

 GKには、マドリーの絶対的守護神だったイケル・カシージャスを差し置いてビクトール・バルデスを選んだ。スペイン代表における実績は雲泥の差があるとはいえ、GKに対しても特別な役割を強いるバルサでマシア仕込みの足下のテクニックとセービング能力、そして生来の負けん気の強さを武器に絶大な存在感を発揮。最後尾から2005〜2012年にかけての黄金時代に寄与した功績は高い評価に値する。
 
 右SBのダニエウ・アウベスとCBのジェラール・ピケも同様にバルサの躍進に欠かせない守備者だった。昨今、サイドバックの重要性が叫ばれて久しいが、その流れを作ったのが前者だ。とりわけ阿吽の呼吸の関係を築いたメッシとのコンビは、猛威を振るい続けた。後者の魅力は、ピッチ外での振る舞いにも相通じるインテリジェンスの高さだ。冷静さと大胆さを兼ね備え、正確なフィードと高さを武器に長きにわたってDFラインを牽引し続けている。

 スペイン代表でそのピケの相棒でもあったセルヒオ・ラモスも出色の働きを見せ続けている。もともと右SBとして頭角を現したが、CBのポジションを完全にものにし、高い守備能力はもちろん、FW顔負けのゴール前での勝負強さと得点バリエーション、キャプテンシーの高さいずれも一級品のレベルを誇る。

 攻撃力の高さではマルセロも負けてはいない。18歳でマドリーに加入して以来、その異質な才能を披露し続け、いまやサッカー史に残る左SBとなった。このブラジル代表戦士が好調な時は、マドリーの攻撃は機能する。これは決して偶然ではない。
 
 中盤もアンドレス・イニエスタ、シャビというバルサの黄金時代を支えた両輪を選出した。イニエスタは時間とスペースを完璧にコントロールしながら、常に最適なプレーを選択し、絶妙なタイミングで相手の裏をかく。バルサ・サッカーの申し子にして、スペインが生んだ天才である。

 一方のシャビはイニエスタのような天才性はないが、ピッチ上でバルサイズムそのものを体現するチームの羅針盤で、ポゼッション重視のサッカーの質を極限まで高めた。時間とスペースはいつの間にかこの司令塔の支配下に置かれた。ここまで試合全体を牛耳ることができる選手はこれからも長く現れないだろう。

 創造性と正確なパス能力では、トニ・クロースも決して引けを取らない。2014年夏、マドリーが欧州の覇権を争うライバルのひとつであるバイエルン・ミュンヘンから強奪。その効果はてき面で近年のサッカー界においてもっとも価値ある補強オペレーションのひとつとなった。

 2015-16シーズン年からのチャンピオンズ・リーグ3連覇を含め、とりわけヨーロッパで無類の強さを発揮したマドリーの中盤を牽引したのがこのドイツ代表MFであり、チームへの貢献度は、エースのクリスチアーノ・ロナウドに次ぐものだったと断言できる。
 
 FWで選出したそのC・ロナウドはマドリーで通算438試合に出場し、450得点を記録。1試合あたり1ゴールを上回る驚異的なアベレージを残した。メッシという不世出の天才としのぎを削りながらトップを争うことができたのは、弛まぬ努力と強烈な競争心の賜物だった。

 そしてこのサッカー史に燦然と輝くライバル関係を築いた両雄とともに3トップを形成するのが、元ブラジル代表のロナウドだ。マドリーに加入した時点で怪我の後遺症からすでにバルサ時代(20年以上前になるため対象外)の姿はなかったものの、瞬間的なスピードとゴール前での決定力はやはり別格で、エル・ブランコの一員として通算177試合に出場し104得点をマーク。マドリーでも“フェノーメノ”の異名に相応しい活躍を見せた。

 最後に監督は、メッシをはじめとした黄金世代を束ねて、サッカーのひとつの完成形とも言えるスペクタクルを実現したジョゼップ・グアルディオラで異論はないだろう。サンティアゴ・ベルナベウで宿敵マドリーを6-2で葬り去った試合、前人未到の6冠達成を含めた在籍4シーズンでの16個のタイトル獲得。「ペップ・バルサ」の功績とその傑作の試合の数々は、後世にも長く語り継がれるはずだ。

文●アレハンドロ・アロージョ(エコス・デル・バロン)
翻訳●下村正幸

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