手錠で身柄を拘束された黒人男性が、白人警官に膝で首を圧迫され、「息ができない」との訴えもむなしく死亡――。このジョージ・フロイドさんが亡くなった事件を機に、世界の人々は改めて人種差別に抗議している。

 サッカー界でも抗議の声が上がっている。ドルトムントのジェイドン・サンチョやアシュラフ・ハキミらが、試合中に正義を訴えた。サンチョはインスタグラムでチームの勝利と自身の初ハットトリックを喜びつつ、「嬉しくもあるが悲しくもある。世界では今、もっと大事なことが起きているからだ」と記した。

「それは僕らが解決しなければならない、そして変える助けとなれることだ。正しいことに声を上げることを恐れてはいけない。僕たちはひとつに団結し、正義のために闘わなければならない。僕らは団結してもっと強くなるんだ! ジョージ・フロイドさんのために正義を」

 マンチェスター・ユナイテッドのマーカス・ラッシュフォードも、ツイッターに「団結して取り組んでいくように求めてきたけど、今の僕たちはかつてないほど分断されているように思う」と見解を示した。

「人々は傷ついており、答えを必要としている。Black lives matter(黒人の命だって大切だ)。黒人の文化だって大切なんだ。黒人コミュニティーは大切なんだ。僕たちは、大切なんだ」

 同じくユナイテッドに所属するポール・ポグバも、インスタグラムで「怒り、哀れみ、憎悪、憤り、苦悩、悲しみを感じた。ジョージさんと、毎日人種差別に苦しむすべての黒人への悲しみだ。サッカーだろうが、職場だろうが、学校だろうが、どこであっても、だ」と訴えている。

「完全に止めなければならない。明日や次の日じゃない。今日、終わりにしなければならない。人種差別の暴力行為はもう許容されるべきでない。僕はできない。しない。僕らは、許容しない。人種差別は無知だ。愛は知性だ。沈黙をやめよう。人種差別をやめよう」

 リバプールは、29人の選手たちが本拠地アンフィールドのセンターサークルで人種差別への抗議を意味する片膝を立ててひざまずいたポーズをとって写真を撮影した。クラブは公式サイトで「選手たちは連帯を示すことを望んだ」と伝えている。選手たちもSNSで「団結は強さ」という言葉とともに写真を投稿している。
 自身もセリエAで人種差別被害に苦しんだブレッシャのマリオ・バロテッリも、右眉の上あたりに「Black Power」という文字のタトゥーを入れて人種差別に抗議。ユベントスのジョルジョ・キエッリーニは、「ジョージ・フロイドさんが命を奪われたことについてひとつだけ強く疑問に思う。なぜだ?」とツイートしている。

「どうしてあのようなことが起こり得た?なぜ、同じ話が繰り返される? 『黒人の命だって大切だ』というハッシュタグを目にする。本来なら書く必要すらないはずのことだ。すべての、あらゆる人の命が大切なのだから。息子、子ども、男性、女性、世界のあらゆる人の命が、だ。それでも、繰り返すことが役立つなら、まだ分かっていない者がいるなら言おう。黒人の命は大切だ。今も。永遠に」

 もちろん、ほかにも多くのサッカー選手や関係者がフロイドさんの事件と人種差別に言及し、非難している。だが、多くの人たちが変化を求めて訴えてきた人種差別の問題はいまだ解決していない。2020年が、それを変えていける年となるのを願うばかりだ。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部