今から遡ること18年前の夏に開催された日韓ワールドカップで、“アジアの虎”が世界を驚かせた。智将フース・ヒディンクの率いた韓国代表だ。

 オランダ人指揮官に導かれ、文字通り魔法をかけられたかのようなチームとなった韓国代表は、難敵ポルトガルと同居したグループリーグを首位通過すると、ラウンド・オブ16でイタリア、準々決勝でスペインを撃破。アジア勢史上初のベスト4進出を果たした。

 準決勝でドイツに0-1と競り負け、3位決定戦ではトルコに2-3と力負けを喫した韓国だったが、パク・チソンやアン・ジョンファン、ホン・ミョンボといったJリーグにも馴染みのある選手たちが見せた怒涛の快進撃は、アジアを熱狂させた。

 なぜ韓国代表はあれほどまでの勝負強さを誇ったのか? 現地時間6月22日にAFCのインタビューで、ヒディンクの右腕としてヘッドコーチを務めていたパク・ハンソ氏(現ベトナム代表監督)が当時の大会を次のように振り返っている。

「フースが最初に代表監督となった会見で、『私は韓国が世界に衝撃を与えるチームになるだろう』と言っていた。私も含めて、多くのスタッフが、言葉の意味が分かっていなかった。誰もが日韓大会の目標はグループリーグを勝ち上がることだと思っていたからね。だから、私はあの大会について振り返ると、感情的になってしまうんだ。私だけでなく国にとっても本当に特別な意味を持つ大会だった」
 

 さらにパク・ハンソ氏は、PK戦までもつれ込む、大熱戦となった準々決勝のスペイン戦の舞台裏についても告白している。

「スペイン戦に臨む前に、フースは何を考えていたかは分からないが、我々コーチングスタッフは目標を達成して満足していた。だが、疲れ切っていたはずの選手たちは懸命により高みへ行こうとしていた。あれはフースが大会に向けて精神的に強くなることに焦点を置いてきたことの賜物だったと思う。

 スペイン戦では、とくにパク・チソンは凄かった。フースはPK戦の最初のキッカーにあまり経験のなかった当時の彼を選択したんだ。メンタル面での強さがあったからね。でも、その選択が見事に的中して我々の勝利に繋がったんだ」

 まさにおとぎ話のような躍進を遂げた韓国。そんなチームを“ヒディンク・マジック”と呼ばれた巧みな手腕でまとめ上げたオランダ人指揮官へパク・ハンソ氏は、正直な想いを口にしている。

「フースから学んだことは数えきれない。ただ、そのなかで一つ上げるとすれば、彼が韓国という国に対する文化に理解を示し、尊重してくれたことだ。彼が文化やサッカーを取り入れようとしてくれる懸命な姿勢を見て、我々や選手たちも彼の戦術を受け入れようと努力するようになっていった」

 世界に衝撃を与えた韓国代表の大躍進は、智将の懸命な働きによってもたらされたものだったようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部