3か月ぶりにメディア向けに公開取材が許された6月30日。
「きょうからリハビリの選手はゼロ」と明るい表情の浦和レッズ・土田尚史SD。
この一言からは調整がままならないなか、多くのケガ人が戻った、その嬉しさとともに「さぁこれから」という気持ちの強さが感じられた。

 選手揃い踏みとなったこの日。チームはフィジカルメニューののち、約10分×3本の紅白戦を行った。双方、4−4−2の布陣。メンバーを見ると毎試合、2トップ、両サイド、ボランチ、センターバック、両サイドバックとそれぞれのユニットがバラバラだった。これ見よがしの選手層の厚い浦和だからこそなせる業だが、なぜここまで代えるのか?情報戦か。それとも選手への心理的な促しか。そのどちらもあるが、大槻毅監督の一貫した哲学が感じられた。

 そのヒントがこの日、開かれた会見にある。

 大槻監督は選手選考で大事になるのは選手同士の組み合わせとしたうえで「互いにサポートできるか」「90分間、走り続けられるか」「練習から良いプレーを出すことができるか」と3つの起用条件を挙げた。7月の6連戦を全員で乗りきる。乗りきれる力がいまの浦和にある。そんな自信が窺えた。

 また紅白戦を見て、3つの着目すべきものがあった。
ひとつめはFWファブリシオのサイド起用。鹿島時代、左MFで起用されたファブリシオとしては勝手知ったるポジション。サイドからの突破力に期待され、適材適所の起用と言える。

 2つ目がことし1月、完全移籍で加入したDFトーマス・デンの存在。当初は目立ったプレーはなかったが、6月13日、J2町田との練習試合で安定したプレーと球さばきを見せ、十分に計算が立つ戦力となった。本職のセンターバックとともに右サイドバックもでき、的確な補強であることを証明できそうだ。再開初戦となる横浜F・マリノス戦での先発出場は十分にある。

 3つ目は青森山田から加入したルーキーMF武田英寿の急成長。まず目を引いたのはプロ2、3年目と思える堂に入ったプレーの数々。臆せず、足を出し、身体をぶつけ、ボールを奪えば、とった刀でキラーパスを何度も繰り出した。この姿に指揮官は「ひと回り身体が大きくなった」「身体の軸が強くなったことで良い面が際立った」「練習でも練習試合でも良い仕事をしている。プレー面の向上が見られるのを喜んでいる」と高評価。公式戦デビューは予想以上に早く訪れそうだ。
 
 昨年5月末に就任した大槻監督は、昨季は大胆に新しいことはせず、これまでの3-4-2-1を採用。どちらかといえば首尾よく1点奪って、守り切る無難な戦い方をしたが、今季はその逆。90分走り切るスタミナをベースに、個人能力を存分に発揮する「2点取られても3点取り返す」攻撃的なサッカーを目指している。今季、ルヴァンカップグループステージ初戦で仙台に5-2。リーグ開幕戦で湘南に3-2の逆転勝ちとまずまずの出だしだった。

 再開初戦の横浜戦だが、昨季は2戦2敗。結果、内容ともに芳しくない。勝てば、今後続いていく仙台、鹿島、FC東京、柏、横浜FCという難敵揃いの連戦へ、勢いは間違いなくつく。史上まれにみる過密日程に向け、コンディションの良い選手の日替わり起用。さらに交代枠5人への拡大を追い風に乗り切る算段だ。監督の経験値、決断が勝負のあやとなりそうだ。

「来季のACL出場権」「得失点+2桁以上」を目標に掲げた浦和レッズの逆襲が再び始まろうとしている。

取材・文●佐藤亮太(レッズプレス!!)