J1リーグ2節
ヴィッセル神戸 − サンフレッチェ広島
7月4日(土)/19:30/ノエビアスタジアム神戸

ヴィッセル神戸
今季成績(1節終了時):7位タイ 勝点1 0勝1分0敗 1得点・1失点

 3月下旬、酒井高徳の新型コロナウイルス感染が確認された。神戸の選手・スタッフはクラブハウスや練習施設への立ち入りが不可となり、約2ヶ月のステイホーム期間へ。選手たちはトレーニングや食事改善など、各自でパフォーマンスの維持に努めた。

 例えば、古橋亨梧が「積極的にフルーツを摂るように」したり、郷家友太が「ジムマシンを購入して」筋トレしたり。それでも2ヶ月のブランクは長く、全体練習再開から約1週間が経った6月8日時点(リモート囲み取材)で、トルステン・フィンク監督はこう話している。

「まず選手がしっかり走れることが大切。今はフィジカルを強化している」

 ただ、これはどのチームも似たようなものかもしれない。選手のコンディションがどこまで回復しているかはリーグ全体のポイントになるからだ。神戸は中断期間中に練習試合を2回組んだが、ドウグラスが「点は取れましたが、練習試合なのでそれは重要ではない」とコメントしたように、公式戦に向けたゲーム体力や試合勘といったものは蓋を開けてみないとわからないというのが本音かもしれない。

 それを踏まえたうえで、今節のカギを挙げるならカウンターになるだろうか。

 広島は開幕節の鹿島戦を3−0で快勝している。3得点のうち2ゴールは高い位置でボールを奪ってカウンターで仕留めたもの。オフシーズンから磨きをかけてきたショートカウンターがハマった格好だ。

 神戸は高いポゼッション率を維持するサッカーが基本だが、2月のACL ジョホール戦ではスピードのある小川慶治朗を使ったカウンターから得点も奪っている。アンドレス・イニエスタの正確無比なロングフィードによるカウンターは大きな武器のひとつだ。
 
 今季全4試合でゴールを挙げている古橋やACL ジョホール戦でハットトリックを達成した小川などスピードのある選手に加え、新加入でフィジカルに優れるドウグラスもカウンターは得意だ。

 試合前日のリモート囲み取材でフィンク監督が、こんなコメントを残している。

「広島は攻撃を好む。攻撃するチームは前に上がってくる。それによって裏にスペースが生まれるのは基本的にあること。我々がそれをどう攻略して相手のスペースを突くかが一番の課題になる」

 広島が今オフに磨いてきたショートカウンターが上か、イニエスタという世界基準のパサーを軸にした芸術的なカウンターが勝るか。

 いずれにしても、イニエスタがポイントなのは間違いない。最後に、試合前日のイニエスタのコメントを記載しておく。

「(J1再開にあたって)僕たち選手ができることは、精一杯プレーすること。みなさんが楽しめるために、自分たちのために、精一杯プレーしたいと思います」

取材・文●白井邦彦(フリーライター)
 
J1リーグ2節
ヴィッセル神戸 − サンフレッチェ広島
7月4日(土)/19:30/ノエビアスタジアム神戸

サンフレッチェ広島
今季成績(1節終了時):1位 勝点3 1勝0分0敗 3得点・0失点

 誰が試合に出てもおかしくない。今の広島は誇張なく、そういう状況にある。

 主力とサブ、ふたつのグループに分かれて戦った鳥取戦、そして岡山戦と続いたトレーニングマッチ。主力組は1-0、1-1と大きな破綻はなかったにしても爆発力は欠いた。しかし、サブ組は鳥取戦で6-1、岡山戦でも3-1と快勝。永井龍が鳥取戦でハットトリックを決め、東俊希は岡山戦で2得点。さらに鮎川峻が2試合連続ゴール、浅野雄也は2試合連続アシスト。清水航平は50メートルのロングシュートを決めている。プレーのクオリティも高く、運動量も豊富だ。紛れもなくサブ組のレベルが上がっているからこそ、紅白戦の熱も入る。6月27日に行なわれた非公開の紅白戦は、「立っているのがやっとという選手たちもいた」(城福浩監督)ほどの激しさだった。

 連戦を闘い抜くには、チームのベースを上げていくしかない。当然の結論ではあるが、このテーマに広島はキャンプから取り組んでいた。池田誠剛フィジカルコーチの指導によって選手たちのベーシックな体力を向上させ、タフな闘いに耐えうる身体を作り上げる。特長のある選手たちを揃え、チームのコンセプトをキャンプで叩き込み、常にバチバチと火花の散るような闘いを練習場で繰り広げる。
 
 鹿児島キャンプではあまりの厳しいトレーニングにハイネルが嘔吐、しかしそのまま練習を続けたというエピソードがあるが、その厳しさは自粛明けのトレーニングでも続いた。それほどの厳しいトレーニングを繰り広げながら、ひとりの負傷離脱者もなく再開を迎える。計算されたトレーニングメニュー、メディカルスタッフの奮戦もあるが、選手個々の自己管理能力の高さには頭を下げるしかない。

 その激しく厳しい練習の中で、アベレージでアピールを続けていたのが浅野雄也であり、開幕戦のベンチを外れたエゼキエウ、そしてベテランの柴﨑晃誠である。浅野とエゼキエウはスピードに満ちたアタッカーでドリブルも切れる。ともにサイドに流れての突破が得意だが、組織的な攻撃が持ち味の広島にとっては「個」で打開できる数少ない選手だ。また柴﨑はシャドーでもボランチでも機能できるクオリティを持ち、チームを落ち着かせることもスピードアップさせることもできる。5人交代が可能な今季、どこでどういうタレントを投入するかは勝負を大きく分ける鍵となるが、切り札という意味だけでなく先発の有力候補としても、彼らには大きな期待を寄せたい。さらに言えば「再開がゴールではない」と城福監督が言うように連戦の中でチャンスをつかみ、昨年の森島司のように大きく飛躍する選手もいるだろう。

 今季はどのチームも、主力だけでは戦えない。トレーニングを見る限り、広島にはその準備が整っているように見える。

構成●サッカーダイジェスト編集部