2020プレナスなでしこリーグ1部は、当初3月21日開幕の予定だったが、新型コロナウイルスの影響で約4か月遅れとなる7月18日に開幕することとなった。INAC神戸レオネッサは、ゲルト・エンゲルス新監督の下、アグレッシブなスタイルを目指している。開幕を前に、チームの生え抜きで、今シーズンのキーパーソンとなるMFの髙瀬愛実と仲田歩夢に話を聞いた。

 なでしこジャパンがワールドカップで世界一の座を獲得した2011年から、INAC神戸は代表にも名を連ねた7選手が主力として活躍し、リーグ3連覇を達成。2013年には、カップ戦、皇后杯を含めた3冠に加え、国際女子サッカークラブ選手権でもタイトルを獲得した。しかしその後は、主力選手の引退や海外挑戦などもあり、この6年はリーグ優勝から遠ざかっている。

 チーム創設20年を迎えた今年、INAC神戸はエンブレムやロゴを刷新。Jリーグでもタイトルを獲得した実績のあるゲルト・エンゲルス氏を新監督に迎え、ライバルチームの日テレ・東京ヴェルディベレーザからFW田中美南を獲得。さらにアルビレックス新潟レディースからは、なでしこジャパンに名を連ねるMF阪口萌乃が加わった。
 
 INAC神戸の生え抜きとしてMF中島依美とともに11年と長いキャリアを持つ髙瀬は、2012年には得点王を獲得するものの、2017年にはDFにコンバートされ、サイドを守る選手としての起用が多くなっている。

「『好きなポジションでプレーしていいよ』って言われると、間違いなくFWを選びます。でも、試合に出るには、11あるポジションのどれかにならないといけなくって、GKを除けば10人しか試合に出られない。チームに必要とされて、与えられたポジションでピッチに立てるのは選手として幸せなことですし、DFだと前を向いてプレーすることが多いので、それは楽しいですね」と、フォア・ザ・チームを強調する。

 新加入の選手については、「田中選手は動き出しが上手だなと思います。INACにはあまりいなかったタイプの選手。シュートに持っていくまでの能力が高くて、難しい状況でもシュートを決められる。ストライカーだな、と。それに、クロスの入り方も上手で高さもあるので、ハイボールも納めてくれる。サイドの選手にとっては、やりやすいですね」と、話す。
 
 昨シーズンはケガの影響もあり、控えに回ることの多かった仲田は、今季で9年目となり、チームではベテランに。「今年、ゲルト・エンゲルス監督に代わって、取り組んでいるのがポゼッション。ビルドアップを重視しています。リスクはありますが、後ろから繋いでいくサッカーです。精度が高まるとボールや人の動きが面白くなる。昨年は蹴るシーンが多くありましたが、今年は前線にタレントも多い。変化したINACを見てほしいですね」と環境の変化を前向きに捉えている。

「外国人監督だからなのかは分からないのですが、指示は多くて的確です。練習中に分かるまで話してくれるのが、すごくいいなと思います。監督が変わって、メンバーも加わって、INACはパワーアップしていると思いますし、私も刺激を受けています。監督が新しいことで選手選考もイチから。メンバーも決まってないですし、アピールして自分の良さを出そうと思っています。まずは試合にしっかり出ること。そして、リーグでの得点。優勝に貢献したいです」と目標を語ってくれた。
 
 2015年より日テレ・ベレーザがリーグ優勝を飾り、ここ2年は連続で3冠を獲得。INAC神戸はシルバーコレクターと揶揄されるほどに、後塵を拝した状況が続いている。

 数々のタイトルを獲得してきた髙瀬は、「優勝していた時は、負ける気がしなかった。失点しても大丈夫だって自信があった。それだけ積み重ねてきた自信。今は流れが悪くなると負の方に作用する。『やばいな』になっている。この何年かはそこから抜け出せていないので、『大丈夫だよ、いけるよ』という自信を取り戻せるようにしていきたい」と話す。

 18日に開幕するなでしこリーグは、2節まで無観客のリモートマッチ。声援をモチベーションにかえてプレーしてきた選手だが、悲観することはない。

 髙瀬は、「まだまだ大変な状況が続きますが、サッカーができる場を作ってくださった人たちやいつも応援してくれるファン・サポーターの皆さんに感謝の気持ちが届くように、全力でプレーしたいと思います」と前を向いた。

 INAC神戸の第1節は、リモートマッチでの伊賀FCくノ一三重戦。三重交通Gスポーツの杜 鈴鹿で16時にキックオフされる。そして、新型コロナウイルス感染症が拡大しないことを前提に、第3節からはスタジアムでの観戦が可能に。声を出しての応援や鳴り物の禁止など、新しいスタイルでなでしこリーグが幕を開ける。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部