日本人選手の主な欧州組の2019-2020シーズンを評価するこの企画。FW編に続いてお届けするのがMF編だ。マジョルカで躍動した久保建英をはじめ、堂安律、香川真司、中島翔哉など15人の選手を100点満点で採点した。

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久保建英(マジョルカ/スペイン)…80点(とてもよくやった)
【2019-20シーズン成績】
ラ・リーガ=35試合・4得点・4アシスト
コパ・デル・レイ=1試合・0得点・0アシスト

 序盤戦こそベンチスタートとの試合も少なかったものの、持ち前のテクニックで違いを作り出し、徐々に出場機会が増加。中断前の3試合では、チームの全5ゴールに絡む活躍を見せ、ビセンテ・モレーノ監督やチームメイトの信頼をがっちり掴んだ。

 圧巻だったのが、コロナ中断明けだ。チームが連敗続きのなか、保有元のレアル・マドリーやアトレティコ・マドリーといった強豪相手にも臆することなく果敢な仕掛けで敵陣を切り裂き、孤軍奮闘を見せた。チームを残留に導けず、またフィニッシュの精度には課題を残したものの、その点を差し引いても、素晴らしいデビューシーズンだったと評価していいだろう。

乾貴士(エイバル/スペイン)――40点(やや不満が残る)
【2019-20シーズン成績】
ラ・リーガ=29試合・2得点・4アシスト
コパ・デル・レイ=0試合・0得点・0アシスト

 2シーズンぶりにエイバルに復帰するも、絶対的な崩しの切り札だった以前までの姿が影を潜め、攻撃で決定的な役割ができず。ベンチを温めた試合も少なくなかった。

 献身的な守備は評価に値するとはいえ、求められていたのは局面の打開やフィニッシュに繋がるタスク。エイバルでは過去最低の2ゴールでは、本人も満足はしていないだろう。期待値を考えると、厳しい評価を与えざるを得ない。
 
香川真司(サラゴサ/スペイン2部)――40点(やや不満が残る)
【2019-20シーズン成績】
ラ・リーガ2部=34試合・4得点・1アシスト
コパ・デル・レイ=3試合・0得点・1アシスト

 スタートダッシュは上々だった。2節に初得点を奪うと、5節にも決勝点となるゴールを決め、「さすがカガワ」とファンを熱狂させた。だが、その後はフィジカル的な2部のサッカーに苦しみ、コンディション不良やシステムの変更、ポジションが被るハビエル・プアドの加入などが重なって、出番が徐々に減少。先発出場した試合でも、なかなかインパクトを残せなかった。

 チームは3位となり、8月13日から始まる昇格プレーオフの切符を手にしたが、23番は最後まで存在感が希薄。鳴り物入りで加入したことを考えると、せいぜい40点というところだろう。

柴崎岳(デポルティボ/スペイン2部)――40点(やや不満が残る)
【2019-20シーズン成績】
ラ・リーガ2部=26試合・0得点・2アシスト
コパ・デル・レイ=1試合・0得点・0アシスト

 序盤戦は攻守に好パフォーマンスを見せていたが、ファン・アントニオ・アンケラからルイス・セサルへの監督交代を機にバックアッパーへ降格。この指揮官の下では、2試合(計91分)しか出場機会が与えられなかった。

 ただ、そのL・セサル監督も最下位から引き上げられず、フェルナンド・バスケス政権になると、レギュラーに返り咲き、7連勝と一時的に復調したチームを気の利いたプレーで支えた。だが、残留争いのプレッシャーからか、再び失速したデポルを救うどころか、30節と36節にレッドカードで退場するなど、らしくないプレーが散見。まさかの3部降格を阻止することができなかった。
 
鎌田大地(フランクフルト/ドイツ)――90点(ほぼ申し分なし)
【2019-20シーズン成績】
ブンデスリーガ=28試合・2得点・6アシスト
ヨーロッパリーグ=9試合・6得点・2アシスト※8月6日に再開マッチ
ヨーロッパリーグ予選=6試合・0得点・1アシスト
DFBポカール=4試合・2得点・0アシスト

 公式戦47試合に出場(8月5日現在)し、10ゴール・9アシストと攻撃的MFとして十分な結果を残した。確かなボールテクニックと精度の高いパスを武器に、最後の30メートルでアクセントをつける役割を遂行。プレースキックによるチャンスメークでも好印象を残した。

 ELグループステージ5節・敵地アーセナル戦での2ゴール、同ラウンド・オブ32・ザルツブルク戦でのハットトリック、31節ヘルタ・ベルリン戦の3人抜きアシストなど、ファンの度肝を抜いた試合も少なくない。ブンデスリーガでの得点(2)が伸びていれば、フランクフルトの年間MVPに選出されてもおかしくない充実のシーズンだった。

遠藤航(シュツットガルト/ドイツ2部)――80点(とてもよくやった)
【2019-20シーズン成績】
ブンデスリーガ2部=21試合・1得点・1アシスト
DFBカップ=1試合・0得点・0アシスト

 加入当初には想像もつかない飛躍を遂げた。プレシーズンキャンプに未参加という難しさもあり(シント=トロイデンからのレンタルが決まったのは開幕直前)、序盤戦はまったく出番に恵まれなかった。しかし、14節のカールスルーエ戦で初先発を飾ると、この重要なダービーマッチで存在感を発揮。アンカーとして対人戦の強さや危機察知能力の高さを示し、3−0の完勝に大きく貢献したのだ。

 以降は出場停止で欠場した32節を除く全試合にフル出場。19節から率いたペッレグリーノ・マタラッツォ監督から「いまのわれわれに最も重要な存在」と称されれば、地元紙からは「チームの心臓」と絶賛された。縁の下の力持ちだった遠藤の活躍なくして、チームの昇格はありえなかったかもしれない。
 
原口元気(ハノーファー/ドイツ2部)――70点(よくやった)
【2019-20シーズン成績】
ブンデスリーガ2部=32試合・6得点・5アシスト
DFBカップ=1試合・0得点・0アシスト

 ハノーファー会長が2021年夏で切れる契約の延長を示唆したのは、ケナン・コチャク監督率いるチームの重要な戦力になったから。だが、ミルコ・スロムカ体制の序盤戦は苦労した。攻撃的なポジションを担いながら、開幕13試合で無得点。ただ、14節のダルムシュタット戦できっかけを掴む。ハノーファー43試合目にして初ゴールを決めたのだ。

 以降はコチャク新監督からの信頼を日増しに深め、リーグ戦終了までほぼフル稼働。コロナブレイク明けの初戦でカットインから低空ショットを突き刺すなど美弾も披露した。公式戦33試合出場はチームトップで、ゴール数(6)とプレータイム(2455分)は同3位の好成績だ。

宮市亮(ザンクトパウリ/ドイツ2部)――80点(とてもよくやった)
【2019-20シーズン成績】
ブンデスリーガ2部=29試合・1得点・7アシスト
DFBカップ=1試合・0得点・0アシスト

 度重なるケガに泣かされてきたウインガーが、ザンクトパウリのフィールドプレーヤー最多の29試合に出場。この事実だけでも嬉しい驚きと言えるが、チームトップの7アシストと奮闘した。

 シーズン終了後には、現地メディア『MOPO』がパウリのウインガー陣では「宮市だけがトップパフォーマーと言える」と称賛。ウイング、サイドハーフ、そして開幕直後にはサイドバックを務めたように、もはやスピードばかりが取り柄のアタッカーではなくなった。膝の怪我で離脱した最終盤を除けば、肉体的な力強さも感じさせた宮市。仮にアシストと同程度の得点数なら、4大リーグ返り咲きの現実味が帯びたのではないか。
 
堂安律(フローニンヘン→PSV/オランダ)――50点(可もなく不可もなし)
【2019-20シーズン成績】※コロナ禍により、26節でシーズン打ち切り
エールディビジ=21試合・3得点・1アシスト
ヨーロッパリーグ=4試合・0得点・2アシスト
オランダ・カップ=2試合・0得点・0アシスト

 フローニンヘンのエースとして始まった19−20シーズンは、第2節のトゥベンテ戦で圧巻のミドルシュートは決めるなど、出だしは悪くなかった。その後にステップアップ移籍を果たしたPSVでも「賢い選手」としてマルク・ファン・ボンメル監督から評価を得て、頻繁に先発出場。16節のフォルトゥナ・シッタルト戦では、今シーズンのベストパフォーマンスだった。

 一方で、フローニンヘン時代のようなゴールに直結するプレーが影を潜め、メディアから懐疑的な評論を受けたこともしばしばあった。年末から指揮を執ったアーネスト・ファーバー監督はフローニンゲン時代の恩師だったが、出場機会は減ってしまい、消化不良のままシーズンを終えた。
 
中島翔哉(ポルト/ポルトガル)――30点(不満が残る)
【2019-20シーズン成績】
リーガNOS=16試合・0得点・1アシスト
ヨーロッパリーグ=4試合・0得点・0アシスト
チャンピオンズ・リーグ予選=1試合・0得点・0アシスト
ポルトガル・カップ=4試合・1得点・0アシスト
リーグ・カップ=3試合・0得点・2アシスト

 シーズン序盤からベンチスタートが多く、満足な出場機会が得られなかった。徐々にヨーロッパリーグや国内カップ戦で出番が与えられたが、なかなか決定的な仕事ができなかった。公式戦28試合で1得点・3アシストは、10番として不満の残る出来というほかない。

 コロナ中断後は、家庭を優先してチームから離れ、以降は一度もメンバーに招集されなかった。国内リーグとポルトガル・カップの2冠を成し遂げたチームにあって、そのセレモニーにも顔を見せず、完全に“蚊帳の外”となってしまった。クラブの会長は来シーズンの残留を明言しているが、セルジオ・コンセイソン監督との関係も含めたチーム内で置かれた立場を考えると、去就は不透明だ。
 
森岡亮太(シャルルロワ/ベルギー)――80点(とてもよくやった)
【2019-20シーズン成績】※コロナ禍により、29節でシーズン打ち切り
ベルギー・リーグ=29試合・6得点・5アシスト
ベルギー・カップ=2試合・0得点・0アシスト

 秋口に攻撃的MFからセントラルMFにポジションを下げたのが功を奏した。ボールタッチが増したことによって、ビルドアップに対する関与が頻繁になり、単調だった攻撃に変化をもたらした。苦手とされていた守備での貢献度も高くなり、ボール奪取率の高さは「中盤の掃除機」として高い評価を得た。

 相手陣地から遠ざかったことからバイタルエリアへの進出回数は減ったが、巧みなシュートテクニックで6点を記録。「シャルルロワの頭脳」として攻守に牽引し、チームの3位フィニッシュに大きな貢献を果たした。

伊東達哉(シント=トロイデン/ベルギー)――40点(やや不満が残る)
【2019-20シーズン成績】※コロナ禍により、29節でシーズン打ち切り
ベルギー・リーグ=7試合・0得点・0アシスト
ベルギー・カップ=1試合・0得点・0アシスト

 練習でのハイパフォーマンスが報じられたものの、マルク・ブライス元監督から一向に声が掛からず。第9節のヘンク戦でようやく初出場を果たし、61分からピッチに立つと、鋭いFKでゴールに絡んだ。ヘント戦でも精度の高いFKを披露し、スーパーサブの役目が与えられたかに思われたが、、パフォーマンスが高みで安定せず、連続出場が4でストップすると、年明けまで出場機会を失ってしまった。

 鍛えきった身体で挑んだ今夏のプレシーズンでは積極的にカットインシュートを試みる姿勢を見せ、新シーズンに捲土重来を期している。
 
小林祐希(ワースランド=ヘベレン/ベルギー)――50点(可もなく不可もなし)
【2019-20シーズン成績】※コロナ禍により、29節でシーズン打ち切り
ベルギー・リーグ=20試合・2得点・2アシスト
ベルギー・カップ=1試合・0得点・0アシスト

 デビューマッチとなった8節のムスクロン戦で試合の流れを引き寄せ、10節のオーステンデ戦ではCKからアシストを記録するなど、途中出場を重ねながらチームの信頼を勝ちt取り、12節のメヘレン戦からレギュラーに定着した。

 主にトップ下としてプレーし、ミドルレンジのパスとシュートの質の高さを発揮。今シーズンの3ゴール(FK含む)はいずれもミドルレンジから決めた。スタンダール戦でアシストを記録したクロスも美しかった。しかし、シーズンを通じてチーム状況が改善せず、後半戦は残留争いのプレッシャーに屈した形でチームが崩壊。一人ではなす術がなかった。
 
三好康児(アントワープ/ベルギー)――50点(可もなく不可もなし)
【2019-20シーズン成績】※コロナ禍により、29節でシーズン打ち切り
ベルギー・リーグ=14試合・1得点・0アシスト
ベルギー・カップ=1試合・2得点・0アシスト

 アントワープ加入が決まった時は、強度の高いチームスタイルと、軽妙な三好のプレーがマッチングするのか訝しがる声があった。フロント主導の移籍だったせいか、入団当初はラースロー・ボローニ監督もあまりその特徴を理解してなかった。しかし、アンデルレヒトとのデビュー戦で、途中出場からわずか4分でスーパーゴールを決めて、チーム内での居場所を掴んだ。

 そして、小回りの効くプレーで、ハードワーク型のチームにおいてアクセントになっていった。途中出場でもスムーズに試合の流れに入っていけるのも、強みだった。それだけに、足首の故障が思ったよりも長引き、長期に渡って戦線離脱してしまったのが残念だった。

天野純(スポルティング=ロケレン/ベルギー2部)――50点(可もなく不可もなし)
【2019-20シーズン成績】※コロナ禍により、28節でシーズン打ち切り
ベルギー・リーグ2部=24試合・3得点・3アシスト
ベルギー・カップ=2試合・1得点・1アシスト

「ベルギー2部のレベルが思ったより高く、意外と順応に時間がかかってしまった」と振り返ったように、フィットするまでに時を要した。その間に縦への意識が強い選手へと姿を変えていった。左足のテクニックやキック力は十二分に通用したが、1シーズンを通じてレギュラーとしてプレーした割には3ゴール・3アシストと数字が伸びなかった。しかし、その課題としっかり向き合ったのは、復帰した横浜F・マリノスでのゴールが証明している。