数年前まで、セリエAの舞台でプレーするチャンスを得られるとは思っていなかっただろう。

 イタリア紙『Gazzetta dello Sport』が8月31日、新シーズンからセリエAに昇格するクロトーネの所属選手、ブラジル出身のFWジュニオール・メシアスの経歴を紹介した。

 サッカー選手になろうと22歳でイタリアに来たメシアスだが、滞在許可証を得ることができず、養わなければならない家族もいるという苦境に陥った。「ウチに来てくれれば、仕事を紹介する」と誘われたメシアスは、冷蔵庫の配達人として仕事をしながらアマチュアチームでプレーを始める。

 すると、「すごい選手がいるから見に来てくれ」と誘われたトリノOBのレジェンド、エツィオ・ロッシの目にとまる。ロッシは試合後にピッチに降り立ち、「彼のような選手がこんなところにいちゃいけない」と進言。下部リーグのクラブとの“契約”にこぎつけた。それでも月給はわずか1500ユーロ(約19万円)だった。
 
 サッカーに専念する機会をもらったメシアスは、シーズン21ゴールと活躍する。翌年からセリエD(4部)でも得点を量産し、2017-18シーズンにリーグ優勝。2018-19シーズンにセリエC(3部)でも活躍し、2019年にセリエB(2部)のクロトーネへの移籍を勝ち取った。

 12月に初ゴールをマークしたメシアスは、セリエBで6ゴールを記録し、チームの昇格に貢献。イタリアに渡って7年、ついにセリエAという大舞台でプレーするチャンスを手に入れたのだ。まさにシンデレラストーリーと言えるだろう。

『Gazzetta dello Sport』は、セリエA初挑戦に加え、ポジション争いもあることから、メシアスが厳しい戦いを強いられる可能性もあると指摘する。だが、それは本人も承知のはずだ。29歳の苦労人は、憧れの舞台で結果を残すことができるだろうか。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部