果たして、現在Jリーグでプレーする一流助っ人が示すエースの条件とは? 助っ人の代表格のひとりであるディエゴ・オリヴェイラ(FC東京)に見解を訊いた。

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──単刀直入に。ディエゴ(・オリヴェイラ)選手が抱くエース像は?

「エース、言い換えれば『スター』はどのチームにもいます。そう呼ばれる選手は、他のプレーヤーと違って特別な何かを持っています」

──「特別な何か」とは? 具体的に教えてもらえますか。

「一概に“これ”とは断定できません。選手のキャラクターによって強みも弱みも違いますから。ただ、強いてひとつ挙げるなら、そのクラブでの貢献度の高さでしょうか。ファン・サポーターにとっては間違いなく“特別な要素”です」

──引退した選手も含め、ブラジル人でエースと言えば?

「現役のセレソン(ブラジル代表の愛称)ではネイマール。過去を振り返れば、ロナウド、ロマーリオ、それからロベルト・カルロスが文字通りのスタープレーヤーです」

──サイドバックのロベルト・カルロスをエースに挙げた理由は?

「代表チームの“顔”として何年もブラジルのサッカー界に尽力したからです。(インテルやレアル・マドリ―などでプレーした)クラブシーンの活躍も含めれば、世界のフットボールへの貢献度は計り知れないものがあります」
 
──ディエゴ選手の憧れの存在でもあるロナウド選手の凄さを教えてください。

「私が説明するまでもないでしょう(笑)」

──それでもお願いします。

「ひと言で言えば、フォワードとしての資質をすべて備えています。ドリブルのテクニック、フィニッシュへのアプローチ、シュートセンスのどれもが超一流。代表とクラブ(バルセロナ、インテル、レアル・マドリ―など)の両方で立派な成績を残していますし、世界でもっとも偉大なストライカーのひとりです」

──ディエゴ選手が12歳の時に開催された2002年の日韓ワールドカップでの、ロナウド選手の活躍を覚えていますか?

「もちろん。ブラジル代表の全試合をテレビで観ました。ロナウド選手以外にも、リバウド選手、ロナウジーニョ選手など素晴らしいタレントがいて、しかもワールドカップ優勝まで成し遂げましたからね。史上最強のチームと言っても過言ではありません」

──ロナウド選手のトレードマークでもある“背番号9”を、ディエゴ選手もFC東京でつけていますね。

「そこまで強いこだわりがあるわけではありません。柏にいた頃(16〜17年)は11番でしたし。大事なのは背番号よりもパフォーマンス。ピッチの上でどう輝くか、選手の価値はそこで決まるはずです」

──FC東京では、ディエゴ選手の戦力的価値が近年の活躍で高まっています。前線の大黒柱で、その存在感はまさにエースです。

「正直、自分では自覚がありません(笑)。メディアの皆さんからそう評価されることは嬉しいですが、『エース』と呼ばれるためにプレーしているわけではありません。仲間のため、チームの勝利のために全力を尽くす。それが私のスタンスです」

──ただ、ファン・サポーターはディエゴ選手に特別な期待感を抱いていると思います。実際、あなたにボールが渡ると“何かやってくれそうな雰囲気”になりますから。

「ファン・サポーターの皆さんからの期待はひしひしと感じます。それに応えられるよう、頑張りたい。目に見える結果をコンスタントに出すためには、さらなる努力が不可欠です。リーグタイトルを掴むには、個人だけでなくコンビネーションも磨いて、チームとして成長する必要があると思います」
 
──チームメイトや長谷川(健太)監督からの信頼は感じていますか?

「もちろん。ただ、その信頼はいつ消えてもおかしくないものです。なにより結果が求められるシビアな世界ですから、期待を裏切り続ければいずれ出番を失ってしまう。だからこそ、今以上に努力をしてチームに貢献する。信頼関係は日々の積み重ねで築き上げていくものだと信じています」

──ディエゴ選手の持ち味と言えば、独特の切り返しと抜群のキープ力、さらに迫力満点のフィニッシュワークです。プレースタイルでお手本にしている選手はいますか?

「素晴らしいサッカー選手は世界中にいます。一人ひとりに個性があって、そんな彼らのプレーは良い教材になり得ます。実際、私自身も参考にする時はありますが、単純にコピーをするつもりはありません。あくまでディエゴ・オリヴェイラはディエゴ・オリヴェイラ。オリジナルのプレースタイルがあって、それをベースに勝負しなければプロとしては生き残れないと考えています。おそらく他の選手も、そうした意識でサッカーと向き合っているのではないでしょうか」

──ブラジル人以外でエースと呼べる選手は? できれば、(リオネル・)メッシとクリスチアーノ・ロナウド以外で。

「引退した選手ならまず、(ティエリ・)アンリ選手(元フランス代表)。それから、(パオロ・)マルディーニ選手(元イタリア代表)、(ジネディーヌ・)ジダン選手(元フランス代表)、(アンドレア・)ピルロ選手(元イタリア代表)。現役でベテランなら(ズラタン・)イブラヒモビッチ選手(元スウェーデン代表)、脂が乗っているという意味では(キリアン・)エムバペ選手(現フランス代表)でしょうか」
 
──彼らのようなエースになるための条件は?

「いろんな条件がありますが、最たるそれはタイトル獲得に直結する仕事をできるか。別の言い方をすれば、勝負強さが重要なファクターと考えています。あとは、最初のほうでも話しましたが、チームへの高い貢献度ですね」

──今挙げてくれた条件を備えた現役Jリーガーは?

「パッと思い浮かぶのは、G大阪の遠藤(保仁)選手、川崎の中村(憲剛)選手、横浜FCの三浦(知良)選手です。あっ、横浜FCなら中村(俊輔)選手も忘れてはいけません。彼らは同じプロ選手からも、ファン・サポーターからも愛されており、模範となるべきJリーガーです。他にもたくさん優れた選手はいますが、ここでは以上の4人をエースとして挙げておきます」

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

※本稿はサッカーダイジェスト8月27日発売号に掲載されたものを加筆・修正。