試合終了のホイッスルが鳴ると、ピッチに崩れ落ちた。唇を噛み締め、なかなか顔が上げられない。目には涙も浮かんでいた。

 市立船橋のDF石田侑資(3年)にとって、約8か月ぶりの公式戦は悔しい一戦となった。

 9月6日に行なわれたU-18高円宮杯プレミアリーグの開幕戦。市立船橋は浦和レッズユースとのアウェーゲームに挑んだが、37分に堀井真海(3年)にゴールを許して0−1で敗れた。

 相手が試合前のスカウティングとは異なる戦い方をしてきた影響で、後手を踏んだことは否めない。実際に60分までシュートすら打たせてもらえず、自陣で相手の攻撃を跳ね返す場面の連続。中盤以降は相手の足が止まり、チャンスを作るシーンが増えたが、ゴールを奪うまでには至らなかった。

「自分のミスで負けてしまい、改めてプレミアの難しさを知りました。相手が試合前のミーティングで分析した時と違っていて、状況によって戦い方が上手くいかず、前半はフィットできませんでした。そこを改善できていれば、戦い方も少し違っていたかもしれません。最後尾の自分が一番見えるポジションにいるので、もっと発信できれば良かった。今日は自分のミスでチームを黒星にしてしまいました。次の試合に向けて、この1週間は誰よりも努力をしたい」

 相手のスタイルに対応できずに敗戦。悔しさを滲ませた石田だが、敗戦の責任を背追い込んだのには理由がある。自身のパスミスが失点に直結したからだ。

 問題の場面はゴール前で起きた。DF菅谷暁輝(3年)からボールを受けると、石田はノールックで前方にパスを出す。しかし、敵のプレスを把握できておらず、相手FW堀井に奪われてシュートを決められた。

 安易なボールロストからの失点。チームのキャプテンでプロを目指す者として、このミスは絶対にあってはならない。だからこそ、石田は誰よりも悔しがった。

「今年はキャプテンを任せてもらい、プレッシャーや重みもあります。でも、大役を託してもらったので期待に応えないといけない。去年はチームに勝たせてもらったからこそ、今年は自分が中心になって勝たせることを意識してやってきた。なので、今日は本当に悔しい」
 
 失敗を本気で悔しがれるのは、公式戦だからこそだ。練習試合と比べれば、ミスの重みはまるで違うし、勝負へこだわる気持ちも強い。それがミスを挽回する原動力となり、懸命にゴールを目指すエネルギーになる。実際に石田は体力的に一番きつい終盤に攻撃参加し、ミドルシュートやクロスで相手ゴールに何度も迫った。練習試合であればこうはいかないし、公式戦ならではの緊張感が敗戦の悔しさを倍増させたのは言うまでもない。

 本気で勝利を目指したリーグ開幕戦。今回のミスは石田にとって悔やんでも悔やみきれないが、この敗戦が自身の成長に大きな意味を持つ。

 春先からプロ入りを目指し、誰よりもチームのために戦ってきた。現状でオファーはないが、こうした経験を積み重ねれば自身のレベルアップに繋がるし、課題の改善ができればスカウト陣へのアピールにもなる。そのためにも浦和戦のミスと向き合わなければならない。

「気持ちの入ったプレーが彼の良さ。その中で正確にプレーできるか。パスの質や判断。リーダーシップがあるのはもう分かっている。プロになるためにはプレーの質を上げていかないといけない」

 波多秀吾監督から指摘された通り、プレー精度を高め、プロ入りの道を切り開けるか。石田は言う。

「強い相手とできるので抑えればアピールにもなる。『(Jクラブのスカウトから)取っておけば良かった』と思われるようにやっていきたい。今は具体的なオファーがないけど、『絶対に見返してやる』という気持ちでやっていきたい」

 大学進学を断り、卒業後の進路はプロ一本に絞った。退路を断っただけに、立ち止まっているわけにはいかない。石田は久々の公式戦で味わった悔しさを忘れず、目標を叶えるためにもう一度這い上がる。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)