クラブチームの指揮官が、選手の招集を巡り、代表チームの監督に不満を表すのはよくあることだ。新型コロナウイルスの影響で異例の過密日程となっている今は、なおさらだろう。

 トッテナムのジョゼ・モウリーニョ監督とイングランド代表のガレス・サウスゲイト監督が、ハリー・ケインの招集を巡って言い合っている。英紙『Daily Mail』が報じた。

 ケインは代表戦での試合を含めると、今後、12日間で5試合に出場するという超過密日程になるという。昨シーズンに相次ぐ主力の負傷に苦しんだモウリーニョは、日程の異常さを繰り返し口にしているが、長期離脱を経験したケインの招集には特に敏感だ。

 チェルシーとのリーグ・カップでケインをスタメンから外したモウリーニョは、「フィットしていればどの試合でも先発だが、そうじゃなかった」と話し、代表戦での親善試合でのケインの起用を期待していないと仄めかしている。

「すべての試合で勝ちたければ、彼を起用する。だが、それはできない。サウスゲイトと(アシスタントの)スティーブ・ホランドとは話していない。彼らは彼らにふさわしい自由をもってやりたいように仕事をさせる。

 ただ、今週のトッテナムでの出来事を理解し、(代表戦では)選手たちをリスペクトするように願うよ。私の希望というだけだ。電話したり、求めたり、請うことはないがね」

 一方、サウスゲイトはクラブでの選手たちの日程を考慮すべきと訴えており、「ジョゼは特に4、5月にケインのことを気にかけなければならない。5500万人もの人が頼るのだからね」と、2021年に延期となった欧州選手権(EURO)への配慮を求めた。

「モウリーニョが私に電話してくることはないだろう。だが、トッテナムのスタジアムのてっぺんに立ち、そこからわれわれにモノを言ってくるだろうね」

 だが、舌戦は終わらない。ヨーロッパリーグ予選でマッカビ・ハイファに7-2と大勝し、グループステージ進出を決めたモウリーニョは、「友人のホランドとサウスゲイトに私から約束できるのは、シーズンが終わるまで、どんなフレンドリーマッチであっても、ケインを1分もプレーさせないことだ」と“返答”している。

「(同試合でハットトリックを達成した)ケインはわれわれにとって重要な試合をした。数百万ポンド(の収入)を意味する試合だ。われわれがグループステージを競い、野心を持っているという意味を表す試合になった」

 主役である選手たちは人間であり、コンディショニングへの配慮は欠かせない。だが、立場が異なるだけに、クラブと代表の利害関係はなかなか一致しないものだ。モウリーニョとサウスゲイトは妥協点を見つけられるのだろうか。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部