今年も残り3か月を切り、高校サッカー選手権の時期が近付いてきた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で上半期はインターハイが中止となったが、8月下旬から各地域のリーグ戦が再開。冬の風物詩・高校サッカー選手権も予選が始まり、10月下旬からは県大会の佳境を迎えていく。

 例年とは異なるスケジュールでアピールする場が限られた高校生たち。だが、続々と来季のプロ入りを勝ち取っている。昨冬の選手権で初めて単独優勝を果たした静岡学園のSB田邉秀斗(3年)は川崎フロンターレ、同準優勝の青森山田のCB藤原優大(3年)は浦和レッズへ加入。さらに、同ベスト8の昌平からはMF須藤直輝(3年)とMF小川優介(3年)が鹿島アントラーズ、FW小見洋太(3年)がアルビレックス新潟、柴圭汰(3年)が福島ユナイテッドFCへ加入することが決まった。

 そこで今回は、今後のプロ入りが有望視される逸材を一挙に紹介する。高体連屈指の実力者たちは、プロ内定を掴み取るのか。選手権予選や本大会で彼らが見せるパフォーマンスにも注目だ。

【PHOTO】2021シーズン 「Jクラブ入団内定」が決まった主な選手はコチラ!

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藤井海和(流経大柏/3年)
【G・シャビエルとの対峙で刺激を受ける守備のスペシャリスト】
入学早々のプレミアリーグ・2節でトップチームデビューを果たし、ボランチやセンターバック(CB)で存在感を放ってきた守備者だ。昨年は3月にU-17代表候補合宿に参加。昨冬は選手権の舞台に立てなかったが、高校選抜候補に選ばれるなど、その実力は頭ひとつ抜けている。最大の武器は守備のセンス。173cmと大柄ではないが、カバーリング能力やボールを奪い切る力は上のレベルでも十分に通用する。春先には名古屋の練習に参加し、カブリエル・シャビエルなどと対峙して刺激を受けた。「選手権に懸ける思いも強い」と言い切る男は大舞台での活躍を誓う。

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石田侑資(市立船橋/3年)
【大学進学を断り退路を断ってプロ入りを目指す】
徳島U-15から名門・市立船橋の門を叩いた男は最後までプロ入りを諦めない。球際の強さや類まれなリーダーシップで高校1年次から出番を得ると、昨季はCBとして活躍。3年ぶりとなるチームの選手権出場に貢献した。今季はキャプテンに就任。伝統の背番号5を背負い、キャプテンとして闘志溢れるプレーを見せている。卒業後の進路はプロ入りを目指し、大学進学を断って退路を絶った。Jクラブへの加入ができなければ、海外挑戦も辞さない覚悟で最後の冬に挑む。
 
DF
タビナス・ポール・ビスマルク(青森山田/3年)
【ガンバ所属の兄とは異なるロングスプリントが持ち味】
攻撃能力に長けた左利きのサイドバック(SB)だ。パワフルさとダッシュ力が売りの兄・タビナス・ジェファーソン(G大阪)と同じタイプに見えるが、こちらはロングスプリントが持ち味。昨季まではサイドハーフでプレーしていたものの、特徴をより生かすために昨冬からSBにコンバートされた。課題だった守備面も改善。“青森山田らしい”身体を張った守りも見せるようになってきた。選手権でアピールし、高卒でのプロ入りを目指す。

MF
大森 博(修徳/3年)
【目標はポグバ! 186cmの“技巧派”ボランチ】
1年次に世代別代表へ招集されるなど、サイズと技術を兼ね備えた選手として注目されてきた。以前は運動量や戦う姿勢に課題を抱えていたが、最終学年になって大きく成長。身体もひと回り大きくなり、チームの核として堂々たるパフォーマンスを見せている。目標はフランス代表のポール・ポグバ。「身長を生かしたプレー、足もとの技術、攻撃の組み立て、運動量。それを伸ばせれば、自ずと道が開ける」と意気込む186cmの技巧派ボランチから目が離せない。

FW
鈴木輪太朗イブラヒーム(日大藤沢/3年)
【アスリート一家で成長!ガーナにルーツを持つ大型FW】
ガーナ人の父親はサッカー、日本人の母親はバスケットボールの経験者。叔母も日本リーグのトヨタ自動車などでプレーするなど、スポーツ一家で育ってきた。中学までは横浜FCの下部組織に所属し、FWだけではなくボランチやCBなどでもプレー。高校進学後はFWに専念し、フィジカル面や空中戦の強さに磨きをかけた。昨年12月にはU-16代表に選出もされている。最大の武器は192cmの体躯を生かしたプレーとテクニック。今季はアピールする場が限られた影響で大学進学を模索していたが、夏休み明けに進路をプロ一本に絞った。エースとして挑む最後の冬。得点を量産できれば、可能性は大きく広がるはずだ。
 
FW
長野星輝(東福岡/3年)
【選手権で主役の座を狙う資格は十分!調子を上げる名門の大型FW】
名門・東福岡で9番を背負う大型FWが選手権を前に調子を上げている。185センチと大柄ながら、最大の武器はテクニックとスピード。中盤に降りてボールを捌きつつ、隙あらば相手の背後を一気に突く。昨季はメンタル面の未熟さや怪我の影響で不完全燃焼に終わったが、最上級生となり責任感が増した。フィジカル面も強化され、プレーに逞しさも出てきている。心技体が揃い、最後の冬に主役の座を担う資格は十分。高卒でのプロ入りも狙うべく、最後の冬に全てを懸ける。

FW
森山一斗(流経大柏/3年)
【“流経”の10番を託された高体連屈指のゴールゲッター】
圧倒的なスピードと技術を兼備する高体連屈指のゴールゲッターだ。チームメイトのGK松原颯汰(3年・千葉内定)、藤井と同様に1年次から選手権に出場。昨季はエースとして活躍し、U-18高円宮杯プレミアリーグEASTでは得点ランク4位となる9ゴールを上げた。その一方で、同年の選手権では負傷に悩まされ、チームも予選決勝で敗北。誰よりも悔しさを噛み締めた。10番を託された高校ラストイヤー。選手権の舞台で躍動し、プロ入りを掴み取れるか。

文●松尾祐希(フリーライター)

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