バルセロナのファンが将来を楽観視できない理由の1つに、若手の突き上げの少なさがあった。

 ラ・マシアからの逸材の台頭が枯渇しているだけでなく、久保建英(現ビジャレアル)やブラヒム・ディアス(現ミラン)をレンタルに出している宿敵レアル・マドリーのように、数年後の本格ブレイクが期待される武者修行中の若者も少ない。

 ただ、ここにきてその潮目が変わりつつある。

 デビュー2年目を迎え、さらに凄みを増しているアンス・ファティに続き、同じく17歳のMFペドリが、加入1年目にして驚異的なスピードでチームに順応。ブレイクの兆しを見せているのだ。
 
 7節のR・マドリー戦でも堂々スタメンに名を連ねたペドリは、祖父が地元テネリフェでバルサのペーニャ(公式ファンクラブ)を創設し、父親が現会長を務めるという一家に生まれ育った生粋のクレ(バルサ・ファンの呼称)だ。

 バルサとは運命の糸で結ばれていたと言えなくもないが、実際にバルサがその才能に惚れ込み、獲得に動きはじめた当初、クラブ内には無名の若手に500万ユーロ(約6億2500万円)の移籍金を支払うことに対して、反対の声が多く上がっていた。

 しかし、テクニカルスタッフが繰り返し獲得の必要性を訴え、マルコ・アセンシオを獲り逃した過去の苦い経験も教訓にし、昨夏にようやく「1年後の入団」という条件で獲得にこぎ着けたのだ。

 このペドリの獲得は、補強では失敗続きで、28日についに辞任を表明したジョゼップ・マリア・バルトメウ政権の、最大のヒットのひとつとなるかもしれない。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部