本田圭佑の所属するボタフォゴは、ブルーノ・ラザロニ監督が、就任から1か月も経たないうちに解任。10月31日には、GKコーチのフラビオ・テニウスが監督代行を務める形でブラジル全国選手権もセアラー戦に臨み、2-2で引き分けた。

 今シーズン18試合で11度目の引き分けであり、チームのプレーは酷く、リードを奪いながら格下のチームに二度も追いつかれてしまった。

 しかし、その中で本田は光っていた。16分にはPKで今シーズン2点目を決め、先制点をもたらしした。その後は、キャプテンらしく果敢にピッチを動きまわった。後半に途中退場したが、今回は不満そうな態度も見せなかった。

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 ただ、注目すべきは別な点にある。実はボタフォゴにはもう1本PKが与えられていた。しかしこれはヴィクトル・ルイスが蹴り、そして失敗した。これが決まっていたら勝っていたかもしれないだけに、「なぜまた本田に蹴らせなかった」と非難の声が飛んだ。

 それに対しV・ルイスは「本田に蹴れと言われたから蹴った」と言い訳をしている。ただテニウス監督代行によると、「ヴィクトルが蹴りたいと言って来たので、私は本田に聞いて彼がOKだったら蹴りなさいと言った」というのが真実のようだ。

 いずれにしても、日本人MFがこのチームに大きな影響力をもたらしているのは、このエピソードからも明らかだ。

 ラザロニが更迭される数日前には、チームのフィジカルトレーナーが解任されているが、その理由は「本田にベストの力を出させてやることができなかった」からだと、チーム内部の人間が教えてくれた。本田にスピードがなく、いつも試合後には疲れ切っているのは、フィジカルの鍛え方に問題があるからということだった。

 それほど、このサムライ戦士の影響力は高まっているのだ。

文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子

【著者プロフィール】
リカルド・セティオン/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。
8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。