11月9日からオーストリア・グラーツで調整を行なってきた日本代表。いよいよ今日13日に初戦・パナマ戦に挑む。森保一監督は「10月よりもさらに11月の活動でコンセプトの共有、レベルアップを図るとともに、まずは明日のパナマ戦で勝利してみなさんに喜んでいただきたい」とコメント。さらなるチーム力向上を目論んでいる。

 前回シリーズで突きつけられた最大の課題が得点力不足だろう。コートジボワール戦(ユトレヒト)では植田直通(セルクル・ブルージュ)のロスタイム劇的ヘディング弾が決まって辛くも勝利したが、残念ながら攻撃陣は決め手を欠いた。

 2試合通してタテへの推進力を前面に押し出し、好印象を残した伊東純也(ゲンク)が「もっと多くチャンスを作ることも大事だけど、相手が強くなると難しくなるので、少ないチャンスをいかにモノにするか。最後の精度のところが大事になると思います」と課題克服のポイントを強調した通り、まずは攻撃バリエーションを増やすことが前進への第一歩と言っていい。

 こうしたなか、気になるのは選手の起用法ではないか。大迫勇也(ブレーメン)不在の最前線はコートジボワール戦で爪痕を残した鈴木武蔵(ベールスホット)を据えることになるだろうが、問題は2列目。これまでの序列だと、右から堂安律(ビーレフェルト)、南野拓実(リバプール)、原口元気(ハノーファー)がファーストチョイスだったが、今回は堂安が不在。南野も所属のリバプールで直近3試合出番なしと停滞中だ。原口は絶対的地位を確立しているから問題ないが、右とトップ下は流動的。コートジボワール戦で持ち味を発揮した伊東、鎌田大地(フランクフルト)を再び配置し、連係面を研ぎ澄ませながらゴールに迫っていくのも一案かもしれない。

 ただ、右に関しては、多彩な候補者が”大渋滞”を起こしている状況。1年ぶりに代表復帰した浅野拓磨(パルチザン)もクラブではここを主戦場にしているし、2017年8月のオーストラリア戦でロシア切符を引き寄せる先制弾を挙げた時も右だった。久保建英(ビジャレアル)はクラブでは2列目全ポジションで使われているが、右でフル出場したマッカビ・テルアビブ戦ではゴールに絡むなど異彩を放ち、ここが適正ポジションであることを窺わせる結果となった。三好康児(アントワープ)も右要員としてコンスタントに出場し、調子を上げている。森保監督も選択肢が多すぎて頭を悩ませているのではないか。
 
 アジアサッカー連盟から2021年3月の2022年カタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選再開が正式発表され、今回が数少ないテストの場になることを考えると、やはり思い切ったトライが欲しい。そこで見ておきたいのが、右サイド・久保の”ガチ起用”だ。2019年6月のエルサルバドル戦(宮城)で初キャップを飾ってから9試合に出ている19歳のレフティだが、スタメンはコパ・アメリカ(ブラジル)の2試合とコートジボワール戦の計3戦のみ。前者は2シャドーの一角で、後者は左サイドだったため、代表の右サイドで久保が長時間プレーしたことは一度もないのだ。

「タケとはFC東京の時から一緒にプレーしていますけど、ホントに何でもできる選手。自由にプレーさせて、やりやすいようにサポートすることが一番いい」と、かつてタテ関係を形成した室屋成(ハノーファー)は非凡な能力を認めている。一方、同タイプのテクニシャンで元代表の清武弘嗣(C大阪)も「彼はマジでレベルが高すぎる。技術が高くて、1対1で仕掛けられて、パスも出せるし、視野も広い。スピードもある。すげえなって思いながら見ています」と感心。ポテンシャルを最大限発揮するところを見たいと誰もが願っている。

 であれば、やはり本人にとってベストな役割で使うのが一番だ。「いろんなポジションができることを武器にしていきたい」と1年前に久保は話したが、バリエーションを広げるのは代表での地位を確保してからでも遅くない。自身の力を最も出しやすい右でプレーした時、彼が本来の実力を発揮できるかどうかをここで確認しておくことは、今後の日本代表にとっても大きなプラスになる。

 スピード系の伊東と浅野、テクニシャン系の久保と堂安、三好を柔軟に使い分けられるようになれば、W杯予選も余裕を持って戦える。そういう理想的な体制を構築すべく、特にパナマ戦では思い切ったチャレンジを指揮官に強く進言したいものだ。

 左に関しても、今回は原口への依存度が高いが、イザとなればロシア組の乾貴士(エイバル)や中島翔哉(ポルト)といった計算できる人材を呼べる。そういう意味で左は右に比べると安心感はある。こうした状況だからこそ、今回は右サイドの人材チェックを入念に行なうことが肝要だ。

「チームに貢献するための手段として結果を狙いたい」と意気込む背番号17がゴールに直結するチャンスを演出し、自ら結果を残してくれればまさに理想的。そういう成功シナリオを期待したい。

取材・文●元川悦子(フリーライター)