「今いるメンバーでどういう構成、あるいは配置をすればいいかを模索したなかで、上手く機能しているところがあります」(ザーゴ監督)

 新型コロナウイルスの陽性者と、濃厚接触者を含め7人が離脱しているほか、怪我人もいる。限られたメンバーでの戦いを余儀なくされているが、ここ3試合は2勝1分と勝ち越しており、チームの調子は下降するどころか、むしろ上向いている印象さえある。

 前節の仙台戦は終始、ゲームを支配して3-1の勝利。とりわけ際立っていたのが、流動的なポジショニングだ。中盤を菱形にした4-4-2システムも、状況に応じて左サイドハーフのレオ・シルバがアンカーの永木亮太とダブルボランチとなり、2トップのエヴェラウドが左サイドに入り、トップ下の土居聖真が前に出る。不用意にスペースを空けず、スムーズにポジションをローテーションし、良い攻撃、良い守備ができていた。

 ザーゴ監督は繰り返す。「今このメンバーで、この形でフィットしていると思います」と。ファン・アラーノは「エヴェラウド選手も(上田)綺世選手もサイドに流れることもできるし、前に2枚構えることもできる。いろんな形ができるし、試合の流れの中で、ダイナミックな部分で自然に起きることもある」と語る。

 指揮官の戦略と選手たちの適用力が合わさり、昇華しているなかで、仙台戦では特筆すべき得点シーンがあった。

 2-0で迎えた62分、自陣で相手のミスからボールを奪ったL・シルバが、前を走るJ・アラーノへパス。J・アラーノはさらに前方のエヴェラウドへ。右サイドを突破したエヴェラウドは逆サイドの上田へグラウンダーのクロス。これを上田が右足のシュートで流し込んだ。
 
 マイボールにしてから、10秒もかかっていない電光石火のカウンター。L・シルバ、J・アラーノ、エヴェラウドのパスだけでなく、上田のシュートもすべてダイレクト。仙台の守備が整う前に、一気にゴールを仕留めてみせた。

「背後へのボール、背後への動き出しが、意識を持ってチームとしてできるようになってきています。就任当初から言っている『縦を意識する』ということが、少しずつ、随所に出るようになってきたわけであって、たとえば、自陣からパス3本で得点した3点目は、チームとして選手たちの意識が表われていると思います」(ザーゴ監督)

 苦しいチーム事情を感じさせない戦いぶりで、着実に勝点を積み重ねることができている。シーズンの残り4試合はすべてホームゲーム。来季のACL出場権獲得のため、すべて勝ち切るつもりだ。J・アラーノは「4回の“決勝”がある」と独特の表現で気合いを入れ、次節の柏戦に向けては、「その1回目の決勝をしっかりと戦うことができれば」と必勝を誓った。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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