日本サッカー協会の反町康治技術委員長が「とんでもないクリスマスプレゼント」と苦渋の表情を浮かべた通り、新型コロナウイルス再拡大により、2021年のU-20・17両ワールドカップ(W杯)中止という予期せぬ通達がFIFAから届いた。7か月後の東京五輪の方も暗雲立ち込める状態だが、22〜26日に千葉・幕張で行われたU-23日本代表合宿は無事に全日程を消化。2020年の代表活動をなんとか終えることができた。

 最終日の関東学生選抜との練習試合は45・45・30分の変則的な形式で行なわれ、1本目は0-0、2本目は一美和成(横浜FC)と橋岡大樹(浦和)のゴールで2-0、3本目は郷家友太(神戸)と瀬古歩夢(C大阪)のゴールで2-0と勝利した。

「個々の特徴は存分に見させてもらった」と横内昭展コーチに指揮を任せた森保一監督は前向きに語ったが、反面で「10・11月のA代表の欧州遠征に参加したメンバーの方が自分から話しかけてくることは多かった」ともコメント。意識や自覚を含めた総合力で欧州組が優位であることを暗に認めた。

 その評価を踏まえながら、少し気が早いが、本大会代表メンバー18人を予想してみたい。

【GK】大迫敬介、波多野豪
 まずGKだが、1年間で最も勢力図が変わったポジションのひとつと言っていい。2019年末時点では大迫敬介(広島)と小島亨介(新潟)がリードしていたが、今回の国内組合宿に参戦した波多野豪(FC東京)と沖悠哉(鹿島)がコーチング力や統率力、守備組織を動かす力を披露。一気に序列を変えつつある。欧州組DF陣との連係を考えると大迫は残さなければいけないだろうが、2人のうち1人が残り1枠に滑り込みそうだ。となると大迫とはタイプの異なる波多野が有利。「海外のGKを見ると身体の大きい選手が多い。クロスボールやハイボールでは競り負けちゃいけない」と世界基準を念頭に置いて強化してきたこと198㎝の大型GKが大舞台に近づきそうだ。

【DF(センターバック)】冨安健洋、板倉滉、★吉田麻也
 DF陣はA代表主力の冨安健洋(ボローニャ)と板倉滉(フローニンヘン)が当確。もう1枚はオーバーエージの吉田麻也(サンプドリア)が必要ではないか。今回の合宿では瀬古や渡辺剛(FC東京)らが奮闘していたが、やはり自己判断力や発信力、統率力といった部分を踏まえると吉田には及ばない。本気で金メダルを取りに行こうと思うなら、A代表主将で2012年ロンドン五輪4位の経験者はいた方がいいと言える。
 
【アウトサイド】中山雄太、菅原由勢、橋岡大樹
 アウトサイド枠は欧州組の中山雄太(ズウォーレ)、菅原由勢(AZ)と国内組合宿で存在感を示していた橋岡大樹(浦和)か。中山はセンターバック(CB)や、ボランチもこなせるレフティであることが10・11月遠征で証明されたが、4バックの左サイドバックや3バックの左ワイドもできるはず。対戦相手のレベルが高ければ、むしろ彼のように守備力の高い人材がベターだ。菅原も左右両方できるし、橋岡も右サイド兼任で行ける。そういう面々を抜擢しておいた方が戦況や相手に応じた多彩な戦い方に対応できるはずだ。

【ボランチ】田中碧、齊藤未月、郷家友太、★遠藤航(柴崎岳)
 ボランチ枠は今季川崎で主軸として活躍した田中碧に加え、国内組合宿で圧倒的な問題解決能力とダイナミックな働きを見せた齊藤未月(湘南)を入れたい。今の齊藤なら攻撃面でもしっかりとチームをコントロールできるだろう。そこにトップ下や右サイドもこなせる使い勝手のいい郷家がいれば理想的だ。もう1人はオーバーエージの遠藤航(シュツットガルト)がベスト。1年前までは柴崎岳(レガネス)が「森保ジャパンの心臓」を位置付けられていたが、10・11月遠征では遠藤航の存在感が凄まじかった。デュエルの回数や強度、タテパスの意識、メンタルの強さと何拍子も揃っている彼なら、吉田とともにチームをまとめてくれるはず。柴崎が来夏までに遠藤航以上の輝きを取り戻してくれれば再び有力候補に浮上するだろうが、現時点ではやはり遠藤航を推すべきだ。

【攻撃的MF】久保建英、堂安律、三笘薫、前田大然(三好康児、安部裕葵)
 アタッカー枠は欧州組の久保建英(ビジャレアル)、堂安律(ビーレフェルト)に加え、今季川崎で大活躍を見せた三笘薫の3人は当確と言えるだろう。もう1枠は三好康児(アントワープ)、食野亮太郎(リオ・アヴェ)、安部裕葵(バルセロナ)ら欧州組の中から選ぶか、韋駄天・前田大然(横浜)を選ぶかで悩みどころだ。が、違った色をもたらせる存在としては前田大然が有効ではないか。「自分が一番速いと思っている」という本人の言葉通り、関東学生選抜との試合でも爆発的なスピードとスプリント力を何度も披露した。決めるべきシュートを決められないという課題は残されたが、流れを変えたい時には必要なタイプだろう。2021年の進化に期待しつつ、あえて選出したいところだ。
 
【FW】上田綺世、★南野拓実
 そしてFWだが、やはり万能型の上田綺世(鹿島)は外せない。この日のゲームでは得点こそなかったが、ボールを引き出して周りのチャンスをお膳立てしたり、ヘディングで競り勝ったり、スペースを作ったりと要所要所で質の高い動きを見せていた。やはり、こういった存在は不可欠と言っていい。

 残り1枠はオーバーエイジの南野拓実(リバプール)か。今季は所属クラブで1点しか奪っていないものの、最高峰リーグでの経験値は他の誰にもないもの。東京五輪世代が世界に打って出るためにも南野から得られる刺激は少なくない。前回五輪の悔しさを感じている本人も「呼ばれればぜひ出てリベンジしたい」と考えているはず。ここは森保監督も思い切った決断を下すべきだ。

 今後のコロナの動向によっては東京五輪自体がどうなるか不透明だし、国によっては日本への移動を許さないところも出てくるかもしれない。既存戦力のケガやコンディション不良、これまで評価の低かった人材のブレイクなど予期せぬ戦力図の変化は起こり得る。それだけに、2021年7月時点で誰が選ばれるのかは予想がつかない。まさに混とんとした状況のなかで、資格のある面々には可能性のある限り、持てる力を出し切ってほしいものだ。

<予想メンバー18人>
GK…大迫敬介、波多野豪
DF(センターバック)…冨安健洋、板倉滉、★吉田麻也
アウトサイド…中山雄太、菅原由勢、橋岡大樹
ボランチ…田中碧、齊藤未月、郷家友太、★遠藤航(柴崎岳)
2列目(シャドー)…久保建英、堂安律、三笘薫、前田大然(三好康児、安部裕葵)
FW…上田綺世、★南野拓実
★はオーバーエイジ

取材・文●元川悦子(フリーライター)