昨年の8月10日に、1年のレンタルでレアル・マドリーからビジャレアルへ加入した久保建英だが、出場機会を求めて退団を決意。年明けの1月8日にヘタフェへの今シーズン終了までのローン移籍が決まり、“イエローサブマリン”での挑戦は5か月で終わりを告げた。

 この間、試合のたびに久保に関するレポートを「サッカーダイジェストWeb」に寄稿してくれた、『AS』紙のビジャレアル番、ハビエル・マタ記者に、“日本の至宝”の半シーズンを評価してもらった。

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 光るものは見せたが、期待に応えとは言い難い。それがビジャレアルでのタケ・クボ(久保建英)に対する評価だ。

 出場機会の少なさを盛んに指摘され続けてきたが、すべてのコンペティションを通じて19試合、プレータイムにして697分に出場。たしかにラ・リーガに限定すれば291分に留まり継続した出場機会を得ることはできなかったし、ウナイ・エメリ監督の信頼を獲得するには至らなかったが、ヨーロッパリーグ(EL)を中心にチャンスは十分に与えられたと言える。

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 最も不満だったのは、チャンスに絡むプレーが限られたこと。献身的に動き回りチームを活性化させようとする姿勢は評価に値したが、ELのシワススポル戦など一部の試合を除いて、昨シーズンの終盤にマジョルカで見せたような最終局面で違いを作り、攻撃を牽引する存在とはなれなかった。

 したがって採点は100点満点で「60点」。可もなく不可もなくのこの数字は、主力としての働きを期待されて加入した選手としては満足できるものではない。

 たしかに運に恵まれない部分もあった。レアル・マドリー戦やエルチェ戦ではチャンスを決めきれず、カディス戦でもゴールへの意欲を見せたが、詰めの甘さを露呈した。これらのうちのいずれかの場面で得点を決めることができていれば、流れが変わっていたかもしれない。

 結果的にラ・リーガで2度スタメン出場した試合のうちの1つである前述のカディス戦にしても、相手の堅守に苦しめられ、輝きを放つことができなかった。
 そんなタケの比較対象となったのが、下部組織上がりの新鋭ジェレミ・ピノだった。タケに比べて出場機会が少ないにもかかわらず、瞬く間に3得点・1アシストを記録。完全にお株を奪われる形となり、タケが享受できなかったエメリ監督の信頼を早々に得たのだった。

 右サイドは不動のエースのジェラール・モレーノが君臨し、左サイドはモイ・ゴメスがレギュラーに定着し、ジェレミ・ピノが2番手に控えるという序列が出来上がった。さらにサミュエル・チュクウェゼも控えており、タケが試合に出場する難易度は上がっていった。

 ビジャレアルに残っていたとしても、険しい道が待ち受けていたのは間違いない。前半戦より限られた出場機会の中で、居場所を見出していく以外に道はなかったのだから。

文●ハビエル・マタ(アス紙ビジャレアル番)
翻訳●下村正幸