ゼロックス・スーパーカップの前座試合となる『NEXT GENERATION MATCH』が2月20日、埼玉スタジアム2002で行なわれ、日本高校サッカー選抜は川崎フロンターレU-18に1−2で敗れた。

 高校選抜にとっては悔しい敗戦となった。立ち上がりから相手に対してプレッシングを仕掛けるも、相手の巧みなパスワークにかわされて失点。後半は息を吹き返して一度は同点に追いついたが、ミスをきっかけに2点目を奪われ、そのまま試合に敗れてしまった。

 ただそのなかでもひとり、気を吐いた男がいる。昨冬の全国高校サッカー選手権大会で5得点を奪い、得点王に輝いた青森山田のFW安斎颯馬だ。

 苦しい展開を強いられた前半から、安斎は積極的な仕掛けを見せた。ともに2トップを組んだ米子北のFW﨑山友太とコミュニケーションを取りながら、タイミングを見計らってスペースに飛び出していけば、18分にはボールを受けてペナルティエリア外からミドルシュート。これはGK正面となったが、どんな状況でもゴールを目指す姿は選手権の記憶を思い返すものだった。
 
「今日の試合は前半にフロンターレがボールを回すと予想していたけど、それを上回るくらい相手がうまかった。ハイプレスを目標にしていたが、前線からのプレスがなかなかうハマらなかった。ただ、0−1で折り返したなか、ハーフタイムで本当にサッカーを1回変えようと話していた」

 もう一度、前線からプレスをかけていこうとした後半。試合を動かしたのは、やはり安斎だった。

「僕たちFWが相手CBを自由にさせ過ぎていたところもあったので、前から奪う感覚で行った」と語る安斎は、後半開始直後に猛然とプレスをかける。すると、高い位置でボールを奪取。「奪えたあとは冷静にゴールを決めるだけだった」と振り返るように、その後はボールを左足に持ち替えて逆サイドに流し込む冷静さを見せ、意地の同点弾を決めた。

 このゴールで自身としては選手権準決勝の矢板中央戦、決勝の山梨学院戦に続き、埼玉スタジアムでは3戦連発。「とくに考えてはいなかったけど」と笑ったが、「自分自身、前線の選手なので毎試合得点することを狙っている。埼玉スタジアムという素晴らしい舞台で3試合連続ゴールができて光栄です」と大舞台での得点を喜んだ。
 
 チームとしては敗れたが、安斎にとっては収穫の多い試合だったことは間違いない。大きな舞台で得点を奪える勝負強さを見せ、前線からのプレッシング等に手応えを得たところもある。高校選抜として集まってまだ数日と、連携面の構築が進んでいないことは確かだが、そこはこれから来月3日に開幕する「第35回デンソーカップチャレンジサッカー熊谷大会(デンチャレ)」に向けて高めればいいだけ。この経験を生かしてさらにトレーニングからレベルアップしていく必要がある。

 そして、チームのレベルアップのために安斎は、中学時代のチームメイトで、選手権の決勝では対戦相手として対峙した山梨学院のGK熊倉匠とともに、「自分が中心となってやっていかないといけない」と強い意志を言葉にした。

「3年前には同じチームで、こないだの決勝では敵として戦ったばかり。そして、今は同じチームにいる。クマはこのチームで一番信頼している。敵同士で戦ったからこそお互いの凄さは理解しているので、僕らふたりが高校選抜の核となって、中心選手としてやっていければいいと思う」

 選手権を経て新たなスタートを切った安斎。来月のデンチャレを含め、今後どんな進化を遂げていくのか楽しみでならない。

取材・文●林 遼平(フリーライター)

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