2020年シーズン開幕前、サッカーダイジェスト本誌のアンケートで、J2得点王を「京都サンガのピーター・ウタカ」と筆者は予想している。的中したが、予想は予想であって、大きな意味はない。見事に外れた予想のほうが多かったはずだ。

 一方、京都の順位も6位に入るか入らないかと予想した。結果は、8位だった。近い順位だったと言えるか。

 ただ、やはり予想についての話ではない。

 傾向についての話だ。

 そのカテゴリーで傑出したストライカーを擁することは、昇格に挑むクラブにとっては一つのアドバンテージとなる。しかし飛び抜けた存在であることは、一種の特権も生む。例えば、守備をしない。チームの中で、その不足を補う必要が出る。もちろん、そのストライカーが他を圧倒するゴール数を叩き出せば、それでもマイナス面をカバーして余りある。ただ、僅差で得点王になるくらいでは、どうしても組織としてのほころびが出るのだ。

 これは欧州のリーグでも同じだろう。

 例えば昨シーズン、リーガ2部で得点王に輝いたのはウルグアイ代表クリスティアン・ストゥアーニだが、所属するジローナは5位で昇格を逃している。一昨シーズンのスペイン人FWアルバロ・ヒメネスも、アルメリアの選手として得点王を受賞しながら昇格に貢献できなかった。こうした“矛盾”は枚挙にいとまがなく、むしろ傾向と言える。
 
 一方、昇格に適したストライカータイプもいる。

 過去10年のJ2でも、得点王になって昇格の殊勲者になっているストライカーは少なくない。2011年のサガン鳥栖、豊田陽平や2016年の清水エスパルス、鄭大世のようにチームプレーに徹するタイプ。例えば前線で体を張って、味方に時間を与えられ、献身的なプレッシングで守備の負担も減らす。エゴイストとしてゴールを狙うだけでなく、全体のために働き、プレー強度を落とさないストライカーだ。

 昨シーズン、J1昇格を決めた徳島ヴォルティスの垣田裕暉、同じくアビスパ福岡のファンマ・デルガドも、そのタイプのストライカーと言えるか。前線でチームのために働ける。その上で、ゴール数を増やせるか。2部はどうしてもプレーの質が下がり、ミスゲームになりやすい。つまり相手のミスを誘発させ、それを得点につなげ、失点を少なくさせる作業が肝要となるのだ。

 必然的に、ストライカーもハードワークを求められる。

 2021年シーズン、昇格戦はどんな様相を呈するか。

 それを占うのは、ストライカーよりもGKになるかもしれない。昨シーズンも、徳島の上福元直人、福岡のジョン・アンデル・セランテスはJ2指折りのセービングを見せている。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。