キリアン・エムバペとアーリング・ハーランドがリオネル・メッシとクリスチアーノ・ロナウドの後継者として名乗りを上げた。チャンピオンズリーグのラウンド・オブ16で、それぞれの所属クラブのパリ・サンジェルマンとボルシア・ドルトムントがバルセロナ、セビージャのスペイン勢を撃破する立役者となり、改めて怪物ぶりを見せつけた。

 2人がサッカー界の将来を担う存在であるのは間違いない。抜群のセンスに加え、アスリートとしての資質にも恵まれている。エムバペが2歳年上だが、くしくもこれはクリスチアーノとメッシの年齢差(クリスチアーノ・ロナウドが2月5日に36歳となり、現時点での年齢差は3歳。6月24日にメッシが34歳の誕生日を迎えると2歳差になる)と同じだ。

 サッカーの歴史はまたこうしたライバル同士のつばぜり合いによって彩られてきた。メッシとクリスチアーノが選手生活の晩年を迎える中、当然のようにファンもメディアも新たなライバル関係の誕生に心を躍らせている。現在、議論の焦点となっているのはどちらがより優れた選手であるかという点だ。

 プレースタイルに目を向けると、ともに貪欲にピッチを駆け回る。ただエムバペが攻撃能力全般に優れ、ゲームを支配するタイプのストライカーであるのに対し、ハーランドの持ち味はよりフィニッシュに特化し、文字通り相手ゴールを強襲する。

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 2人は、そのルーツも育った文化的背景も異なる。片やフランス旧植民地が輩出した逸材で、アフリカ、カリブ海、太平洋地域出身の両親を持つ選手特有のDNAを受け継いでいる。片やノルウェー出身で、北欧人らしく長身かつ金髪で、筋肉隆々の身体をしている。

 エムバペは17歳の時に移籍金1億4000万ユーロ(約175億円)でパリSGに加入。その翌年の2008年にフランス代表の一員としてワールドカップを制覇した。ネイマールと共闘することで成長速度が加速し、目覚しいパフォーマンスを発揮することでパリSGのクラブとしての格を押し上げた。いまやすべてのメガクラブ垂涎の的だ。ただパリSGは十二分な野心と財力を有しており、強奪できるクラブは1つか2つに限られる。

 一方、ハーランドが在籍するドルトムントはそうしたメガクラブの草刈り場と化している。ホームタウンのドルトムントもパリ、ミュンヘン、ミラノ、ロンドンのようなゴージャスさはない。

 善後策として世界中に門戸を開いて若手の青田買いの補強戦略を推し進め、大きな成果をあげているが、その影でロベルト・レバンドフスキ(バイエルンへ)、ピエール=エメリク・オーバメヤン(アーセナルへ)、ヘンリク・ムヒタリアン(マンチェスター・ユナイテッドへ)、アシュラフ・ハキミ(インテルへ)と主力の流出が続いている。ドルトムントにはパリSGのような吸引力はなく、ハーランドが次のターゲットとなることは衆目の一致するところである。

文●サンティアゴ・セグロラ(エル・パイス紙)
翻訳●下村正幸

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