2020-21シーズンのブンデスリーガも、残すところあと3試合となった。

 シャルケの31年ぶりとなる2部降格が確定したが、残留争いは最後までし烈な戦いとなりそうだ。現時点で降格の可能性を残す6チームの現状を比較した。

【12位マインツ 勝点34】
 シーズン前半戦終了時はシャルケと同じ勝点7で降格間違いなしとみられていたが、ボー・スベンソン新監督がマインツらしいサッカーを明確に選手に求めた結果、本来の強みを取り戻した。

 シーズン後半戦だけの戦績をみれば、バイエルン、ライプツィヒ、フランクフルト、ヴォルフスブルクに次ぐ5位。しかもヘルタ・ベルリンが新型コロナウイルスの感染者を出した影響で1試合が延期され、この試合に勝利すれば2位までアップする。前節は絶対王者バイエルンを追い込み、前半で5-0になってもおかしくないほど素晴らしいサッカーを披露して2-1で勝利。経験豊富なCBで、クラブを象徴する選手でもあるシュテファン・ベルのリベロ起用がハマっている点が大きく、チームとしてのまとまりはリーグでも髄一だ。

 唯一の不安要素は、残りの対戦相手がフランクフルト、ドルトムント、ヴォルフスブルクと来シーズンのチャンピオンズ・リーグ出場権を争うクラブばかりという点だ。そのため、5月3日に延期されたヘルタとの1戦を勝ち切り、残留を確定させたい。
 
【13位アウクスブルク 勝点33】
 勝ったり負けたりしながら、残留圏をキープしていたが、第28節でシャルケに敗れたのが痛恨だった。以後は4試合で1分3敗で、安心できなくなってきた。

 特に前節のケルン戦では、前半に3失点を喫し、大事な時期に許されない試合運びで成すすべなく敗れた。結果、ハイコ・ヘアリッヒ監督は更迭され、かつてクラブをヨーロッパリーグに導いたマルクス・バインツィールが再就任。アウクスブルクでは今でも名声を誇る人物だが、シャルケ、シュツットガルトでは手腕を発揮できないまま解任されているのが気がかりな点だ。

 縦に鋭い攻撃スタイルを取り戻すことができるかが、残留に繋がるカギとなるだろう。残りの対戦相手はシュツットガルト、ブレーメン、そして最後にバイエルン。特にブレーメン戦では何より負けないことが大事になる。

【14位ブレーメン 勝点30】
 2年連続で「こんなはずではなかった」状態が続いてしまった。魅力的なオフェンシブサッカーを封印し、手堅い戦いで粘り強く勝点を積み重ねようとしていた今シーズンだったが、ここ7試合連続で未勝利と、完全に調子を崩している。

 得点をイメージできる攻撃の展開があまりに少ないというのが大きな問題だ。FWは21歳のジョシュ・サージェントが柱となっているが、ここまで5得点。ダビド・ゼルケやニクラス・フュルクルクもケガの影響で苦しんでいる。

 大迫勇也はフロリアン・コーフェルト監督の起用法に振り回されて、らしいプレーを発揮できないままだ。昨シーズンはラストスパートで大迫もチームも調子を上げ、最終節で入れ替え戦出場を果たし、何とか1部残留をつかみ取った。残りの対戦相手はヨーロッパリーグ出場権を争うレバークーゼン、ボルシアMG、そして監督交代効果が怖いアウクスブルクと難敵が続く。正念場だ。
 
【15位ビーレフェルト 勝点30】
 1部昇格チームとして奮闘している。特にフランク・クラマー監督就任後は、攻守のバランスが非常に良くなった。精力的にボール奪取を狙い、攻撃でも堂安律、奥川雅也が躍動し、シュートシーンの数と質が格段にレベルアップした。

 注目はヘルタ・ベルリンからレンタル移籍中のアルネ・マイアーだろう。フロリアン・ノイハウス前監督のもとではなかなか出場機会を得ることができなかったが、クラマー監督はスタメンとして全試合に起用。攻守をつなぐ存在として貴重な役割を果たしている。前線にいい形でボールが入ることが多くなったおかげで、堂安や奥川も今まで以上にゴール前へと入っていけるようになった。

 第25節レバークーゼン戦で日本人選手ふたりがそれぞれゴールを挙げてチームを勝利に導いた。あの勝利がなければ今のビーレフェルトはなかったとはいえ、状況はまだまだ厳しい。残り試合はヘルタ、ホッフェンハイム、シュツットガルト。やはり次のヘルタ戦が事実上のターニングポイントとなるだろう。引き分け以上に持ち込めば、悲願の残留が現実味を帯びてくる。
 
【16位ケルン 勝点29】
 最後の希望となった残留請負人フリートヘルム・フンケル監督の神通力がどこまで発揮されるか。

 第28節マインツとの残留直接対決を2-3で落とし、クラブはマルクス・ギスドル監督を解任。新監督フンケルとともに挑んだ最初の試合となったレバークーゼン戦も0-3で敗れ、1試合少ない16位ヘルタとの勝点が3ポイント差となった際には、これでケルンは“終わった”と思われた。

 だが、第31節でRBライプツィヒに2-1で勝利すると、翌節もアウクスブルクに勝利。残りの対戦相手はヘルタ、フライブルク、シャルケと、ライバルクラブと比べると与しやすい相手が残っているのはポジティブな要素だろう。また、ケガで調子を崩していた元ドイツ代表のヨナス・ヘクターがここにきて非常に好調なのもプラス材料だ。これまで何度もぎりぎりの状態でクラブを残留へと導いてきたフンケルのもと、今回も粘り強く残留を果たせるか?

【17位ヘルタ・ベルリン 勝点26】
 新型コロナウイルスの感染がチーム内で広がった影響で、他のクラブよりも3試合消化が少ない。戦力的には残留争いに絡むようなクラブではないが、チームとしての戦い方を見出すことができないまま、順位を下げ続けてきた。

 パル・ダルダイ監督就任後はまとまりを感じさせるプレーも見られるが、淡白なプレーが散見されている。軽率なミスで得点機を逸し、失点を重ねたままでは残留は厳しい。加えて、新型コロナウイルスの感染者を出した影響で、5月1日から2週間で5試合というハードスケジュールが待っている。マインツ、ビーレフェルト、ケルンと残留を争うライバルとの直接対決が残っているのは、むしろポジティブか。

 状況としては、勝てば勝つほど残留チャンスを高めることができるというわかりやすい図式だ。うまくいけば連勝も可能。元ドイツ代表でブラジルワールドカップ優勝メンバーであるサミ・ケディラを中心に、最後まで粘り続けたい。

【筆者の最終順位予想】
12位 マインツ
13位 アウクスブルク
14位 ビーレフェルト
15位 ケルン
16位 ヘルタ・ベルリン
17位 ブレーメン
18位 シャルケ

  筆者プロフィール/中野吉之伴(なかの きちのすけ)

ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中