日本サッカー協会(JFA)は5月13日、育成年代(幼児期からU-15年代)でのヘディング習得のためのガイドラインを発表した。

 同ガイドラインは、幼児期は、風船や新聞ボールなどの軽量のボールなどで額でボールを触る経験を推奨し、小学校1、2年生時にはさらに空間を移動するボールに身体を合わせる運動へとステップアップ、3、4年生時には軽量ボールなどでヘディング練習を徐々に取り入れる事を例示している。

 小学校5、6年生時では8人制のゲーム形式で、空中戦の状況が生まれることもあるため、二人で同時にジャンプしたり 、空中のボールを手で取り合うといった運動で空間認識を高め、中学生になると相手との正当な競り合いができるようなトレーニングも積極的に導入。体幹の安定 、首回りの強化といった基礎体力強化も導入することを指針としている。

 このガイドライン策定の背景には、2019年に発表された、プロサッカー選手は一般人より認知症など神経変性疾患で死亡するリスクが3倍以上も高いとする研究結果がある。

 Jリーグでも今季より「脳振盪による交代」が導入されるなど、近年脳振盪についての問題意識が高まっている。
 
 JFA医学委員で東京慈恵会医科大学脳神経外科の谷諭医師によると、脳振盪を繰り返すことが原因で認知症になるリスクが高まるということは一定の医学的エビデンスがあるというものの、ヘディングの反復が認知機能に及ぼす影響の検証は非常に難しく、禁止の根拠となっている研究も、他の要素との関連の判断が難しく、検証には引き続きの研究が必要であるとした。

 また、ヘディング自体よりも、ヘディングの競り合いによる頭同士や肘、地面等との衝突の怪我のリスクのほうが重大であり頻度も高いと考えられ、「基本的なヘディングの技術を習得することや、フェアプレーをやっていくほうが適切な印象がある」と明かしている。

 その一方で、FIFAでは13歳以下で使用するボールのサイズと重さの推奨基準を示し、UEFAは「ボールサイズ」、「ボールの空気圧」、「ヘディングの負担の軽減」、「首の強化」、「脳振盪の可能性のある症状に対する認識」といった5つの項目のガイドラインを提示するなど具体的な対策が行なわれている現状もある。

 13日にオンライン上でメディアブリーフィングを行なった反町康治技術委員長は「考え方としてまったく禁止をするのではなく、正しく恐れる、より適切な方法でヘディングの習得を目指す」と安全に、脳へのダメージが小さい強度・方法で、幼児期より段階的にヘディングを習得する必要性を説いた。

 なお、同ガイドラインは今後の医・科学研究の報告を十分にフォローしながら随時アップデートされていくという。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部