欧州主要リーグの2020-2021シーズンも残すところあとわずかとなった。佳境を迎えたこのタイミングで、日本人選手に精通する識者にヨーロッパでプレーする日本人選手の中から、ベストイレブンとMVPを選出していただいた。サッカージャーナリストの西部謙司氏が選んだのは――。

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 欧州リーグの日本人選手で11人を選ぶにあたって、難しかったのがGKと左サイドバックだった。GKは川島永嗣とシュミット・ダニエルのどちらかで迷った。出場試合数は同じぐらいなので、リーグとクラブの格で川島とした。

 左サイドバックは安西幸輝が本職の最有力なのだが、ユーティリティの中山雄太を選んだ。所属クラブでのプレーというより、昨年の日本代表欧州遠征での左サイドバックとしてのプレーぶりで決めてしまったので、はっきりいってあまり自信はない。

 あとのポジションは割合すんなりと決められた。所属クラブで主力として活躍している選手を選んでいった。

 センターバックは、冨安健洋については文句なしだろう。吉田麻也ではなく板倉滉、植田直通の選択もあるが、日本代表での冨安とのコンビネーションもあるので吉田とした。右サイドバックは菅原由勢の台頭はあるものの、経験と実績からいって酒井宏樹だ。

【動画】名手ノイアーの牙城を破る!絶対王者バイエルン戦で決めた堂安律の鮮烈ゴール(5分15秒〜)
 
 MFはすんなり。遠藤航、守田英正、鎌田大地の3人。長谷部誠をどうしようかと思ったぐらいで、所属クラブでも主力中の主力である3人をおびやかす存在はいない。

 FWもそれほど迷わなかった。右はベルギーで大活躍の伊東純也。左は本来のポジションとは違うが活躍ぶりから堂安律を選んだ。CFは34試合先発出場して17ゴールと抜群の鈴木優磨できまり。

 欧州組ベストイレブンは、日本代表とかなり近くなる。逆に、実際の日本代表メンバーとの違いを見ると現状の問題点も見えてくるかもしれない。

 快勝した3月25日の韓国戦での日本代表メンバーと比べると、違っているのはGK権田修一、右SB山根視来、左SB佐々木翔、左サイドハーフの南野拓実、CF大迫勇也の5つのポジションである。

 南野については簡単に説明がつく。たとえ堂安を招集していたとしても左での起用はないからだ。大迫は韓国戦で健在ぶりをみせたが、所属のブレーメンでは先発7試合にとどまっている。今シーズンの欧州での実績で鈴木とは比較にならない。今後、鈴木の代表招集は焦点になるはずだ。欧州で好調な選手を選抜するのは日本代表の基本的な考え方だろうから、鈴木を招集していないのはむしろ例外的なのだ。
 
 両サイドバックは山根、佐々木の国内組が起用された。韓国戦とほぼ同じ先発メンバーだったモンゴル戦では松原健と小川諒也。欧州組で招集確実といえるのは酒井だけなので、サイドバックは国内外を問わず競争の激しいポジションといえる。とくに左サイドは決定版がない。長友佑都の後継者を見つけることは代表の大きな課題になっている。

 GKも権田がファーストチョイスになっているが絶対感はない。欧州組でも国内組でも、GKと左サイドバックは人材不足という現状がある。
 
 MVPはブンデスリーガのデュエル王、遠藤。日本人はデュエルに弱いというイメージを完全に覆した。シュツットガルトではほとんどの試合に先発フル出場の不可欠な存在であり、日本代表でも欧州遠征からそうなっている。

 中盤の底を1人で担当できる、これまでにはなかったタイプでもある。遠藤がいれば、攻撃的なインサイドハーフ2人との組み合わせもできるので、その点でも貴重だ。伊東、鈴木、鎌田の活躍もインパクトがあったが、総合力で遠藤になる。
 
文●西部謙司(サッカージャーナリスト)