あと2節を残すのみのリーグ・アンが歴史的デッドヒートとなり、パリ・サンジェルマンが最後の逆転劇で王座を守るか、それとも王座から転げ落ちるか、に大きな注目が集まっている。

 リーグ・アンは現在(現地13日時点)、リールが勝点79で首位を走る。7日には北部ダービーと呼ばれるRCランス戦を敵地で戦ったが、気の緩みも重圧も感じさせず、3−0で隣の敵を撃破した。

 これに対し、まさかの2位に甘んじているパリSGは9日、敵地レンヌで不甲斐ない試合を展開、1―1のドローに終わった。勝っていれば1点差でリールを追い続けるはずだったが、この不覚で勝点76となり、3ポイント差と水を開けられてしまった。

 この日はキリアン・エムバペを怪我で欠いたとはいえ、ネイマールは先発で出場。ところがそのネイマールがいつもの苛立ちをチームに拡散、PKを決めた以外は何も創り出せず、「自分でやろうとしすぎてうまくいかず、結局イライラするソリスト」「救世主症候群」「お子ちゃま王」などの辛辣な批判が噴出した。
 
 またパリSGのすぐ背後では、今シーズンのサプライズとなっているモナコ(勝点74で3位)、踏ん張るリヨン(勝点73点で4位)の両者がしっかり追走中。パリとモナコの差はたった2ポイント差、パリとリヨンの差も3点差となっている。

 しかも、このレンヌ戦でプレスネル・キンペンベ(レッド退場)とレーバン・クルザワ(負傷)を失い、マルコ・ヴェッラッティも再び怪我をして、3人のシーズンは「ほぼ終了」に。このためフランスでは「この週で勝負は決した」との見方が広がり、多くの人々がパリの頭から王冠が転がり落ちる姿を想像した。

 ところがパリはまだ終わっていなかった。12日夜におこなわれたクップ・ド・フランス(フランス・カップ)準決勝で、パリSGがPK戦の末にモンペリエを敵地で撃退(2−2、PK5−6)し、伝統あるこの大会のファイナル進出を決めたからだ。リーグ・アンとは別の舞台だが、土壇場でダイナミズムが生まれた可能性も否定はできない。
 
 この試合で大活躍したのは、怪我から復帰したキリアン・エムバペだ。恐るべき意志でドゥブレ(1試合2ゴール)を叩き入れると、試合後マイクに向かって、「僕たちはまだ2つのタイトルをとりに行かなくちゃいけない!」と決意を表明した。

 チャンピオンズ・リーグ(CL)準決勝敗退に終わったパリは、あくまで理論上だが、国内タイトルも全て逃し、屈辱の「タイトル0年」になる可能性をまだ残している。12日のモンペリエ戦でも、マウリシオ・ポチェティーノ監督の顔が蒼白になっていた。エムバペは悲観論を払拭し、大逆転劇を演じるべく、闘志を剥き出した格好だ。

 ただ、気がかりなのはネイマールだ。この試合では「腹痛があったため」(監督)との理由でベンチスタートになったが、フランスでは誰もこの理由を信用しなかった。しかも試合最終盤に投入されるや、またしてもイエローを食らい(90分)、連盟ディシプリン委員会の決定では同大会ファイナルに出場を認めない処分を下した。これについては、パリSGが異議を唱えているため、最終的にどうなるか不透明な状況となっている。

 一方、リールのクリストフ・ガルティエ監督は、「(リーグ優勝に向けて)一番キツイ地点を越えたと思うか」との問いに、「一番キツいのはいつだって次の試合だよ」と笑った。
 
 リールが残る2戦で1勝1分以上なら、パリがどうあがこうが10年ぶりのリーグ制覇(勝点合計85)となる。だがリールが2試合連続ドロー(81)または2連敗(79)に終わり、パリが2試合に連勝(82)した場合は、パリの逆転優勝になる。またリールが1勝1敗、パリが2連勝した場合は、勝点数同点(82)となり、得失点差で王者が決まることになる。

 果たしてリールは逃げ切るのか。それともパリの大逆転劇が見られるのか。カギを握るのはやはり、エムバペだろう。いや、パリの個の力か、リールのコレクティブ力(チーム一丸の力)か、の大勝負なのかもしれない。16日、23日のゲームは必見だ。

取材・文●結城麻里
text by Marie YUUKI