欧州サッカーの2020-2021シーズンも残すところあとわずかとなった。佳境を迎えたこのタイミングで、日本人選手に精通する識者にヨーロッパでプレーするサムライ戦士の中から、ベストイレブンとMVPを選出していただいた。スポーツライターの井川洋一氏が選んだ11人は――。

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 最前線は、プレミアリーグで3得点の南野拓実(サウサンプトン)とベルギー・リーグで17得点の鈴木優磨(シント=トロイデン)で迷ったが、舞台のレベルを重視して前者に。世界最高のリーグでプレーする唯一の日本人選手であり、しかも前半戦は昨シーズンを制したリバプールでプレーし、アーセナルなどからゴールを挙げている。

 冬にローンに出てからも、チェルシーらのネットを揺らしており、終盤戦に尻すぼみの印象もあるが、真のトップレベルに身を置く26歳を評価したい。2年目の現所属先で急成長し、チームMVPにも輝いた25歳の鈴木には、来シーズンに移ると目されているドイツで同様の活躍を見せてくれることを期待する。

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 2列目の右にはベルギーを席巻する伊東純也(ヘンク)。得点とアシストを二桁に乗せている28歳の超速ウイングは、リーグ戦で上位につけ、カップ戦を制したチームを牽引している。

 左には、セルビアの名門パルチザンで全公式戦を通じて21ゴールを記録した26歳の浅野拓磨(現在は無所属)を選出した。給料未払いが続き、終盤に退団してしまったことは残念だが、フットボールに熱い国で高い実力を見せつけたのはまぎれもない事実だ。

 中盤の中央には、ブンデスリーガで大きな存在感を示す3人を選出した。トップ下の24歳、鎌田大地(フランクフルト)は上位につけるチームの攻撃を一手に操り、リーグ公式12アシストでこのランキングでも上位を賑わせている。

 同僚の37歳の長谷部誠はリーグ最年長選手のひとりながら、腕章を巻くリーダーとして貴重な存在に。アジア人としてブンデスリーガ最多出場記録を樹立した元日本代表キャプテンは、春に契約を1年更新している。

 その隣には、今季のツヴァイカンプフ(1対1)のキング、遠藤航(シュツットガルト)しか考えられない。デュエルの勝利数(リーグ公式)は476と、後続に34もの差をつけている。多くを語らない28歳は献身的なパフォーマンスや姿勢で、チームメイトの「手本になっている」とピーター・ボシュ監督も目を細め、同僚からの信頼も得ている。ここまで今シーズンの全公式戦に先発した彼を、MVPに推したい。
 
 最終ラインは右に菅原由勢(AZ)を選んだ。今季から正式契約を結んだ20歳の攻撃的なライトバックは、序盤にチャンピオンズ・リーグ予選を経験した後、ヨーロッパリーグでは敵地でのナポリ戦にフル出場し、勝利に貢献。その後はリーグ戦でもレギュラー格となり、鋭い攻撃参加から2度、ゴールを奪っており、そのうちのひとつは決勝点だった。

 逆サイドにはベテランの酒井宏樹(マルセイユ)を選んだ。この31歳の主戦場は右で、左には同僚の長友佑都もいるが、スタッツでも存在感でもこちらが上。リーグ・アン第2節、パリ・サンジェルマンとの敵地でのル・クラシークでは、身を挺して相手のゴールチャンスを防ぎ、1-0の勝利に貢献し、試合終了間際の乱闘時には怒り狂う仲間をなだめた。今季終了後には、浦和レッズへの移籍が濃厚とされ、9年ぶりにJリーグでその勇姿を見られることになりそうだ。

 中央には、オランダでメキメキと成長する板倉滉(フローニンヘン)も好印象を残しているが、やはり守備の国イタリアで奮闘する二人を。22歳の冨安健洋(ボローニャ)は、CBのレギュラーとして今シーズンをスタートさせながら、チーム事情で左にも右にも対応し、選手としての幅をさらに広げている。

 32歳の吉田麻也(サンプドリア)も不慣れなポジション、右サイドバックを何度か任され、のちに優勝するインテルとの一戦では勝利に寄与。GKにはストラスブールで定位置争いを制した38歳の川島永嗣を選んだ。

文●井川洋一(スポーツライター)