今回のブラジル五輪代表はなかなか豪華なメンバーになる、と見られていた。

 レアル・マドリーのFWロドリゴ、アーセナルのFWガブリエウ・マルチネッリとDFガブリエウ・マガリャンイスはすでにビッグクラブでプレー。ダニエウ・アウベスの後継者として期待されているエメルソンはバルセロナがベティスから取り戻したばかりだ。アヤックスのFWアントニーは“天才”と評され、ドルトムントのレイニエールもいる。

 ブラジル国内組も優秀だ。ガブリエウ・メニーノはパルメイラスの一員としてリベルタドーレス杯を制し、フラメンゴのジェルソンとペドロも好タレント。前者は数日前に3000万ユーロ(約38億円)でオリンピック・マルセイユに移籍が決まっている。

 しかし、そんなチームが今月6日、セルビアで行なわれた国際親善試合で大失態を見せた。アフリカの北西沖に浮かぶ、人口53万人の小さな島国カーボベルデに敗れたのだ。それも1点リードからの、1-2の逆転負けであった。相手はA代表ではあったが、それは言い訳にはならないだろう。

 その敗因は、他でもない傲慢さだ。前半をほぼ支配した彼らは、相手のことをあまりにも見くびってしまった。それれ、手痛いしっぺ返しを食らったのである。

 有力クラブに所属する彼らは、ブラジルのA代表と同じ病にかかっている。すでに名が知れ渡り、大金も手にしている。自分たちはスターであるという傲りがプレーにも表われてしまうのだ。

 ただその3日後に行われた地元セルビアの五輪代表との試合には0-3で勝利した。カーボベルデに負けて批判されたことで発奮し、全力を出したからである。

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 今回の結果に、オリンピック代表を率いるジャルディーネ監督は大きな不安を感じている。ブラジル人は感情に支配されやすい。若いチームなら、なおさらだ。五輪で同じグループに入ったのはドイツ、コートジボワール、サウジアラビア。決して気を抜くことはできない。

 当初、ジャルディーネはオーバーエイジ枠を使わずに五輪を戦うつもりだった。A代表は直前までコパ・アメリカがあるし、なにより24歳以下でも十分に強力だと判断したからだ。

 しかし、ここにきて彼はオーバーエイジの招集を考えるようになった。ベテランを入れることで、精神的な安定をもたらしたいと思っているのだ。3つの枠のうち、少なくとも2つは使うのではないかと私は見ている。
 
 では、オーバーエイジに誰を入れるか。ネイマール、マルキーニョス(以上、パリ・サンジェルマン)、カゼミーロ(レアル・マドリー)を選べれば最高だが、コパ・アメリカに出場しているうえ、クラブの許可を得られず、これは難しい。

 
 Bプランは、正確には五輪世代だが、すでにA代表に定着しているルーカス・パケタ(リヨン)やヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリー)。こちらも、コパ・アメリカに出場組はハードルが高い。そのため、ブラジル国内にいるベテラン、ダニ・アウベス(サンパウロ)やエベルトン・オリベイロ(フラメンゴ)を頼ることになるかもしれない。

 ここにきてマドリーの許可を得られず、ロドリゴの招集も叶わない可能性が出てきた。いったい最終的にどんなメンバーになるのか。ジャルディーネも頭を悩ませていることだろう。

文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子

【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。