[国際親善試合]U-24日本1-1U-24スペイン/7月17日/ノエビアスタジアム神戸

 スペインという強豪国、しかも今回の参加国の中で招集した選手のレベル、暑熱対策などのスタッフ含めて、非常に本気度が高い相手と本番の直前にできたことは非常に有意義だった。

 来日して間もないスペインのコンディションが日本より難しかったことを差し引いても、基本技術、判断スピードと的確さなどで日本を上回ってくる相手と対戦することで、日本の選手たちは確実に感覚が研ぎ澄まされたように思える。

 対戦相手のアスリート的なスピードやパワーも、それらを体感した選手のタフさを刺激する要素だが、個人の技術やグループの判断で上回ってくる相手というのは世界的にもそう多くはない。新鋭ペドリやGKウナイ・シモンらEURO組6人に、ダニ・セバージョス、マルコ・アセンシオ、ミケル・メリーノという良質なオーバーエイジを加えたスペインは、ベーシックな要素で日本を上回るのは明らかだった。

 さらにデ・ラ・フエンテ監督のもと、U-21欧州選手権を2大会続けて優勝したメンバーが揃うスペインは、チームとしてスペースをうまく使う、相手のシステムに応じて嫌な立ち位置を取る共有意識が見て取れる。おそらく、特別に日本の対策を準備してきたわけではないだろうが、キックオフと同時に相手を見ながら、ボールの出し手と受け手、周囲のオフの選手、遠目の選手それぞれが、日本側の対応を難しくした。

 吉田麻也も「相手はプレスのかい潜り方が巧み。もっとコンディションが良かったら、さらに難しい。左足の巻いたシュートなんかは危なかった。本番だったらやられている可能性が高い」と振り返るように、前半の飲水タイムまでのような状況が本番であれば、吉田や冨安健洋をもってしても耐え切れなくなる可能性も十分にある。

 そうは言っても、やはり苦しい時間帯に頼もしかったのは吉田、遠藤航、酒井宏樹のオーバーエイジ3人と、デ・ラ・フエンテ監督が名指しで高評価した冨安の存在。ボランチで奮闘した板倉滉もプレスに行って何度か外されたシーンがあったことを認めながら、「ボランチに入った時は、後ろにディフェンダーがいてくれる安心感がありますし、それによって自分の特長でもある前への強さを出せる」と語る。
 
 スペインがまだ本調子ではなかったこと、日本側のディフェンスの奮闘、もろもろ要因がありながらも、飲水タイムまで20パーセント台のボールポゼッションのなかでなんとか耐え抜くと「しっかり繋ごう。相手はプレスが来てるようで来てないから」と吉田キャプテンは声を発したという。

 実際、その後は勇気を持って縦に繋ぐシーンが増えて、35分には相手陣内に押し上げた状態から吉田が右に展開したボールを酒井がクロスに持ち込み、間一髪で1トップの林大地に合わないシーンが出た。

 さらに左サイドから旗手怜央と相馬勇紀が絡んで起点を作ったところから、遠藤の縦パスをボックス内で受けた林が強引な反転から左足でシュートを放ったが、惜しくもクロスバーの上に外れた。

 待望の先制ゴールが生まれたのは42分。久保建英のドリブル突破からマイナスのパスに、反対サイドから堂安律が走り込んで合わせた形だ。確かに久保と堂安の個人能力は素晴らしかったが、着実に日本側の流れに持ってきた時間帯でのゴールだった。

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 ゴールを決めた堂安はスペインの巧さについて「ワンタッチパスでも、たぶん彼らは味方がどこにいるか見てない。“そこにいる”ってサッカーを分かってる。見てなくても出せばいるだろう、敵が来ないだろうというサッカーの巧さ、賢さ、サッカーの知識の多さでやられるシーンが多かった」と認める。ただ苦しい時間をしのぎ、さらに自分たちの時間帯を作ることができた。

「前半の出来にはネガティブになっていない。点を取った後もボールを動かせたし、そのままのメンバーで行けば、もっと動かせる自信があった」

 そう堂安は振り返るが、森保一監督は目先の勝利より、過密日程で決勝まで6試合を戦うこと、さらに5人交代できるレギュレーションを想定して、より多くの選手たちに金メダル候補の筆頭との呼び声もあるスペインとの実戦を体感させることを優先した。後半はオーバーエイジ3人と、冨安、堂安、林、谷晃生を一気に下げて、橋岡大樹、瀬古歩夢、町田浩樹、田中碧、三好康児、前田大然、大迫敬介を投入した。

 一方のスペインも大量のメンバーを入れ替えたが、ペドリや同点ゴールを決めたソレールなど、スタメンとほぼ遜色ない面子で、ゴールに向かう強度をむしろ上げてきた。日本は4-4-2の3ラインではプレッシャーをかけられず、ほぼ6バックで対応せざるを得ない時間が続いた。

 後半に入った前田、さらに怪我から復帰した上田綺世がカウンターから得点しそうなシーンはあったが、吉田が指摘するように4-5-1にして、耐えるにしても攻撃に転じたときに、よりボールをつなげる状況を作る方法もあったかもしれない。
 
 それでも多くの選手たちがスペインの強度を経験できたことは確かな収穫だ。オーバーエイジが全ていなくなるような事態は考えたくもないが、冨安を含めて主力の誰かを欠く試合、また過密日程での体力面も加味した5人交代を想定すると、有意義な試合となったことは間違いない。それはスペイン側にも言えるはず。

 日本は22日の南アフリカ戦から25日のメキシコ戦、28日のフランス戦と続くが、願わくばメダルをかけた準決勝以降の試合でスペインと再戦したときに、成長した姿を示してくれることを期待する。

取材・文●河治良幸

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