東京五輪の第2戦、メキシコ戦は2−1の勝利に終わりましたね。

 開幕戦の緊張感がとれたなかで、力を発揮できやすい環境。強豪のメキシコを相手にどんな試合展開になるのかに注目していました。開始早々に得点するという意外な展開になりましたが、メキシコ戦を振り返りたいと思います。

 勝利できたポイントは、4つ。

①出端を挫くスピード感。
②コンパクトな陣形を敷き続けた。
③前線の選手のハードワークのスタンダード化
④ダブルボランチの精度、そして選手の成長速度

 順に説明していきましょう。

【①出端を挫くスピード感】
 試合開始直後、メキシコに突破されそうなシーンがありました。デザインされた攻撃で、最後は中を見ずにクロスを上げていましたが、他の選手はクロスに間に合っていなくて事なきを得ました。それから、試合のペースはかなりアップテンポになりましたね。
 
 メモを取るうちに次のシーンへとどんどん変わっていくという、南アフリカ戦では起きなかった現象でした。そのテンポを維持したまま、日本は堂安律選手がサイドの裏を取ってクロス。メキシコのキックオフ直後の攻撃は中央に人がおらず、シュートに至りませんでしたが、日本は林大地選手もいましたし、後ろから久保建英選手が全力で追いつきシュートを決めました。

 出端を挫く先制点だけでなく、その後もメキシコのペースになりそうな展開にあっても守りに入らず、前線から積極的な守備(ここはスカウティング通りという感じ)を繰り返し、中盤でボールを奪い切っていました。それが結果的にPK、2点目へと繋がりましたね。

 このアップテンポのスピード感はメキシコも持っていましたが、それに対して日本も負けず劣らずどころか上回ったことで、試合内容でもスコアでも主導権を握れました。
 
【②コンパクトな陣形を敷き続けた】
 試合を通じて、日本は前線と最終ラインの距離が非常にコンパクトでした。

 そのため相手サイドハーフに対して、日本の両サイドバックである中山雄太選手と酒井宏樹選手がかならずアプローチできていましたし、サイドハーフの相馬勇紀選手、堂安選手も挟み込みやサイドバックが交わされた後のカバーもしっかりできていました。

 これは、ゴールキーパー、センターバックを中心としたDFラインのラインコントロールが生み出した結果だと思います。なぜそう感じたかというと、後半の終盤にかけて、あまりDFラインが上がらなくなっていた状況があります。

 相手が10人になったため、日本代表の中盤から前線の守備がルーズになった点もあり、なかなかプレッシャーがかからず、メキシコの攻撃をモロに受け止めてしまっていました。後半アディショナルタイムのラストワンプレー。クリアした際にしっかりラインを上げたことで、メキシコの選手の多くがオフサイドになっていて、最終的にキーパーがキャッチして試合は終わりました。

 最終盤、危ない展開になったことでDFとキーパーが集中し直し、ラインコントロールを復活させたらすぐに効果が出ました。この点からも前半から後半の中盤まで、そのラインコントロールが機能しているときは危ないシーンをほとんど作られずにすみました。

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【③前線の選手のハードワークのスタンダード化】
 林選手を筆頭にメキシコ戦に関しては、ハイプレスからのスプリント、そして長い距離の裏への飛び出し、1対1の仕掛けとたくさんのタスクをこなす4人がいました。

 ただどれかをやっておけばいいということではなく、すべてをやり切る感覚でプレーしていたからこそ、後半途中までメキシコにボールを持たれたとしても大崩れすることはありませんでした。

 これが強調されたのは、後半交代で入ってきた選手のポジション取りや運動量。そこでよりスタメンの選手のインテンシティーの高さが際立つ結果となりました。

【④ダブルボランチの精度、そして個々の選手の成長速度】
 同じポジションをしているものからして、遠藤航選手と田中碧選手、ふたりのクオリティーの高さには目を奪われました。ボール奪取から持ち上がる力強さ、相手のカウンターや攻撃の起点を潰す速さ、退場を引き出した堂安選手へ出した田中選手の裏へのフィードパス。まさに攻守両面で支える黒子役です。

 ここに引っ張られたのか、前線の林選手を筆頭にクオリティーがぐんぐん上がっていっています。元々力がある選手が自信を持ってプレーできていることで、高いレベルへと駆け上がっている感覚が見ていて感じられます。

 以上の4つのポイントが相まって、メキシコ戦の勝利を得られたのではないでしょうか。

 最後に、次のフランス戦。勝てば文句なし、引き分けでも突破できる。でも、負ければ敗退の可能性が出てくる難しい試合になります。

 このままのメンバーでグループリーグの連戦を駆け抜けるのか、それともミックスして最終戦を闘うのか。いまのスタメンの選手たちは完成されてきているうえに、どんどん成長もしているだけに、非常に難しい決断を森保一監督はしないといけません。

 明後日のフランス戦のスタメン発表、これは本当に興味深いです。

<了>

橋本英郎
 
PROFILE
はしもと・ひでお/1979年5月21日生まれ、大阪府大阪市出身。ガンバ大阪の下部組織で才能を育まれ、1998年にトップ昇格。練習生からプロ契約を勝ち取り、やがて不動のボランチとして君臨、J1初制覇やアジア制覇など西野朗体制下の黄金期を支えた。府内屈指の進学校・天王寺高校から大阪市立大学に一般入試で合格し、卒業した秀才。G大阪を2011年に退団したのちは、ヴィッセル神戸、セレッソ大阪、AC長野パルセイロ、東京ヴェルディでプレー。2019年からJFLのFC今治に籍を置き、入団1年目で見事チームをJ3昇格に導く立役者のひとりとなった。今季は5月2日の第7節のテゲバジャーロ宮崎戦で、J3最年長得点(41歳と11か月11日)を記録。日本代表はイビチャ・オシム政権下で重宝され、国際Aマッチ・15試合に出場。現在はJリーガーとして奮闘する傍ら、サッカースクールの主宰やヨガチャリティー開催など幅広く活動中だ。Jリーグ通算/478試合・22得点(うちJ1は339試合・19得点/2021年7月25日現在)。173センチ・68キロ。血液型O型。

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