今回はフランス戦を振り返ります。

 結果はみなさんもご存知かと思います。メキシコ戦から調子が上がっているとか、上手く行き過ぎているなどと見ていましたが、間違いなく実力として強くなってきている印象を受けました。

 フランス戦の勝利になったポイントは、3つ。

①個の力
②緩急
③連動性

 それぞれについて話をしていきます。

【①個の力】
 みなさんも感じられている部分ですよね、久保建英選手です。彼のターンの速さ、そしてスペースの見つけ方、周りの選手を強制的に動かす力。パスを出したあと、さらに自身も被せる動き、マインド。だからこそゴールを決められているんだと思います。

 最後のフィニッシュのところも落ち着きが違いました。空間の時間軸が、他の選手より少しゆっくり感じているのではないでしょうか。

 個の力を見せつけたのは彼だけではありません。冨安健洋選手も然りです。後半は彼がチームに安定感をもたらし続けました。オリンピック開幕直前に怪我をしていた選手にはとても見えませんでしたね。

 吉田麻也選手は以前からの安定感でしたし、そこに加えての冨安選手です。フランスにチャンスらしいチャンスを作らせませんでしたし、まるでふたりを避けるかのようにフランスのFWも、サイドバックの位置にポジションを取るようになっていました。そうなると、ゴール前で分厚い攻撃なんてできなくなりますよね、点を取る専門のFWが避けたくなるような、センターバックコンビでした。

 他のメンバーも前回コラムで書いたように、個の能力が1試合ごとに伸びていっているように感じます。若い選手の成長速度には驚かされます。
 
【②緩急】
 ゲームの入りは、フランスもそこまで悪くなかったと思います。集中もしていました。連動した動きも見られて、勝ちに対する意欲を感じました。

 ただ3連戦目で、疲れが多少なりあるまま、試合に臨んでいます。前半の日本が先制したシーンでは、フランスの選手の集中力が切れていました。その瞬間を見逃さない田中碧選手の縦パス、それを感じていた久保選手の判断の速さ。それによって生み出されたこの得点が大きかった。

 フランスは失点直後、少し気持ちが落ち着いていない様子でした。そのタイミングでさらに追加点、この得点も中央をリズム良く切り裂きましたね。急激なスピードアップにフランスはついていけませんでした。サイドバックの酒井宏樹選手のゴールは、カウンターでフランスの選手を追い抜いてのゴールですから。ここぞ!、という局面でのスピードアップが、試合をスコア上でもコントロールできた要因です。

【③連動性】
 久保選手も試合後に話していましたが、攻守両面での連動性です。これは、交代で入った選手たちからも見られました。チームとしてのやり方、コンセプトを誰もが理解してきているのだと十分に感じられました。

 ボランチやDFから縦パスが入ったら前へGO。また、中央に相手選手を固めてサイドから1対1でカットインシュート、あるいはクロス。その際には中央には数人が入り込んできます。パターン練習かと思わせるほどスムーズに、各ポジションの選手が動いていました。

 ひとたび動き出したら、そのまま止まらず動き続ける。奪われたあとは、近くの選手がすぐにボール保持者にプレッシャーを掛ける。DFはリスク管理を怠らず、苦し紛れのパスをインターセプトしないで、しっかりクリアする。こうした連続性・連動性があることで、日本は完全にゲームを支配していました。
 次は、いよいよノックアウトラウンド、準々決勝のニュージーランド戦です。

 イメージではラグビーが強い国という印象ですけど、サッカーはさほどでもないんじゃないか。いまの日本なら行けるっしょ!? と思っている方も少なくないのではないでしょうか。

 でも、これは気持ちのスキだと思います。メキシコ戦の最後に日本は一瞬のスキを突かれて、失点しました。その後もリズムを立て直すのに苦労しましたし、ピンチも続きました。

 スキというモノは小さいモノ。ほんの少しです。でもひとたびそのスキにハマってしまうと、どんどん広がって致命的な状況を招いてしまうのです。

 安心感は3連勝を飾ったので確かにあります。が、だからこそ相手を舐めてかからない。なぜなら、ニュージーランドも予選を突破してきたチームだからです。

 しっかり相手チームに対してリスペクトを持って挑めば、次へと繋がるはずです。

 次戦も日本の選手たちが躍動し、楽しそうにプレーする姿が見られるのを楽しみにしています。

<了>

橋本英郎
 
PROFILE
はしもと・ひでお/1979年5月21日生まれ、大阪府大阪市出身。ガンバ大阪の下部組織で才能を育まれ、1998年にトップ昇格。練習生からプロ契約を勝ち取り、やがて不動のボランチとして君臨、J1初制覇やアジア制覇など西野朗体制下の黄金期を支えた。府内屈指の進学校・天王寺高校から大阪市立大学に一般入試で合格し、卒業した秀才。G大阪を2011年に退団したのちは、ヴィッセル神戸、セレッソ大阪、AC長野パルセイロ、東京ヴェルディでプレー。2019年からJFLのFC今治に籍を置き、入団1年目で見事チームをJ3昇格に導く立役者のひとりとなった。今季は5月2日の第7節のテゲバジャーロ宮崎戦で、J3最年長得点(41歳と11か月11日)を記録。日本代表はイビチャ・オシム政権下で重宝され、国際Aマッチ・15試合に出場。現在はJリーガーとして奮闘する傍ら、サッカースクールの主宰やヨガチャリティー開催など幅広く活動中だ。Jリーグ通算/478試合・22得点(うちJ1は339試合・19得点/2021年7月29日現在)。173センチ・68キロ。血液型O型。

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