グループステージを3位で終えた時点で、運命は決まっていたのかもしれない。

 7月30日に行なわれた東京五輪の準々決勝で、なでしこジャパンは、優勝候補のアメリカを抑えてG組を首位通過した強豪スウェーデンと対戦し、1−3で敗北。2大会ぶりのメダル獲得の夢は潰えた。

「ふわっと試合に入ってしまう」

 高倉麻子監督が指摘し続けてきた課題だ。「ずっと言ってきたんですけど…」と指揮官が嘆いた立ち上がりの悪さをこの試合でも修正できず、7分でいきなりリードを許す。

 たまたま近くの席で取材していたスウェーデンの通信社『TT News Agency』のラッセ・マンハイメル記者も、「日本は非常にスロースターターだった」と、立ち上がりの遅さを指摘していた。

 それでも、清水梨紗との連係で右サイドを攻略した長谷川唯のクロスに、前節の活躍で先発の座を勝ち取った田中美南が左足で合わせた同点ゴール。その後はペースを握っていたが、「決定的なチャンス」があったかと言えば、そうでもなかった。

 そして53分に一瞬の隙を突かれて勝ち越されると、ハンドを犯してPKを献上。ベンチの交代カードを見ても、2点差を追いつくための駒もなく、事実上ここで勝負は決した。
 
 やはり世界の壁は厚かったと言わざるを得ない。高倉監督は、「フィジカル的な要素を補うべく、努力を重ねてレベルアップした部分があったが、世界中の女子サッカーの急速な進歩の幅が、自分の計算とはちょっと違っていた」と本音を漏らした。

 高さとフィジカルの強さで勝る相手へ、今回も対抗できなかった。大会前の強化試合から、クロスを簡単に入れさせ過ぎるという課題があったが、この点も修正できなかった。サイズで勝てないのであれば、そこで勝負させないやり方をしなければならないが、先制ゴールは空中戦で競り負けたもの。指揮官は「相手の得意なかたちでやられたしまった」と悔やんだ。

 キャプテンのDF熊谷紗希は「上手いだけでは勝てない」と指摘し、主力MFの長谷川唯は「イギリスやスウェーデンは高さやフィジカルがありながらもつないでくる、しっかり良い位置に立って、ポゼッションをしてくるチームだった。欧州のサッカーが変化してきている。日本ももっと理論的に詰めないと」と危機感を語った。

 テクニックや連動性という特長を残しつつも、やはり高い強度や球際の強さ、スピードといった点での強化が必要となるだろう。日本人はフィジカルが弱いと言われながら、遠藤航はブンデスリーガのデュエル王に輝いた。女子でもそんな選手が出てきてもいい。

 高倉監督や長谷川が指摘した“変化”について行かなければ、なでしこは世界から取り残されてしまう。

取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部)


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