今回は東京五輪・準決勝、日本対スペイン戦を振り返りたいと思います。

 いやぁ、いい試合でした。相手のほうが力は上だったかもしれませんが、サッカーではそのような相手にでもやり方や考え方を統一できれば、勝てる可能性があるのです。そんな試合内容を存分に見せてくれましたね。

 ゲームのポイントとなると、どうしてもアセンシオ選手に決められたゴールのワンシーンになってしまいます。ですが、そこに至るまでの闘いがあった。どうしていたらスペインに勝てたのかなと、僕なりに考えたことを今回は書いてみたいと思います。

 とはいえ敗戦のあとなので、「たら、れば」の結果論になるかとは思いますが、次のメキシコ戦(3位決定戦)をイメージしてもらいながら読んでもらえると嬉しいです。

 勝ちに繋がるポイントは、4つです。

①選手交代のタイミング
②攻撃のやり切り方
③交代選手へのメッセージ
④セットプレー

 ひとつずつ行きたいと思います。

【①選手交代のタイミング】
 これは、スペイン代表を見ていて感じました。チームとしての総力戦を前後半90分間のなかで捉えていた。だからこそ、後半開始からどんどん選手を代えてきました。

 日本はスタメンで出ている選手とサブの選手で、力の差があったのかもしれません。でも、この大会を通して全選手がかなりの成長を遂げたと僕自身は感じています。思い切った交代策でチームの運動量の低下を防ぎ、90分プラス延長に出る選手の負担を早め、早めにケアしていくのもひとつの方法だと感じました。
 
【②攻撃のやり切り方】
 日本がカウンターに行く場面は何度もあり、可能性を感じました。また押し込んだ状態でも、特に後半の最後のほうには久保建英選手がシュートを撃てる場面も出てきたり、堂安律選手が突破するなど見せ場を作っていました。最後のフィニッシュの前に一度良い状態の選手にパスを出し、リターンで受けることで、シュートを撃つ際に力が残って威力が生まれ、コースを狙えたのではないかと思います。

 実際は、ドリブルからそのままシュートというシーンが多く、長い距離を走って、なおかつドリブルで相手も交わす、最後にはそのままシュートを撃つ。これは高強度の守備をしてからやるにはハード過ぎると感じました。ましてや連戦で、前の試合(ニュージーランド戦)では延長戦もやっています。

 交代で入った選手を信じてパスを出して再度いい状態、状況でもらうことができていれば、よりシュートブロックを受けることなく、ゴールに飛んでいたのではないでしょうか。
【③交代選手へのメッセージ】
 あとから入った選手は頑張っていました。三好康児選手がスルーパスを狙ったり、前田大然選手も裏を狙う動きを頻発させていて、プレーに意図を感じました。

 ただ、上田綺世選手にはチームにおける意図や役割が明確になっていなかったように感じました。交代選手の役割だけでなく、チームとしてどのように攻めるのか、守り方はどうするのか。このあたりをベンチを含めて構成していけると、体力が削られてきた時間帯でもバランスを保ち、集中力を切らさず闘えるはずです。

【④セットプレー】
 今大会はここまで、セットプレーが上手く活かせていません。

 誰が相手選手に勝てるポイントなのか、どこに入っていくのが確率が高いのかなど、次の試合まで時間はありませんが、分析してデザインしたプレーをしてみてもいいと思います。セットプレーが武器になれば、攻撃のバリエーションを考えたり、工夫したりする以上に簡単にゴールを奪うことができるからです。

 前半のCKで林大地選手をマークしているのは170センチちょっとの左サイドバックでした。ゴール前でキーパーをブロックする役でしたが、逆に吉田麻也選手がキーパーブロックのところに行き、スペインのヘディングが強い選手を連れて行く。林選手に得点を狙える位置で競らせるのも手かな、と思いながら見ていました。

 試合のなかで変えるのか、それともスカウティングの時点でマークに付かれる順番を予想して準備しておくのか。やり方はいろいろあるかと思いますが、CK、FKを大事にしていければ、勝ちに大きく近づくはずです。

 次は銅メダルを争うゲーム、メキシコ戦です。

 一度勝っていますが、前回は前半立ち上がりの連続得点で流れを掴みました。次もそのようにいければいいですが、お互い疲労が溜まった状態での試合、なにが起きてもおかしくありません。だからこそ、ゲームプランの「想定内」を広げる、また上で挙げた点を意識してもらえたら勝てるはずです!

 最後まで日本代表をみんなで応援しましょう! 次戦も楽しみにしています!

<了>

橋本英郎
 
PROFILE
はしもと・ひでお/1979年5月21日生まれ、大阪府大阪市出身。ガンバ大阪の下部組織で才能を育まれ、1998年にトップ昇格。練習生からプロ契約を勝ち取り、やがて不動のボランチとして君臨、J1初制覇やアジア制覇など西野朗体制下の黄金期を支えた。府内屈指の進学校・天王寺高校から大阪市立大学に一般入試で合格し、卒業した秀才。G大阪を2011年に退団したのちは、ヴィッセル神戸、セレッソ大阪、AC長野パルセイロ、東京ヴェルディでプレー。2019年からJFLのFC今治に籍を置き、入団1年目で見事チームをJ3昇格に導く立役者のひとりとなった。今季は5月2日の第7節のテゲバジャーロ宮崎戦で、J3最年長得点(41歳と11か月11日)を記録。日本代表はイビチャ・オシム政権下で重宝され、国際Aマッチ・15試合に出場。現在はJリーガーとして奮闘する傍ら、サッカースクールの主宰やヨガチャリティー開催など幅広く活動中だ。Jリーグ通算/478試合・22得点(うちJ1は339試合・19得点/2021年8月3日現在)。173センチ・68キロ。血液型O型。

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