東京五輪開催でJリーグは一時中断。その間、各チームは戦力補強やミニキャンプ実施など、再開後に向けて準備を進めている。五輪後はいかなる戦いを見せてくれるか。ここでは、J2のギラヴァンツ北九州を取り上げる。

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 開幕前、昨季の主力選手の多くが移籍したこともあり、この中断を降格圏の19位で迎えている。J2復帰1年目だった昨季は、J3時代に培った組織力の高さを生かして上位に入ったが、ほとんどゼロからの再構築を強いられた今季、苦戦は必至だった。それでも降格圏をさまようほどの停滞ぶりは想定外でもある。

 5月末から7月にかけては、リーグ6戦連続で無得点と攻撃面で物足りない試合が続いた。戦力のばらつきやコンディションの問題からメンバーを固定できず、23試合でわずか17得点。さらに失点も35を数える。ボールの奪われ方が悪く、取り返しに行く強度や判断、後方のリスク管理にも課題が残る前半戦となった。

 中断期間では1週間程度のオフを入れたあと、小林伸二監督の郷里に近い長崎県島原市で5日間の短期キャンプ(7月25日から29日)を実施した。小林監督は中断前のラストゲームとなった長崎戦後、「ボールを運びながら得点をする機会を増やしていく。前からの守備もどうにか埋めたい。埋まらなかった時には中間に下がって守備をする。意識付けし、再構築したい」と複数の修正点を挙げ、強化を進めた。
 
 一方でポジティブなトピックはMF椿直起の“復帰”だ。椿は昨季、北九州でブレイク。ワン・ツーを生かしたチャンスメイクや、ドリブルでの仕掛けなど引き出しを増やした。昨年末にレンタル元の横浜からオーストラリアのメルボルン・シティに期限付き移籍。7月に横浜へ戻り、再びレンタルで北九州に約7か月ぶりの復帰を果たした。今季も左サイドハーフでのプレーが予想されるが、ポジションを争うMF新垣貴之はスペースでボールを受ける術が向上しており、相手に応じて彼らを使い分けるのかもしれない。

 左のビルドアップが安定すれば、右サイドの負担も軽減する。MF髙橋大悟のアイデアに満ちたプレーやSB野口航のスプリントも増加し、左右でバランス良く攻められるだろう。

 再開後はホームでの試合が多いこともポジティブな要素だ。8月の4試合のうち3試合をミクスタで戦うことができ、唯一のアウェー戦も順位が近い愛媛との対戦だ。“再スタートダッシュ”を狙うには良いスケジュールと言えるだろう。

 椿の再加入は大きな起爆剤になるはず。北九州にとってブロックを築いてカウンターを狙う戦い方はいわゆる最終手段であり、小林監督にとってはまだ抜くわけにはいかない伝家の宝刀である。組織的で積極果敢なサッカーを続け、まずは降格圏から抜け出したい。

取材・文●上田真之介

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