リカルド・ロドリゲス監督が新戦力ふたりに期待しているプレーがハッキリと分かった試合だった。

 DFアレクサンダー・ショルツとMF平野佑一は、この夏に浦和に加わった新戦力だ。このふたりがJ1第27節の湘南戦で見せたのは、共通の武器だった。

 湘南戦は立ち上がりからペースを握られ、思うような試合運びができなかった。後半から江坂任と明本考浩を投入してやや押し返したかに思えたが、60分を超えたあたりからは再び守勢に回る時間帯が続いていった。

 内容的には押され気味で、なんとか勝点1を拾った――そんな試合ポジティブな要素として印象に残ったのが、ショルツと平野の縦パスだった。

 的確なビルドアップを披露していたCBのショルツのハイライトは56分。鋭いパスを江坂に通すと、ビッグチャンスにつなげている。相手が江坂、キャスパー・ユンカー、大久保智明への対応が遅れたのは、まさにこの1本のパスでフイを突かれたからだった。

 一方でボランチの平野は、21分にトップ下の小泉佳穂へとつなぎ、右サイドハーフの関根貴大のチャンスを演出。さらには35分にも大久保の足元につけて絶好機の起点となった。ユンカーからのリターンを受けた大久保は惜しくも枠を外してしまったが、この日最大の決定機といってもよかった。
 
 いずれもゴールという結果には至らなかったものの、ショルツと平野のパスで一気に打開して相手ゴールに迫っていたのは見逃せない。アタッカー陣のフィニッシュの精度が高ければ、おそらくひとつやふたつはゴールにつながっていたかもしれない。

 プレスをかけてきた相手の間を縫って通して局面をひっくり返す縦パス、いわゆる“裏返し”のパスこそが、新戦力に指揮官が求めていたプレーなのだろう。

 J2経験が長かった平野も、日本にやってきたばかりのショルツも、まだJ1の水に慣れたとは言い難い。さらに加入したばかりとあって味方との連係も発展途上だ。

しかし、だからこそ、今後が楽しみでもある。ここ数試合は理想通りのゲーム運びができていない浦和だが、このふたりがフィットすれば、大きな変貌を遂げるかもしれない。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)