[J1第28節]川崎3-1神戸/9月29日/等々力
 
【チーム採点・寸評】
川崎 6.5
 3試合連続で先制を許し、「腰が引けていたと思います」と家長も振り返った前半は課題が残る。それでも後半から一気にギアを上げて、家長のPKの失敗があったにも関わらず、一気呵成に攻めて見事な3試合連続での逆転勝利。後半の圧力は非常に高く、神戸を押し込んだ。韓国で敗れたACLラウンド16からの帰国後、“バブル生活”が続き、心身ともに厳しい状況ながら、日本に戻ってからの4戦にすべて勝利。その逞しさは高く評価されて然るべきで、ひとつ消化試合が多いとはいえ、5連勝で2位の横浜に「12」の勝点差をつけた。
 
【川崎|採点・寸評】
 GK
1 チョン・ソンリョン 6.5
1失点したとはいえ、76分にはDFにリフレクトしたイニエスタのシュートを足で止めるなど勝利を引き寄せる好セーブを数度、披露。この日も頼りになる守護神だった。マルシーニョへの正確なフィードも。
 
MAN OF THE MATCH
DF
13 山根視来 7(78分OUT)
チームとしてエンジンをかけ直した後半、右サイドを力強く攻め込み、貴重な同点弾につながるPK獲得、逆転弾となるオウンゴールの誘発と、チームを勝利に導く活躍。右SBとして稼働を続けた男は人一倍、疲労もあったはず。それだけに逆転弾が決まった直後の魂のガッツポーズには、胸が熱くなるものがあった。家長らも候補もこの日のMOMに推したい。
 
4 ジェジエウ 6
失点シーンでは大迫に上手く裏に抜け出され、クロスを上げられてしまった。前半は大迫に上手くプレーを許す場面もあったが、後半は空中戦を含めていつもの力強さを発揮。
 
 
5 谷口彰悟 6.5
負傷から復帰して3試合目。まだ状態は万全とは言えなさそうで、前半は危ないプレーもあったが、試合を通じてキャプテンらしく気持ちのこもったプレーを披露。後半途中にはCBからボランチへ移動し、特に終盤には身体を張ったブロックやクリアを何度も見せた。試合終了のホイッスルとともに、しゃがみ込んだように力を出し尽くしたのだろう。よく最後まで戦った。
 
2 登里享平 6
この日も声を出しながら左サイドの攻撃を後方支援。後半にはマルシーニョにつなぐ絶妙なパスもあった。

MF
22 橘田健人 6.5
アンカーを任され、前半は苦戦気味。それでも後半はチームとともに格段に動きが向上し、先制点のPKにつながるパスカットも見せた。その後は右SBとしてもプレー。最後まで足を止めなかった。
 
8 脇坂泰斗 6(78分OUT)
前半はダブルタッチで相手をかわすテクニカルなプレーなど、パスを含めてらしさを見せつつ、ミスもあった印象。後半はより高い位置でプレーし、FW陣をサポート。後半開始直後のシュートは決めたかった。
 
MF
47 旗手怜央 6.5(90+2分OUT)
チームとして狙う、相手ペナルティエリアのニアゾーンを崩す動きを最も体現。山根のクロスがオウンゴールを誘発したシーンも、彼が走って中央で待っていたからこそ生まれた部分もあるはず。家長の得点も演出した。
 
FW
41 家長昭博 7
自身が語るようにPK失敗は反省材料。もっとも、そのPK奪取につながる左サイドでのマルシーニョへのパスは華麗で、ピッチを自在に動いた。本来の右ウイングとして山根の攻撃参加を引き出した功績も大きく、85分には個人練習で何度も打ち込んでいたという右45度からのコントロールショットでダメ押した。
 
23 マルシーニョ 6.5(76分OUT)
ドリブルを止められ、攻撃のリズムを切ってしまうシーンはまだあるが、より幅を取った後半は自慢のスピードと突破力を披露。獲得したPKはゴールにつながらなかったとはいえ、チームに勢いをもたらした。
 
9 レアンドロ・ダミアン 6(76分OUT)
家長のPK失敗から数分後、2本目のキッカーに名乗りを上げ、冷静に中央に蹴り込んだ。神戸守備陣に圧力をかけた存在だった。
 
 
交代出場
FW
24 宮城 天 6(76分 IN)
チームが逆転した後に登場し、神戸が前がかりになっていたことで、空いた左サイドのスペースを有効に使って持ち味を示した。DF1枚を抜いてから、カバーに入ってきたフェルマーレンらもう一枚の壁を越えられなかった点は今後の糧になっただろう。家長のゴールにも絡む。75分以降からの出場も、目立っただけに採点を付けた。
 
FW
20 知念 慶 −(76分 IN)
前節に劇的な決勝弾を上げたストライカーは時間が限られただけにシュートは0本。それでも前線からの精力的なプレスでチームを助けた。
 
MF
28 山村和也 −(78分 IN)
ディフェンスの強度アップへボランチに投入される。組んだ谷口とバランスを取って2点のリードを保った。
 
DF
7 車屋紳太郎 −(78分 IN)
CBとして投入され、反撃を試みる神戸の攻撃陣に対応。この男がいてくれる安心感はチームにとって大きい。
 
FW
11 小林 悠 −(90+2分 IN)
試合終了間際にピッチへ。出場時間はかなり短かったが、右サイドの深い位置を守るなど勝利のために走った。
 
監督
鬼木 達 6.5
前節は4-4-2でのスタートも、今節は従来の4-3-3に戻してゲームに臨む。先制を許した前半は重心が後ろに傾き、ハーフタイムに選手に熱く指示を送った様子。その激でチームは持ち前の攻撃力を発揮し、3試合連続での逆転勝利につなげただけにマネジメント力はさすが。ACLからの帰国後、心身ともに厳しい中でリーグ連覇の鍵として挙げた“5連戦”もこれで4連勝。中2日で迎える週末のFC東京戦へ再びチームを引き締めるのだろう。
 
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
 
 
【チーム採点・寸評】
神戸 5.5
“自慢のトリオ”イニエスタ、大迫、武藤の連係で先制に成功した前半は、チームとして強度の高いパフォーマンスで川崎を抑え、王者撃破へ期待感を漂わせた。しかし、「相手にプレゼントするような形」と三浦監督が振り返った失点シーンを含め、後半はギアを上げた川崎に飲み込まれてふたつのPKを与えるなど3失点。前後半で大きく異なる顔を見せてしまった。
 
【神戸|採点・寸評】
GK
18 飯倉大樹 6
彼の抜群のセービングがなければさらに失点は増えていたはずで、高い採点を付けたいが、3失点しただけに……。一本目のPKも鋭く反応しており、ミスを誘ったとの見方もできるか。「6.5」も考えた。
 
DF
17 菊池流帆 5
前半は川崎のクロスを幾度も跳ね返し、神戸の最終ラインに菊池ありとの印象を残すパフォーマンス。しかし、失点にならなかったとはいえ、52分にはマルシーニョをエリア内で倒してPKを献上。後半は川崎の攻撃を上手く切れなかった。

4 トーマス・フェルマーレン 5
何度も見せた前線へのロングフィードは秀逸。“大迫―フェルマーレン”ルートを開通させた。レベルの高い守備対応も披露。さすがのプレーの数々だった。それだけに……クロスをクリア仕切れなかったオウンゴールのシーンが残念でならない。
 
 
24 酒井高徳 5.5
前半は果敢なオーバーラップから攻撃を活性化。大﨑とともによく声を出し、チームを叱咤激励した。一方で後半は前に出なくてはいけない時間帯もあったが、マッチアップしたマルシーニョや宮城の対応に苦慮するシーンも。

19 初瀬 亮 4.5
激しい守備、アップダウン、中央に入ってのパスと、前半は存在感が光る出来。だが、72分には飯倉からのフィードをトラップしたところを狙われ、ボールロスト。2失点目の要因に。3失点目のシーンも家長のシュートを褒めるべきかもしれないが、目の前で打たれてしまった。
 
MF
27 櫻井辰徳 5.5(57分OUT)
前節でリーグデビューして、今節で初先発した高卒ルーキーは序盤こそ固さが感じられたが、徐々に的確にパスを散らしてリズムを作った。一方で後半は自ら反省したように、川崎の圧力に飲まれてミスも。それでも今後への良い学びになったはず。
 
25 大﨑玲央 5(65分OUT)
ボランチとして先発し、ポゼッション時には3バックの左の位置に下がり、パス回しに参加。的確に守備をしつつ、イニエスタらへボールを供給した。ただ、56分にはハンドを取られて川崎に2本目のPKを許す。その後は負傷した様子で、ベンチにさがった。


 
MF 
31 中坂勇哉 5.5(78分OUT)
中盤2列目の左サイドで決定的な仕事はできずとも、中央に上手くパスを入れるなどボールを動かした。櫻井の交代後にはボランチへ。その後は大﨑が負傷し、郷家と中盤の底で組んだだけに、バランス取りが難しかったか。

8 アンドレス・イニエスタ 6(78分OUT)
先制点につながる、右サイドを見ながら中央から左へ走る大迫へ送ったロングパスは絶品。それ以外にも華麗なターンなどハイレベルなプレーで唸らせ、守備意識も。運動量が落ちた後半も大迫のクロスから惜しいシュートを放つも、GKのセーブに遭い、チームを救えなかった。

11 武藤嘉紀 6
イニエスタと大迫のお膳立てがあってこそだが、貴重な先制点を奪った働きは評価したい。しかし後半を含め、その後は持ち味をなかなか発揮できず。

FW
10 大迫勇也 5.5
武藤のゴールをアシスト。前半はロングボールを巧みに収めたり、ヘッドでシンプルに味方につないだりと、“らしさ”を十分に示した。対して後半は攻め込まれる時間が長かっただけにボールが良い形でなかなか回ってこず。それでもエースとしてチームを救う一発が欲しかった。「6」に近い「5.5」というところか。
 
交代出場
MF
22 佐々木大樹 5.5(57分IN)
馬力のあるドリブルで果敢に敵陣を進む姿には好感が持てた。ただし、反撃の切り札にはなれず。

MF
7 郷家友太 5.5(65分IN)
大﨑のアクシデントを受けてボランチとして登場。2失点目のシーンでは左サイドへのカバーが間に合わなかった。ボールを展開しようとする意識は感じられた。

FW
9 ボージャン・クルキッチ 5(78分IN)
自陣深い位置でのパスミスで相手に3点目を与えてしまう要因に。ボールを持てば視野の広さを示し、試合終盤にはリンコンとの連係で惜しいシュートも放ったが、挽回とはいかなかった。

FW
29 リンコン −(78分IN)
自らシュートは打てずとも、ボージャンへのパスなどでセンスの高さは窺わせた。しかし求められたゴールにつながる働きはできず。

監督
三浦淳寛 5.5
前半は川崎への対応を含め、手応えを得られる内容だったはず。それだけに、もう一度引き締め直して後半に臨みたかったところ。劣勢時にもう少し策を講じたかったか。

※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を平均とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)