この夏にラ・リーガ1部に昇格したラージョ・バジェカーノの勢いが止まらない。直近5試合の成績は4勝1分け。総得点13は首位レアル・マドリーの21得点に次ぐ数字で、7節終了時点で5位と大躍進を見せている。

 とにかく攻撃的なラージョのアタッキングマインドを象徴した一戦が、6節のアスレティック・ビルバオ戦だ。

 現在39歳のアンドニ・イラオラ監督の現役時代の古巣でもあるAは・ビルバオは、その試合まで2勝3分けと好調を維持していたチームで、しかも会場は相手のホーム「サン・マメス」。試合は1−1のタイスコアで終盤に突入し、勝点1の確保のため守備を固めるのが定石の展開だった。

 しかしラージョはハイプレスでボールを奪い、縦に速く仕掛けてゴールをめざす従来のサッカーを展開。そしてアディショナルタイム、その勇敢な姿勢が実を結び、76分に途中出場していたラダメル・ファルカオのヘディングシュートで強豪相手に勝利を掴んだ。

 ファルカオは今夏の移籍市場がクローズしたあと、ガラタサライとの22年6月までの契約を解消してフリートランスファーで加入。5節以降の3試合に出場し、そのすべての試合でゴールを奪うなど、まだ試運転期間であるにもかかわらず、さっそく持ち前の卓越した得点力を発揮している。

「高い位置からプレスをかけて、相手ゴールに近いところでプレーすればするほど、ゴールへの道筋はシンプルになる。その際に、頭めがけてクロスを上げれば、どんなボールもヘディングでゴールに叩き込めるファルカオのような選手が中央に陣取っているのは心強い」

 これはウイングのアルバロ・ガルシアの言葉だが、このままファルカオが得点源として機能すれば、チームの攻撃力が大幅に向上するのは間違いない。

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 ラージョの攻撃的なサッカーと言えば、パコ・ヘメスが率いていた2010年代中頃のチームが記憶に新しいが、リスキーなスタイルの代償として失点も多かった。

 しかし、このイラオラのチームは守備もシステマティックで、各選手が高い共通理解を土台にプレーしている。イラオラの戦術の引き出しの豊富さはジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ監督)と比較する声もあるほどで、ラージョの躍進で新時代を担う指揮官としての地位を確固たるものにしている。

 近い将来、A・ビルバオの監督に就任することが半ば既成事実化しているイラオラだが、現地ラジオのあるスポーツ番組で、解任論が高まるバルセロナのロナルド・クーマン監督の後釜探しの論争が繰り広げられる中、「(次期監督として)イラオラはどうだ?」という声が上がったのは、イラオラ監督の赤丸急上昇ぶりを象徴するエピソードだった。

 気鋭の青年指揮官が、欠けていたピースにファルカオという強力なニューカマーを得たラージョは、いまやラ・リーガの注目のチームのひとつと言えるだろう。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部