森保一監督率いる日本代表のオーストラリア戦のスタメン平均年齢は28.6歳、一方で招集した23選手の平均は27.6歳だった。直近のワールドカップ4大会を戦った日本代表の平均年齢は27歳前後なので、ここ15年間ほどのビッグトーナメントでのバランスは定着しつつある。

 世界の趨勢(すうせい)を見れば、2010年からのW杯3大会の優勝チーム、スペイン、ドイツ、フランスはいずれも平均25歳代だったし、同大会が来年開催されることを思えば、やや高齢化の印象は否めない。

 日本代表もW杯に初出場した1998年フランス大会や2002年日韓大会は、平均25歳代の若いチームで戦った。

 1993年にJリーグが創設され、サッカー環境が劇的に変わり、新しい世代から次々に有望株が頭角を現し世界を急追した。セリエAのデビュー戦で中田英寿が欧州王者のユベントスから2ゴールを挙げ、小野伸二がUEFAカップを制し、香川真司がドルトムントを牽引していく。記録と常識が目まぐるしく書き換えられた時期だった。

 だが、プロの時代の到来に伴う急成長期は、人間に例えればゴールデンエイジのようなもので、やがて日本代表チームも27歳前後の円熟期の選手たちが中核を成すバランスに落ち着いてきた。
 
 もちろん、世界基準に即して各選手たちの到達ポイントを高めていくためには、もっと早期の発芽を促進していく必要があるが、国際的には異端な大卒という足跡を筆頭に、様々なバックボーンを持つ選手たちが集まってきている事情を踏まえれば、妥当な構成とも言える。

 オーストラリア戦のスタメンで30歳を超えていたのは5人。守護神の権田修一が32歳、DFでは35歳の長友佑都を筆頭に、吉田麻也が33歳、酒井宏樹が31歳、そしてFWの大迫勇也が31歳だった。

 確かにGKでは、かつてディノ・ゾフが40歳で世界を制覇(1982年スペイン・W杯/イタリア代表)したし、43歳で現役のジャンルイジ・ブッフォンの例などもあり、32歳の権田は働き盛りとも言える。またCBも今年欧州王者に輝いたイタリアは相変わらず37歳のジョルジョ・キエッリーニと34歳のレオナルド・ボヌッチがコンビを組んでいたし、SBもハビエル・サネッティや最近のダニエウ・アウベスの例を見れば、40歳近くまで活躍が可能だ。実際に長友、酒井、大迫らが、依然として日本代表に相応しい水準にあるのは間違いない。

 しかし一方で彼らのJリーグ復帰は、ピークアウトの予兆でもある。「ポジションは実力で奪い取るもの」と言われるが、その肝心な「実力が入れ替わった」見極めが遅れると停滞を招く。それは森保監督に限らず、アルベルト・ザッケローニ時代後期にも見られた現象なので、常に代表をフレッシュな状態に保つには監督の4年周期は長過ぎるのかもしれない。
 
 現状の日本代表は、MFで人材や戦術のオプションに困ることはない。とくに遠藤航という遅咲きのデュエルマスターが生まれたことで、オーストラリア戦のように田中碧、守田英正とのトライアングルも実現した。久保建英、堂安律の離脱が長期化しそうな状況を考えても妥当な選択で、ただしそこに辿り着く決断が遅過ぎた。

 攻撃的MFは日本の名産だが、板倉滉、中山雄太らユーティリティ性の高い選手が増えつつあるボランチも競争率を増している。もし板倉が最終ラインに割って入る日がくれば、22歳の冨安健洋とのコンビを同年代の伊藤洋輝が脅かし、しばらくは質の高い切磋琢磨が保証されそうだ。

 さらに近い将来、活況を呈す気配が濃厚なのがGKである。五輪代表の谷晃生や大迫敬介らを、下の世代の小久保玲央ブライアンや鈴木彩艶など、サイズも含めて条件を揃えた選手たちが追いかけている。どんなスタイルを追求していくのかもっともメッセージ性を発信できるポジションだけに、指揮官にはもう少しアグレッシブな選択も欲しいところだ。

 逆に懸案事項になっているのが、大迫の1トップ以外に効果的なオプションを提示できていないFWと、長く長友が独占状態だった左SBである。ここは明らかに森保監督の無難で保守的な姿勢が閉塞状況を招いている。
 
 大迫の後継者としてポストワークを期待するのなら選択すべき、最有力の鈴木優磨の招集を頑なに見送り、フランスで結果を出しているオナイウ阿道の抜擢にも及び腰。反面、ゼロトップや2トップなど、別の解決策を探す姿勢も見えてこない。

 また左SBも、せっかく東京五輪で目処が立ちつつあった中山の起用に慎重で、同時にFC東京までもが無条件で右利きの長友を左で起用し、数少ないレフティの有力候補だった小川諒也を右に回すという奇策を選んだ。このままだと左SBの世代交代は、代表監督が代わり、19歳の畑大雅の成長待ちということにもなりかねない。

 ただし歴史を俯瞰しても、日本の選手層は過去最高に厚みを増しており、明確な弱点も解消されつつある。逆に世代交代を努めて意識しなければならないのは、FWと左SBくらいしかない。

 こうした活況が見え難いのは、やはり代表監督の選択の影響が大きく、こういう時代だからこそ保守的な踏襲志向より、アイデアの豊富な積極志向のリーダーが適していたに違いない。

文●加部 究(スポーツライター)

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