サポーターにとって、応援するチームの試合の勝ち負けは自分事だ。愛着が深まれば深まるほど、チームの成績は自分に大きく影響してくる。

 2021年シーズン、関東サッカーリーグに挑戦した南葛SCの戦いぶりは、サポーターたちにどう映っているのか。振り返りから見えてきたのは、勝利に対する価値の置き方。

 そして、答えが出そうで出ない、しかし考えないわけにはいかない、チームの勝利とチームの魅力の相関関係だった。

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 今回、南葛SCのサポーターとしてお話を伺ったドイさん(ハンドルネーム/男性)、たばさん(HN/男性)、よこちゃんさん(HN/女性)。南葛SCの試合をくまなく観ていることは、今シーズンの振り返りからも伝わってくる。

 南葛SCの2021年シーズンはまだ終わっていないが、関東サッカーリーグ2部の日程は消化した。10勝6分2敗、勝点36の2位。この「勝点36」という数字をドイさんはシーズン前から指標としていた。

「これまでも関東リーグを観ていて、統計からいって本来自動昇格となる2位までに必要な勝点は最低36だと。なので及第点はクリアできたと思います。関東リーグのレベルは知っていましたから甘くないのは分かっていました。でも、もう少しやれるという期待もありました。相当研究されている部分もあり、相手の守りも堅かった」

 チームは後半6連戦を4勝2分。一気に2位に浮上した4連勝にチームの成長と底力を見たが、ドイさんは愛情ゆえに他のポイントを挙げた。

「シーズン後半に4連勝したことは嬉しかったですけど、シーズンを通し6試合引き分けたうちの4試合は85分以降の失点でした。あれはもったいなかったですね。この4試合を勝ち切っていれば勝点を8上乗せできたわけで」

 たばさんの印象は、ドイさんとは少し異なる。

「昨年同様、選手を揃えてもぶっちぎりとはなりませんでした。元Jリーガーの選手は上手いのは間違いありませんが、チームにフィットするまでに時間がかかります。相手の当たりも強いし、ちょっとイライラしているようにも見えて苦戦していたのではないでしょうか。ただ、9月5日に行なわれた後期5節の東邦チタニウム戦で潮目が変わった。0-0で引き分けた試合ですが、1人が退場になっても戦う姿勢が見られました。選手があれだけ気持ちを出して戦えるのなら、もう残りの試合を負けることはない、みたいなツイートをしました。そこから4連勝して最終的に2位。僕としてはかなり頑張ってくれたという印象です」

 よこちゃんさんはリアルタイムでコメント欄やツイッターでサポーター仲間とコメントをやりとりしながら、リモート中継を観てきた。
「昨シーズンと似ている印象でした。シーズン前半は先制しても追い付かれるパターンが多くて“ああ……”とがっかりする感じだったんですが、最後の6連戦を負けなし4連勝で2位に入ったことは、チームの集中力と、ケガで離れていた選手たちも次々と戻ってきて活躍してくれたからこそ。本当にありがとうございます(笑)。おかげさまで9月、10月は本当にごきげんに過ごせました」
 
 よこちゃんさんが「チームが勝つとごきげん」と言うように、南葛SCの存在は完全に日常に溶け込んでいる。

「私は長らくサッカーを観ている割には戦術などには疎くて。シンプルに勝った負けたで追うことに楽しみを感じています。なので勝つと超ごきげんでフワフワして生活してます(笑)。逆に負けたり引き分けたりすると、週明けから『なんで、昨日あそこで失点したんだろう』とか考えながら結構ストレスを抱えながら仕事をすることになります(笑)」

 南葛SCに求めたいのはシンプルに「勝利」だ。
「どんなにいい内容のサッカーをしても負ければウキウキした気分にはなれないので。昨シーズンも今シーズンも、勝てているのですごく楽しいんです。一方で、今後昇格していって勝てなくなる時期が来るかもしれない。もちろん応援はしますけど、そのときは切ないんだろうな……と。ただ、勝利への闘争心は持っていただきつつ、穏便にやってほしいという希望もあるんです。無観客の試合をリモート中継で観ていると、結構厳しい言葉が聞こえてきてしまうので」

 コロナ禍でリモート中継を中心に観戦してきた女性ならではの、少々複雑な思いが見え隠れする。勝利の喜びを感じたいのは純粋な気持ちだろうが、では、本当にどんな形でも勝ちさえすればいいのか、となれば必ずしもそうとは言い切れない面もあるようだ。

 たばさんもチームが負けると、次の試合が来るまで落ち込むという。
「南葛SCの試合結果で翌日からの1週間が決まる。一度、東京都リーグの時に開幕戦を落とした試合があったんです。あの時は、試合後にみんなで食事に行ったんですけど、僕だけショックで食欲がなく、なにも食べられませんでした」

 一方で、南葛SCが目指す「ボールを大事につなぐサッカー」は大好きだ。

「大好きなんですけど、チームのスタイルを確立する一方で、地域リーグだとがっちり守って少ない人数で攻めて勝ち上がるサッカーも多い。僕は結果を恐れずに自分たちのサッカーを続けてほしいと思うんですが、観ていて難しさも感じています」

 サポーターを増やしていきたい思いがあるたばさんにとって、苦い思い出がある。

「都リーグ2部から1部へ昇格するまで2年を要した間に、応援する人の数が結構減ってしまった時期があったんです。ひどい時は僕とドイさんの2人ということもあって。その時の経験があって、以来みんなで歌えるチャントを考えたり、積極的に声がけをするようになりました」

 チーム発足当初、ポッドキャスト上での話がきっかけで盛り上がり、現地に5〜6人現れたロベルトも、気付けばたばさん一人になっていた。

 勝たなければ、かつてのようにサポーターが減るかもしれない。そんな怖れが、心のどこかにあるのか。
「サポーターの果たす役割は結構大事だと思っていて。スタジアムの雰囲気はサポーターによって作られる部分が大きいじゃないですか。だから地道に人数を増やして、応援が解禁されたらスタジアム全体で声を出してチームを盛り立てていけるように。ゆくゆくは試合の流れを見て効果的な盛り立てができるようになりたいんです」

 サポーターの声援がチームを盛り立てる。盛り立てられたチームが勝つ。チームが勝つことでサポーターが増える――。コロナ禍で分断されている理想のスパイラルを早く復活させたい。たばさんの本音は、そこにあるように感じる。
 
 ドイさんはサッカーの観戦歴が長いこともあってか、冷静に試合を見る習慣が根付いていた。

「たとえ負けたり引き分けたりしても気持ちを切り換えるのは早いです。わりと俯瞰で見ていて、なにをどうすればいいとか、分析しながらいろんな思いを巡らせています」

 サッカーは勝負事だ。そこは避けて通れない。この先、上手くいかない時期だってあるだろう。ドイさんが目指すのは、勝利を含めた魅力づくりだ。

「今シーズンもまだ昇格できるかどうかは分かりません。ただこの先Jリーグを目指す上で関東リーグ1部に昇格した時のことを考えたとしましょう。関東1部も、いろんなチームを観てきているので、それぞれの特徴や長所はある程度知っています。正直、そんなに簡単には勝てないと思うんです。待っているのは厳しい戦いです。すると、どうしても勝ち負けばかりに目がいってしまうようになる。そうならないようにするためには、勝っても負けてもまた来たくなるようなスタジアムの雰囲気づくりが必要になると思うんです」

「これは難しいんです、難しいんですよ」と断りつつ、ドイさんはこう続ける。
「私はどこへサッカーを観に行く時でも、初めて行く人の気持ちでチームを見るようにしています。すると、勝敗とは別にまた来たいと思わせてくれるか、思わせてくれないかという違いを感じます。南葛SCには、初めて観に来た人にまた観たいと思わせるチームになってほしいですし、自分でもそうしていきたい。だから、私は今すぐ何がなんでも勝ってほしいとは思えない。勝利は目指しつつ、同時に目指していく別のこともあると思うんです。チームも、我々も」

 自分の目で確かめてきた、サッカークラブを通じた各地域の盛り上がり。その実現のためには、勝利だけを求心力にしていたら、いずれ限界が来る。困難な道のりとはいえ、今のうちから南葛SCの“おもしろさ”を広めておきたい。

 そんなドイさんの到達点は、「葛飾の小学生たちが、南葛SCのユニホームを来て誇らしげに通学してくれること」だ。

 南葛SCというクラブには、選手や関係者だけでなく、サポーターの希望や願いや夢が乗っている。「サポーターは12番目の選手」とよく言われる。筆者自身、その意味は分かっていたつもりだったが、実際に話を聞くとより痛感する。今回聞いたようなエピソードやドラマが、サポーターの数だけ存在すると思うと、そのエネルギーの総量は測り知れない。

 ホームスタジアムに応援と声援と手拍子が、いち早く戻ってくることを願う。

※このシリーズ、了

取材・文●伊藤 亮

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