鹿島アントラーズに加入するMF荒木遼太郎(東福岡)が予選敗退となり、同じく鹿島内定のFW染野唯月(尚志)は予選を突破しながらも、怪我のために選手権本大会を欠場することになった。今年度の選手権はFW西川潤(桐光学園/セレッソ大阪内定)やFW若月大和(桐生第一/湘南ベルマーレ内定)も予選敗退とスター候補の多くを欠く大会となったが、その中で主役に躍り出そうな存在がいる。それは、“もう一人の”鹿島内定選手、静岡学園MF松村優太(3年)だ。


 鹿島に同期入団する荒木は下級生時から東福岡のレギュラーとして全国を経験し、U−16日本代表としてアジア制覇。高体連を代表するボランチ、トップ下として名を馳せた。染野は言わずと知れた昨年度選手権の得点王。青森山田との同大会準決勝で3得点を挙げて“大迫2世”“半端ない”と評されたFWは、世代を代表するストライカーだ。一方で松村は昨年にU−17日本代表に初選出され、今年は名門・静岡学園で10番を背負うものの、今夏までは全国大会に出場した経験が無かった。


 松村も彼らに比べて知名度、経験値が無いことを認識。選手権予選開幕前には「2人は全国大会とかもう出ている。そういう舞台を経験していないのは僕だけ。最後の最後にもう1回チャンスがあるということに感謝して、自分が連れて行くくらいの気持ちでそこはやっていきたい」と語っていた。


 その選手権予選で見せた松村のプレーは凄まじかった。準決勝では圧巻のスピードを活かして2得点。“裏街道”での突破や局面でDF3人を置き去りにするなどボールを持つ度に会場を沸かせ、前回大会決勝で敗れた浜松開誠館を個で圧倒した。さらに決勝では開始わずか18秒で先制弾。このゴールは静岡県予選決勝で36年ぶりとなる6得点の口火を切る一撃となった。


「鹿島にはないスピード」という評価を受けての鹿島入り。そのスピードは超高校級だ。これまではドリブルで1人をかわした後に2人目で取られるシーンが多かった。だが、現在は簡単にはボールを失わなくなり、何よりゴールを決められる選手に。川口修監督から「点を獲ることによって選手の価値が何十倍にも上がる」と指摘され、シュート練習を重ねてきた成果をピッチで発揮している。


 選手権予選終了後の組み合わせ抽選会によって、静岡学園は尚志、当時未定だった福岡県代表と同じブロックに入った。松村は「アントラーズのファンの方も盛り上がってくれると思うので、試合できたら良いなと思います」と染野や荒木との対戦を期待していたが、結果的に直接対決は叶わず。それでも、圧倒的な突破力、スピードを持つ松村が染野、荒木不在の大会で鹿島サポーターにインパクトを残す可能性は十分にある。名門・静岡学園を24年ぶりの全国制覇へ導き、常勝軍団へ。この冬、松村優太の名を全国に知らしめる。